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五人の覇者  作者: コウモリ
十三人参上
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十三人参上(八)

フェニックス、天上界王を置いて少人数部に向かった十二人。

遂に目的地に着いた。

「ここが…少人数部か」

先頭にいたサラマンダーが呟いた。

「入ろうではないか」

近藤が入り後から続々と入っていった。

「何者だ!」

天上界王がいないので最後まで言われた。

近藤、サラマンダーが新入り受付に渡された書類を見せる。

「浪士組は聞いている。天上界王の警護だな。で、そっちは…覇者隊!?」

覇者の五人がうなずく。

「貴様らが名乗って良いほどの称号ではないぞ!覇者は!」

「でも、わし達は本当に覇者だぞ」

バジリスクが言う。

すると、

「ならば、少人数部一の実力を持つ神士隊と戦え!」

「いや、そっちの方が名乗っちゃいけない称号でしょ」

バジリスクの突っ込みをもろともせず、彼らはやって来た。

「我が名は火の神士、火獣ファイア!」

以下略。

「僕は火の覇者、火竜サラマンダー!」

「サラマンダー君、覇者だなんて思い上がりは良くない」

「ファイアさん、君こそだ。神士なんて爆笑して顎が外れそうだ」

「何だとッ!テメー勝負しろ!」

「フッ、偽神ごときが僕には勝てないよ」

いや、モノホンの神でも勝てないのだが。

「サーベルファイア!」

「サーベルファイアって、サーベルタイガーのギャグのつもりかい?残念だけど、リズムが良いだけではギャグとは言えないよ。ドラゴンフレア!」

時間潰しの批判のせいで目の前まで炎の虎が迫っていたのだが、一気に盛り返し、相手を潰した。

「勝負アリ、だね」

サラマンダー、勝利。






後の四人も神士隊に圧勝。最初に覇者を名乗るなとか言ってきた兵士も口をポカンと開けたままになっていた。

「ほら、早く手続きの続きをしろよ」

最も早いスピードで試合を終わらせたペガサスが言う。

「は、はい…。」

第二の受付も丁寧語になっていた。

「では、書類をこちらに下さい」

近藤、サラマンダーが兵に書類を渡す。

「まず、そのチームの中に長を作るのですか?」

兵が言ったことを簡単にすると、縦社会にするか、皆平等にするか、という訳だ。

「我が浪士組は既に長、副長が決まっています」

山南が言った。

「では、お書きください」

書類の名前の所に、近藤が「長」、土方が「副」、後の三人が「平」と書いた。

最後に、兵が上の方に「縦」と書いた。

「あなた方は?」

「どうする?」

サラマンダーが他の六人を見る。

「無くて良いんじゃないんですか?」

クラーケンに全員賛成した。

「作らない」

サラマンダーが言う。そのまま続けて、

「だが、この二人は世話役だから」

兵が「横」、そしてツルギとす…

「水神!?」

兵がすっとんきょうな声を出した。

もうこの展開にイラついている七人は、

「気にせずに続けてくれ」

と言った。

気を取り直して、ツルギと水神の所に「世話」と書いた。

「次は、少人数部でどのような位置に就くかですが…」

覇者隊を見る。

「あなた方はナンバーワンという事で宜しいでしょうか…?」

バジリスクが聞いた。

「ナンバーワンになったら何かあんの?」

すると、兵ではなくファイアが言ってきた。

「俺が答えよう」

「まだいたのね、神士隊」

サラマンダーが嫌味を言う。

無視して、

「戦争など多人数部の兵士が沢山必要になった際には、少人数部の隊を解体してランダムにまとめる。すると、違う隊の兵士が沢山いると長を決めにくい。その時に優先して長になる」

「他には?」

「給料が高い、他の兵から敬われる、複数任務がある際自分のしたい任務を最初に選べる…」

「絶ッ対ナンバーワンになる」「ナンバーワンなります」「なるぞ」「なる」「なってやろう」

欲望剥き出しの五人であった。

兵が「1」と書いた。

「じゃ、帰って良いよ神士隊。これからはナンバーツーだね」

サラマンダーの使い捨てである。

兵が久しぶりに喋る。

「では、浪士組の方は…」

「我々は…どうなんだろうか」

「もう、ナンバーツーで良いんじゃない?僕達でも神士隊には勝てると思うよ」

沖田の助言により、

「ナンバーツーで」

近藤が言った。

神士隊の断末魔が聞こえた気がする。

一気に2ランクダウンもしたのだから。

「では、終了です。この書類は私が出してくるので後はご自由に」

兵が出ていった。

改めて部屋を見る。

誰もいない。

「ねぇ、サラマンダーくん」

「何だい、総司」

「ここって本当に少人数部なのかな?誰もいないけど」

「うーん、どうだろーね」

皆が疑問を持ったその時だった。

ドアが開いた。

「任務完了♪久々の少人数部だぜぇ」

ぞーろぞろ、と数人が入ってきた。

「見ねぇ顔だな。新入りか?訓練学校はキツかっただろ?」

「……………。」

「おいおい、先輩への挨拶も無しか?まあいい、取り敢えず気を付けた方が良いぜ!この後ここは戦場になるからな!」

知らないおじさんの弾丸トークであった。

だが、それが真実になる。

ドアがまた開いた。

「飯!」「今日は何だ!?」「腹減ったぜ!」「そこ空けろ!」「トンカツ、やったぜ!」「テメーそれ俺の箸だって」「隊長、弁当取ってきます!」「俺は二つな!」「一人ひとつに決まってんだろ!」

一部しか紹介できなかったが、本当は大量に兵士が流れ込んできたのである。

覇者隊、浪士組は一瞬で潰された。

忠告してくれたおじさんは運良くサンガーの踏み絵を見つけたので、こう言った。

「ほらな?戦場だろ?」

後に解ったことだが、少人数部の兵士は食事以外この部屋に来ることは殆ど無いらしい。


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