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五人の覇者  作者: コウモリ
十三人参上
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十三人参上(七)

道中。

「藤巻!」

突如としてペガサスが叫んだ。

クラーケンが気遣う。

「どうしたんですか、自分が殺した人の名前なんて叫んで。まだ酔ってるんですか?それとも亡霊でも見たんですか?」

…気遣っているのだろうか。

「えっ、ペガサスさん人殺したことあるんですか!?」

ツルギが驚いて言った。

クラーケンが代わりに答える。

「はい、ギガポイズンで唯一『殺せた』人です」

「何で『殺せた』なんだよ。なんで可能なんだよ」

ペガサスが突っ込む。

「だって、本当じゃないですか」

「ぐ…」

バジリスクが話に加わる。

「ああ、藤巻か。わしが思うに、ペガサスが藤巻を殺したのって正当防衛じゃなくて過剰防衛なんだが」

バジリスクから突然の告白。

「なっ、何だよバジリスク。いきなり…」

「いや、ギガポイズンは『必殺技』なんだから確実に殺意があったんでしょ?」

「言われてみればそうだな」

サンガーも加わってきた。

「じゃぁ、どうして過剰防衛にならなかったんだよ。正当防衛だからだろ?」

ペガサスが事実という味方をつけて戦う。

だが。

「きっと殺されるのが怖かったんですよ」

「体が凶器だもんな」

「ちょっと待てお前ら」

二百歳越えても愉快な彼らであった。

因みに、何故いきなり藤巻と叫んだかは永遠の謎である。






天上界軍本部。

歴史は千二百年。

無論、あの極界戦争で創立された。

平和になった今では、訓練をしながら、警察と合同で安全を守ったり、地下界に偵察を送ったりしている。

最後の一区切りに違和感を覚えた方はこの小説を熟読していない確率が高い。

何故なら、違和感を覚えたその内容の九割九分が(地下界に偵察送るって死ぬってことだろ?戻って報告出来ないじゃん)だからだ。

しかし、しっかり読んでいる方にはそれに反論できるだろう。

そう、

魔術使えば復活させられるぴょーんだ♪

と言うわけだ。

だが、偵察に行ったきり戻ってこない兵も少ないが、いる。

地下界の暮らしに味をしめて死んだままで良い、という感じで。

一体、地下界の人々はどんな暮らしをしているのだろうか。

話を戻そう。

「中に入るぞ」

天上界王の号令で一同は中に入った。

「な…天上界王!」

軍服でない人間が大量に来たため、

何者だ!

と窓口は言おうとしたが、見覚えのあるその姿を見て青ざめた。

「わしの連れだ」

「ど、どうぞ」

人の行列がずららー、と進んでいった。

その間窓口は一言も喋らなかったが、考えたことがあった。

(天上界王の連れなんて、何者だ…?)






中にいる人は皆軍人で、警戒心も強いので、すれ違う度に、

何も…天上界王!ど、どうぞ

となった。

そして、着くべき場所に着いた。

新入り受付

まぁ、何ともそのまんまな場所である。

中に入ると、一人の兵がいるだけで後はその兵が座る椅子、机しか無かった。

「天上界王!」

「こやつらを入隊させたい」

「どこの部に入れますか」

この兵は賢かった。

普通、新入りは訓練学校に送られる。

だが、天上界王が連れてきたため、瞬時に判断したのだ。

こいつらただ者ではない。

と。

「うむ、まず、この五人は覇者隊という隊名で」

サラマンダー、クラーケン、ペガサス、サンガー、バジリスクが前に出る。

「少人数部ですね」

兵が答えた。

「ああ。次にこの五人は浪士組という組名で少人数部に」

近藤、土方、沖田、斎藤、山南が前の五人よりも更に前に出た。

誰かがチッ、と舌打ちしたが誰がしたかは作者にも解らない。

「残った…三人は」

兵が聞くと、天上界王は、

「言い忘れておったな。この女性二人は覇者隊の面倒見だ」

二人が覇者隊と同じ列に並ぶ。

「この少年はまた後で」

天上界王がフェニックスだけ残しておいた。考えれば理由は解るだろう。

「じゃ、順番に名前言ってって」

「近藤勇」「土方歳三」「沖田総司」「斎藤一」「山南敬助」

兵が「浪士組」と書いた書類に五人の名前を書く。

「次、君達」

「火の覇者、火竜サラマンダー」

「え゛」

サラマンダーの自己紹介に兵の顎が外れた。

「は・しゃ…?」

「はい」

サラマンダーが答える。

「火の覇者って事はこの世の火の体系で最も強いのか…?」

「いえ、二番目です。後の四人は一番目ですが」

真偽は解ったものではない。

この世にはまだ強い人はいそうだからだ。

「つ、続けて…」

兵の神経が削れていく。

「水の覇者、水鞘クラーケン」「草の覇者、草馬ペガサス」「雷の覇者、雷虎サンガー」「土の覇者、土蛇バジリスク」

兵がクラクラしながら記入していく。

だが、手が動くのはこれまでだった。

「面倒見、ツルギ」「同じく水神」

「すい…」

兵、卒倒。

天上界王が現れ、覇者が現れ、遂には神が現れた。気絶しない人間はいない。






「あ、起きました」

ツルギが兵の顔を覗き込んでいた。

覗いていたのが水神だったら気絶テイク2だっただろう。

いや、今の彼の精神状態だったら土方が覗いただけでアウトだったかもしれない。

優しい顔のツルギに覗かせた神に感謝である。

いや、この世界観で神という単語を乱用してはいけない。

だって、そこにいるのだから。

「じゅ…十二人は少人数部に移動して…そこでまだ手続きがあるから…。」

兵が弱々しく地図を渡した。

だが、それには「新入り受付」と「少人数部」への行き方しか書いておらず、他の部屋の名前などは全て塗り潰してある。

完全セキュリティである。

天上界王とフェニックスを残して十二人が部屋から出ていった。

「…で、その少年はどうするのですか…?」

「うむ、このフェニックスに関してはやることが複雑だから幹部に会いたい」

「丁度今十二階の大会議室で幹部会議が行われております」

「ありがとう」

天上界王がフェニックスを連れて部屋を出ようとすると、

「天上界王」

兵が呼び止めた。

「幹部会議に出席するほどの事、一体何をなさるのですか?」

「…いずれは知れることだ、受付をしてくれた礼に言おう。わしは新しく地上界防衛部を作ろうと思う。そして、フェニックスはその長だ」

「そっ、その少年がですか!?」

「そうだ」

気絶テイク2。


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