二百年大修行 フェニックス編(五)
「いくぜスペード!
ギガフレア!」
「リバース」
「なっ…!」
フェニックスに炎がまとわりつく。
「何だよ今の技…!」
「バニッシュ」
「え!?」
フェニックスが横に跳ぶ。だが、元いた場所には何も無かった。床さえも。
「何だよ今の技…!この台詞二回目だよ!」
「テラフレア」
「まずい!」
何も…無かった。
道場が無い。タマとリュウがいない。フェニックスは火炎の翼で逃げ切ったが、
「皆どこに…?」
「死んだ」
どんぶりどじょうはいた。スペードは消えたようだった。
「死んだって…じゃあ!」
「心配はいらん。
冥臨!」
フェニックスの前に蜃気楼が現れる。
「命ず、タマとリュウを蘇らせろ!」
蜃気楼は数秒で消えた。
だが、その中にはタマとリュウがいた。
「すげぇ…。」
フェニックスが感嘆する。自分が今から覚えようとしている物はここまで凄いのか、と。だが、他の思いもあった。
「なぁ、これを使えばどんぶりうなぎもキング・ジャイアントもノアも生き返らせれるんじゃないか?出来るなら…リーナも…。」
「多分無理だ」
「何故!?」
「私の力が持たない。それに、無限の力を持っていたとしても、死を納得していない者しか復活はしない」
「どういうことだ?」
「死が受け入れられない者しか復活はしない。闇の生命授与も。」
「でも、あの人達が死を受け入れているかどうかなんてアンタにゃ解んねーだろ!」
「ならば、過去を見てみようではないか」
「…過去を?」
「技だ。『過去への誘い』と言う。」
「やってくれ…!」
「お、おい、大丈夫か、息荒れぇぞ…?」
「体力を使い果たしちゃったかもね…。」
「な?最後の力で俺に?」
「どうせもう長くない…。それならあなたのために…。」
「リーナ…!」
「ありがと…会えて…良かった…フェニックス…!」
「リーナ、リーナ…!」
「好…き、フェニックス…。」
「俺も好きだ、リーナ、だからまだ…!」
「何年でも…何十年でも…向こうで待ってるから…!たった一人の…友達を!」
「まだだめだ、まだ話してないことがいっぱいあるだろ!?全部俺に話してくれよ!」
「好…………き。……………………。」
「ノア」
「はい」
「あの塗り薬を持って地上に行け」
「五人に何か」
「フェニックスとクラーケンが死にかけている」
「解りました。では、すぐに」
「あなたは…!私が殺したはず…!」
「そんな事もあったな…。」
「…あっ…。」
「ノア!き、貴様は!」
「地下界精鋭部隊隊長、サイゴ」
「ノアが殺したのでは…!」
「残念なことに、地下界王が自らの命を削って生き返らせたんだよ。」
「なっ…!」
「これで地上界の奴等を助けに行けねぇなあ!薬はもう無いもんなぁ!もう、俺が行って殺してきてやろうか?」
「やめろ!」
「邪魔すんの…?殺すよ?」
「殺せ。わしには死ぬ覚悟ぐらいある!」
「そりゃ勇敢なことでね」
「昨日…夢を見た…。」
「はァ?遺言が夢の話かぁ?」
「昔の…夢を…。」
「うだうだ言ってんじゃねぇよ!」
「何でそんなものを見たか解らなかった…。でも…今解った」
「何だよ」
「どんぶりうなぎはお前を殺す切り札を持っている。それを今使う。」
「何だよ。ただのハッタリだろ?言ってみろよ」
「お前は地下界王と契約を結んでいる。永遠に地下界で生きると。」
「そーだよ」
「ならば、地下界王が死ねばお前は死ぬ」
「正解。だがな、お前程度に地下界王は殺せない。それに、殺せるとしても今から地下界に行って、地下界王のいる所に行って、殺す間に俺はアイツらを殺ってるぜ?」
「生き返っても傲慢さは変わらんな…。
まあ、そこで見ているがいい。
我が方法を!」
「どーんと見といてやりますよっ!」
「この命、あの五人に捧げる…フェニックス、クラーケン、ペガサス、サンガー、バジリスクに…。」
「命の呪文であの二人を生き返らせ、五人を強くするつもりか?だが、一度に五人もの人に呪文を使えばお前が死ぬのは必ず。まさか、切り札があの五人とは言うまいな?」
「勿論違う。お前は何も聞いておらんようだが、どんぶりうなぎと地下界王は…呪い火で結ばれている」
「…何の話だ」
「千年前、どんぶりうなぎはお前を突破した後、地下界王と戦った。最も、勝敗はつけられなかったが。その時、呪い火を地下界王が使ったので守った」
「…う…嘘だ…!」
「真実だ。つまり、この技でどんぶりうなぎが力を使い果たせば、地下界王が死に、お前も死ぬ」
「や…やめろ!」
「そろ…そろ…だな」
「リーナはこれから長くないと実感し、お前のために命を使い果たした。キング・ジャイアントには死ぬ覚悟ができていた。どんぶりうなぎはお前達を蘇らせ、サイゴとやらを倒すために死んだ。三人とも死ぬことは受け入れていた。ノアだけでも試してみるか?」
「…ああ」
「冥臨!
命ず、ノアを蘇らせろ!」
蜃気楼が現れ、消えた。だが、その中にノアはいなかった。
「そん…な…!」
「フェニックス…ノアもこの道場の生徒だった…。少し前に挨拶に来てな、言ったんだ。
期待の新人が五人いる。私は彼らを守るという使命を預かった。そのためなら命を賭する、
と。」
「…………。」
「四人とも、生き返りはしない。」
「でも、会いてぇよ…!」
「だったら死ね」
「…?」
どんぶりどじょうが心を鬼にした。
「死ねば彼らに会える。会いたいなら死ね」
「…………。」
「最も、彼らはそれを望んではいないが。」
「どんぶりどじょうは思ったこと無いのか?実兄に会いたいって」
「ある。だが、その兄がお前に命を分けた。私は今兄といる気分だ」
「…………。」
「本当、あの義兄とは大違いなんだろうな…実兄は…」
「ああ、どんぶりうなぎは最高の人…鰻だ。だから、俺達に…」
ズゥーン。
「ほぅ、再建したのにまた消えたようだな」
轟音と共に現れたのは人だ。それは、
「兄さん…!」
「親父…!」
だった。




