お金稼ぎ(三)
「藤巻!」
フェニックスが叫んだ。
「引き返すなら今だぜ!」
「誰がしますか」
「足手まといにはなるなよ」
「誰がなりますか」
「ケッ、度胸だけはありやがって…。」
フェニックスが舌打ちする。
「無駄話をしている暇はないぞ!」
バジリスクが警告する。
「こいつ、今までの奴とは雰囲気が違う」
「でかいからだろ…。恐竜だし…。」
「さっさとやるぜ、」
「総力奥義!」
『主は雷の覇者』
「出でよ雷虎!」
巨大な虎と恐竜が睨み合う。
雷虎が雷を恐竜にかます。
恐竜は一瞬怯むがすぐに体勢を立て直し、雷虎に噛みついた。
「ギャルオオォ!」
雷虎が吼える。
それもそのはず、噛みついたのはかつての地球の王者、恐竜だからだ。
「くっ…!」
雷虎のダメージがサンガーにも少しだが伝わる。
雷虎が消えた。サンガーが気を緩ませたからだ。
「大丈夫か、サンガー?」
「ああ、すまん…。」
恐竜がこっちに向かってくる。
「ロックハーデン!」
「アイスキャノン!」
二人の技で「足は」封じた。だが、あまりの大きさにそれより上を封じられない。
「足は封じました…一応身動きは取れませんけど、いつまで持つか…。」
「メガポイズン!」
ペガサスが毒を放つ。
「持つ時間を伸ばしてやったぜ。情けないな、ギガポイズンを操れたら殺せるのに…!」
「いや、十分だ」
フェニックスの手から炎が出る。
「これだけ人が集まっていればテラフレアは確実に使えない。だが、今の俺ならあれの頭に炎をぶちかませる。クラーケン、お前はサンガーの回復、後の三人はもしものために結界を張ってくれ…!」
「解りました」
「解った」
「っし、行くぜダイアナ!」
「フェニックス、恐竜はダイナソーだ!」
「…ダイナソー!
俺は生活と屁理屈に必要な単語しか覚えてねーんだ!つまり貴様は俺に不必要なんだよ!」
「フェニックスの人生って屁理屈しか無いのか…?」
「さあ…?」
「サーカスフレア!」
フェニックスの手から螺旋を描いて炎が恐竜に向かう。
毒、氷、岩の三段ブロックで何も出来ない恐竜にそれはぶち当たった。
だが。
「うーむ、さすがは元地球の王者…。」
「生命力は半端ではないな…。」
恐竜は頭が燃えても生きていた。それどころか、毒の効き目が切れ、氷が溶けたのだ。
「ギャオオオオオオオオオオオ!」
岩も吹っ飛んだ。
「どうする、クラーケン!?」
「フェニックス君、作戦二です!テラフレアを使って下さい!」
「けどあれを使えばお前らが…!」
「それは安心しろ」
「ペガサス、バジリスク!サンガーも回復したんだな!?」
「わし達のシールドは結界の中でも使えるし、テラフレアも守れる。広場の中の人、外の人両方任せろ!」
「…………。」
「まーぁだ迷ってますね?安心してください、怪我人が出ても僕のヒールで回復させますよ!」
「解った、任せるぜ!取り敢えず今はアイツを抑えることだけに集中しよう!おい、藤巻!」
「はい?」
「ペガサス達に守ってほしけりゃ野次馬を半径三キロから追い出せ。俺の炎を甘く見るなよ」
「…解りました。おい、警察に電話しろ!いや、それじゃ遅い、お前ら野次馬追っ払え!カメラは中向けとけ、音は後で合成だ。」
「はい!」
ダダダッ!
藤巻一行が野次馬を追っ払い始めた。
人がいなくなった。
「準備を始めるぞ…。」
フェニックスが恐竜と自分だけを含んで結界を描く。
四人はそれぞれ藤巻達を含んで、フェニックスの結界の外に描く。中心の結界を四つの結界で囲む。
「シールド」
「シールド」
「シールド」
三人が藤巻達と共に守りの体勢に入る。
クラーケンは何にも守られずにその時を待つ。サンガーに礼としてシールドに入れと言われたが、少しでも安全性を高めるため拒否したのだ。
四人がOKの合図をしたのを見ると、フェニックスは恐竜を見据えた。
相手も今から何か起こるのを察知したらしく、静かにその時を待つ。
「火の精霊よ集まれ、そして我が力となれ!テラフレア!」
フェニックスの結界が赤一色に染まる。
「あいつ、どんぶりうなぎと修行して一段と強くなったな…。」
四人の結界に炎が入ってくる。
「ひっ…!」
藤巻達が怯える。それをシールドを張っている三人がなだめる。
「安心しろ、大丈夫だ。心配なのは…アイツだな…。」
「結界の中に炎が入ってきた今、結界は外に出る炎を薄める効果しかない…。もう、守るという代物じゃねぇ…。」
「一番心配なのは…無防備でその炎を待ち受け、怪我人が出れば助けると言う使命のある…。」
クラーケン。




