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五人の覇者  作者: コウモリ
お金稼ぎ
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お金稼ぎ(一)

「我々は働かなくてはいけない」

「アテは?」

「無い。」

「どうするんですか?一般会社に就職ですか?」

「無理だと思うぞ」

「やらなきゃ駄目ですよ。飢え死にするよりはマシですよ」






一週間後。

「就職先が全員決まった。これで家計も安定するだろう」

「では」

各自会社に向かった。

だが。

「佑樹、これ印刷しといて」

「はい」

「佑樹、電話だよ」

「只今」

クラーケンの受話器に転送される。

「もしもし」

『クラーケンか!?』

「バジリスクさん?」

『やばい、ウチの会社の前にモンスターだ、早く来てくれ!』

「え…!」

ガチャ。

「部長、急ぎの用事が出来ましたんで行ってきます」

「あ、おい!」






バジリスクの勤める会社にて。

「ねぇ、剛士郎くん、会社のロビーが岩と水で埋め尽くされてるんだけど。三階も一部機械が凍ってるよ」

「すいません」

「もうクビだから」

「…………。」






クラーケンの勤める会社にて。

「どこ行ってたの」

「モンスター退治に」

「これからもそういうの続く?」

「…はい」

「…クビ」

「…………。」






クラーケンが家に帰ると、三人もいた。

「皆さんもですか」

「見事にクビだな」

「他には策はあるか?」

「俺達が一般会社に勤めるには力が邪魔だった。だから、力を有効活用できる場所を選ばなくてはいけない」

「クラーケンは消防だろうな」

「ペガサスさんは科学関係?毒を研究して」

「サンガーは発電所確定だな」

「バジリスクは空手教室でも開いたらどうだ?」

トントン。

「どうぞー。」

「あの…列島テレビの藤巻です」

「インタビューでしょうか」

「いえ、そんなものではなく、皆さんのドキュメンタリー番組を作るために交渉に来ました」

「ドキュメンタリー番組だァ?」

「はい、皆さんが普段から何をしているのか、敵と戦う様子などを週一で組む予定です。勿論、スタジオ収録もあるのでギャランティーも弾みますし…」

「詳しく聞かせてもらおう」

「食い付きましたね、ペガサスさん」

「だまらっしゃい、クラーケン君。これは大チャンスだぞ」

「では、詳しい説明を…。予定としては水曜日夜九時から『リアルヒーローズ』という番組でやる予定です。内容は、普段、戦い、スタジオの三段構成で、ギャランティーとしては…」

「やりましょう」

「やるしかないな」

「状況打開だ」

「フェニックスには後で言えばいい」

「やってくれますか?やった、首の皮一枚繋がった!」

「藤巻さん、アンタそんな崖っぷちだったの?」

「はい…僕が企画した番組は視聴率が悪く、次に変な番組作ったらクビって言われたんですよ…。ホント、皆さんのお陰で助かりました…。」

「悲惨だな…。」

「では、僕は上に報告しなくてはなりませんので失礼します。」

ガチャ。

「金が入るぞ…!」

「入金零からの脱出だ…!」

「俺達も、あの人も救われたぞぉー!」






夜六時。

テニスから帰ってきたフェニックスは目の前の出来事に目を丸く、いや、点になったかもしれない、それとも、白眼を向いた可能性もあるが…とにかく、驚いた。

「お帰り、フェニックス!」

「これは…一体?」

「ああ、これの事か…これはな…。」

「テレビカメラ」

「見りゃ解るわっ!俺は何でそんなものがあるか聞いてんだよ!何でディレクター一式揃ってんだよ!」

ディレクター一式がフェニックスに頭を下げる。

「テレビ番組だよ、テレビ番組。」

「それも解るわいっ!テレビカメラとディレクター一式が揃ってテレビ番組以外の何を思い浮かべるんだ!」

「水曜夜九時に僕らの番組が始まるんです。名前は『リアルヒーローズ』ですよ」

「ゴールデンタイムじゃねえかっ!そんな番組朝八時のヒーロータイムにやれ!」

「局が違うよ」

「知るかー!!」

「まあまあ、フェニックスさん落ち着いて。あ、僕は担当の藤巻です。」

「藤巻さんお帰りください」

フェニックスが目の焦点を合わせずに言った。

「フェニックス、お客様だぞ」

「割にはテメエらソファーにふんぞり返ってんじゃねえか!」

「日常を映してんだよ、日常を。テレビだって見てるし」

「嘘つけ!いつも島国放送のニュース見てるくせに今日に限って列島テレビのバラエティー観てんじゃねえか!」

「いや、たまにはギャランティー観ても良いじゃねぇか」

「ほー、ギャランティー貰ってますか」

「はっ…!」

「賄賂じゃねぇか!」

「人聞き悪いですよ、出演料じゃないですか」

「偽造した日常映されて何が出演料じゃ!家ん中映されて金なんか貰わねぇよ!局破綻するわ!」

「スタジオ撮影もあるらしいぞ」

「行って何すんじゃ!モンスターの解説でもするのか!?」

「技の紹介」

「一時間で終わるよ!何が週一…」

「水草雷土奥義!」






シュゥゥゥゥゥ…。

「いんやー、気にせず撮ってください。これも日常ですので」

「…………。」

ディレクター一式、唖然。






夜十時。

テレビ局の人達が帰っていった。落ち着いた所でフェニックスが話し出す。

「何でいきなりテレビ出演しようなんて思ったんだよ」

四人が顔を見合わせる。

「もう…言いましょうか…?」

「言った方がいいな…。」

「あのな、フェニックス。ウチは財政がヤバイんだ。しかも、モンスター退治のせいで一般会社に就職は出来ない。そこにこの話が飛んで入ってきた。俺様達はすがったんだ」

「そうだったんだ…。」

「精神年齢は高いとは言え、まだ十三歳のフェニックスにはそんな話はしたくなかったが…言うしかなくなったからな…。」

「…………。」

「仕方無いんだ、許してくれ…。」

「もういいよ。ま、テレビ番組っつーのも悪かないかもな!」


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