過去の回想 二界道編(一)
五人は二界道に入ると、体が疼くのを感じた。
「忘れない、この感じ…!」
「力が、蘇ったのか?」
「試してみよう。せーのっ、」
「フレア!」
「ウェーブ!」
「ポイズン!」
「サンダー!」
「クラック!」
五人の手から懐かしいあの技々が出てくる。
「やった!」
「もうちょっと早く戻ってくれれば、こんな所来なくて済んだんですが…。」
「まあ、つべこべ言っても始まらん。進もう。」
進むと、モンスターが現れる。
「キョアアアアアアアアアアア」
「何だァ?敵か?」
「キョアアアアアアアアアアア」
「ちっ、フレア!」
モンスターが燃える。灰になった。更に進む。
「死んだらヤバイって言ってたけど、大したことねぇな」
「まあ…気は抜かない方がいいだろ」
すると、モンスター、いや、人間が現れた。
「誰…だ?」
「私は二界道の最初の番人、私を倒さんと先には進ません」
「あんたは地下界の人間なのか?」
「ああ。地下界きっての精鋭部隊だ」
「最初の、ってことはまだ番人がいるのか?」
「ああ」
「よしっ、やるぜ!」
「ギガフレア!」
フェニックスが番人に炎を吹っ掛けるが、それを吸収してしまった。
「無駄だ。私は火、水、草、雷、土の五つの力を吸収することが出来る」
「ならば、肉弾戦にするまでだ、どうぞ、クラーケン君」
「わぁ、やっぱり僕がやるんですね」
と言いつつも、クラーケンは番人にキックをかました。だが、番人はその足を回し、クラーケンを地面で固めた。
「ぐはっ!」
「クラーケン!」
「お前らが思っている通り、私の弱点は肉弾戦だった」
「…だった?」
「今は克服している。私には勝てない」
「くそ…」
「お前らはここで死…がああっ!」
番人が吹き飛ぶ。血が舞った。
「な、何があった?」
驚いたバジリスクが唸る。その後ろには、銃を構えた…
「大統領!」
ペガサスが叫ぶ。
「ヘーイ、ペガサス、サンガー、ソノトモダチ!スケダチニキタヨ!」
「大統領、どうしてここに!?」
「ペガサスタチノイエヲ、トウチョウシテタラゼンブキイタネ!」
「盗聴してたんすね…。」
「トニカク、イマミタイナテキハ、ボクニマカセルネ!」
「大統領、どうして銃を…?」
「イッコクノアルジタルモノ、ジブンノミハジブンデマモル!」
「趣味だな…。」
「ああ、趣味だな…。」
「ぐふっ、許さんぞ、貴様ァ…。」
タァーン、タァーン。
「フゥ、アブナカッタネ!」
「大統領、俺達攻撃されてませんよ…。」
「大統領、アンタ人殺したかっただけでしょ…。」
「ヒトギキノワルイ!シュミジャモノタリナイカラホントニコロシタダナンテ!」
「大統領、俺様は『趣味じゃ物足りないから』なんて言ってませんよ…。」
「ジカンガナイ!サキニススムネ!」
「大統領、もしあなたが死んでしまったら政治はどうなるんですか?」
「フクダイトウリョウニスベテマカセテキタヨ」
「覚悟ありますね…。」
「マァ、キミタチガタスケテクレルト、シンジテルカラネ!」
「大統領…。」
「ここから先には進ません」
第二の番人だ。
「さっきの奴みたいに、特殊能力を持っているかもしれません…。様子を見ましょう」
「ああ」
「さあ、かかってこい!ぶちのめしてやる!」
番人は構える。
五人は様子を見る。
「どうした、怖じけついたか!?さっさと来やがれ!」
番人は挑発する。
五人は様子を見る。
「第一の番人は倒したようだが、ここまでだと悟ったようだな!自決でもしろ!」
番人は調子に乗る。
五人は様子を見る。
「ねぇ、あなた達攻める気0?」
番人は疑問を抱く。
五人は様子を見る。
「そろそろ攻めない?」
番人は誘惑する。
五人は様子を見る。
「お願いします、攻めてください…。」
番人は土下座する。
五人は様子を見る。
「もう怒った、怒ったぞ…!こうなったら俺の唯一の力、『ビッグバン』で…」
「よし、こいつは変な技を持っていない!全員一斉に攻めるぞ!」
「え?ちょ、あ…いやああああああああああああ」
「ミンナ、オモシロイタタカイカタスルネ…。ア…アハハハ…。」
天上界にて。
「鰻丼、五人はどうじゃ?」
「地上のお友達が助けてくれたようだが」
「なんじゃ、人の力借りたんか。まあ、友達ならいいか。」
「友達ならいいってどういうことだ」
「頼り、頼られる相手なら良いってことよ。わしとそなたみたいなものだ」
「お前に何か頼られた覚えはないが」
「そなたが使いであるフェニックスを寄越してくれなければ、娘は友達のいないまま死んでいたからな…。」
「娘ねぇ…」
「子供はいいぞ、そなたも婚約してみてはどうだ」
「どんぶりに入った鰻としか婚約したくないね」
「それはそなたと鰻丼だけじゃ…。」
「百歩譲って入れ物に入った鰻」
「鰻重と結婚するか?」
「誰が同族以外と結婚するか、お前みたいに一族を絶やしたくないと言う馬鹿みたいな理由だけで婚約などしない」
「蒲焼きにしたろか、彼女と串刺しになれ」
「心中ですかい」
「俺が三番目の番人だ、ここから先には進ませんッ!」
「あー、はい、とっとと自決してくださいね」
番人の横を一行が通り過ぎていく。
「戦わんかい、おんどれら」
「番人飽きた。ちったぁモンスター出さんかい」
「フッ、良いだろう。私の唯一の技、召喚術で貴様らには到底太刀打ちできないような…」
「エレクトローダー」
「あんぎゃ!」
サンガーが番人を痺れさせる。
「何すんじゃ!」
「凶兆は早めに始末しておくべきだろう」
「そうだぞお前、自分から『肉弾戦出来ません』と宣言しおって」
「してません」
「間接的にしとるわ」
五人がズバズバと番人に物申す。
「ちいっ、完全にコイツらのペースだぜ…。出でよ召喚獣ロシアー!!」
「ロシアーだァ?国名に横棒つけただけじゃねえか」
「フッ、地上一大きい国の名を取った召喚獣の力、見くびるでない!」
総力奥義で出てくる五体よりも遥かにでかいモンスターが現れた。
だが。
ズドーン!!
顔が吹っ飛んだ。
「ロシアー!」
「何があった?」
六人が後ろを振り向くと、
「事務総長!」
「ワレラガチジョウノクニヲケガスモノ、ユルサン!」
バズーカを構えている。
「事務総長、そのバズーカは?」
「ジムソウチョウタルモノ…」
「はい、言いたいことは解りました、事務総長たるもの自分の身は自分で守るんですよね。でも、解ってますよ、趣味ってこと」
クラーケンがズバッと言った。
「グヌゥ…。」
「バズーカが趣味の国連事務総長って…?」
フェニックスが恐怖を顔に浮かべる。
「テメエ、地上じゃ偉いかも知れねーけどよ、俺のイッチバンの召喚獣を倒した罪はでかいぜ!?」
「ぷっ、バズーカで吹っ飛ぶ様な奴が一番かよ」
「じゃかぁしい!取り敢えずテメエぶっ殺…」
ドカーン。
「バズーカテイドデフットブクズガ、ワガミチヲフサグデイ!」
「お〜、怖」
こんな調子で、それからも七人は番人(それほどの実力では無いが)と戦っていった。
「そろそろ飽きたよ…。次で最後にしてくんねーかな…。」
「お望み通ーり最後にしてやるぜ!」
男が現れた。
「俺が最後の番人、俺を倒せば天上界!」




