過去の回想 サンガー編
朝、フェニックスがバジリスクに聞いた。
「なあ、お前銃持ってたよな?」
「ああ。それがどうした?」
「…お前は銃で撃たれて死んだのか?」
「ああ。春日の奴にやられた。」
「そうか…。」
「どうしたんだ?」
「いや、何でもない」
今日もクラーケンと地図を見ているのだった。
トントン。
「まぁーた客かよ!おい、バジリスク、俺たちゃあ地図見てんだ、お前が相手しろよ」
「へいへい。入んな!どちら様だ」
ガチャ。
「息子の琢磨…サンガーとかいう奴を連れてきてくれ」
「ほう、琢磨の親父か。解った。連れてくらあ」
そう言うと、サンガーの部屋に入った。
「連れてきたぞ。親子思う存分話しな」
「…………。」
「…………。」
サンガーも、その父も黙ったまま外に出ていった。
「固ぇ奴だな、あの親は」
「まあ、人それぞれでしょう。それにしても、我々が力を使えないときに限ってお客さんが来ますねぇ…。」
因みに、昨日天上界にて。
「杖よ、我の四回目の注文を実現させよ。五人に過去を振り返させたまえ」
ガチャ。サンガーとその父が入ってきた。
「息子は今日何時に起きた?」
「え、さっきまで寝てたぜ?」
バジリスクが答える。
「ほら、琢ちゃん嘘はいけませんよ」
「ぶっ!琢ちゃん…」
フェニックスが吹き出す。
「親父…その名で呼ぶなや…。」
「何を、十七年前に二人で約束したじゃないか!」
「もう大人なんだよ…。」
「男同士の約束は破れんぞ」
「まあ、お父さん。少しはサンガーさんの言い分も聞いてあげたらどうですか?」
「琢ちゃん、どう思ってるんだ?」
「もう…俺に会いに来るな」
サンガーがハッキリと言う。
「おいおい、サンガー!そいつぁ、ダメだろ!」
フェニックスがたしなめるが、サンガーに聞く様子はない。
「そうか、琢ちゃんがそう思ってるなら父さんはもう来ないよ…。」
「おい、アンタもそこで折れるのかよ」
ガチャ。サンガーの親は帰った。
「サンガー」
「どうした、フェニックス?」
「お前それでいいのかよ」
「…構わん」
「嘘つけ」
「本当だ」
「嘘だな。」
「だから、本当だと…。」
「おい、クラーケン、バジリスク、あっちの部屋で地図見るぞ」
「おい!」
ガチャ。
「…………。」
「何故あんな事をしたのですか?僕にはサンガーが嘘をついてるようには…。」
「わしも見えんかった」
「俺も見えなかった」
「え゛」
「じゃあ、どうして?」
「まあ、人間は心変わりが早いからな…。」
だだだだっ、ガチャ!
「ほぅら、追いかけてった」
「フェニックス、ありがとう。お前がそそのかしてくれなかったら俺と親父はもう会えなかっただろう」
「ふーん、じゃあ、地図見るの手伝ってね」
「父との感傷に浸るのは?」
「今忙しいんだから」
「フェニックス君、主婦モードですか」
「主夫だな」
「ああ、主夫ですね」
天上界にて。
「フェニックスの考えが読めなくなってきた。完全に四人より大人だぞ…?」
「で、親父には何て言ったんだ?」
「約束の消滅と俺はもう大人だということ、父親として尊敬はしていると言った」
「ふーん」
「俺はあの時本当に親父に会いたくなかった。でも、お前にそそのかされたら何故か会わなければならないと思ってしまった。何をしたんだ?」
「別に」
「本当の所は」
「地上と天上界結ぶ扉見つけたら教えてやるよ」
「…………。」
昼頃、フェニックスが寝ている時に三人は集まった。
「小会議です。議題は『何故フェニックス君は大人なのか』です」
「弟妹がいて、よく世話してるとか」
「十三歳未満と二十代三十代の我々を同じようには扱えんだろう」
「そういう人格」
「家が出来る前はあいつボケツッコミの激しい奴だったぞ。俺達に何かを教え諭すような奴じゃなかった」
「…………。」
「そう言えば」
「何かあるのかクラーケン?」
「僕の時にはこんな事を言ってました」
「何て?」
「『チェッ、過去を乗り越えたから技取り戻せるかと思ったんだけどな…。』と」
「それで?」
「サンガーさん何か乗り越えましたか?」
「え?親父と過去を乗り越えたんじゃ」
「それ、お父さんが乗り越えただけじゃないんですか?」
「…………。」
すると、
「うっせーぞお前ら…。」
「あ、フェニックス君起きました…。」
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