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第80話 殺人カップルは移動手段を手に入れる

「この要塞で他の国に攻め込むつもり?」


「ああ、便利な機能も搭載されているからね」


 この浮遊島には転移装置がある。

 巨大亀の魔力を利用して、設定した座標に飛べるのだ。

 この機能で我々の近くに転移し、いきなり襲いかかってきたのだろう。


 距離に比例して消費魔力が増えるそうだが、私とジェシカは無尽蔵の魔力量を誇る。

 巨大亀のエネルギーが枯渇した場合は、我々のものを充填すればいいだろう。

 実質的に使い放題というわけだった。


 これで我々は、一瞬で遠距離へ行けるようになった。

 その恩恵は計り知れない。

 魔王都市への帰還はもちろん、大陸外への侵攻にも貢献してくれるはずだ。

 遥か遠くの国も、これで対岸の火事とは言っていられなくなる。

 世界全土を巻き込んで戦争ができる。


(帝国には感謝しなければならないな)


 浮遊島は帝国軍の差し向けてきた兵器だ。

 以前、我々が甚大な被害を与えて、もう打つ手がないと思っていた。

 まさかこのような秘密兵器を保有していたとは予想外である。

 分裂して他国に吸収される判断したのは早計だったらしい。


 やはり人類の底力は偉大の一言に尽きる。

 こうして想定を超えてくれると嬉しいものがあった。

 だからこそ、お返しがしたくなってしまう。


「よし、帝国に我々の気持ちをプレゼントしに行こう」


「名案ね。転移機能を使うの?」


「もちろんだ」


 私はジェシカに応じながら操作する。

 デフォルト設定された帰還用のプログラムを起動し、転移を実行した。


 一瞬の浮遊感を経て、映し出された画面の景色が変わる。

 地上を映すものに切り替えると、そこには工場の目立つ街並みがあった。

 人々がこちらを指差す姿までよく見える。


 ここは帝国領土の上空だ。

 浮遊島が保管されていた場所である。

 この地から発進して我々に襲いかかり、そしてあえなく返り討ちにされたのだった。


 すぐさま地上からの砲撃が開始する。

 要塞や巨大亀に炸裂したがびくともしない。

 この程度で撃墜されるほど浮遊島は脆くなかった。

 それは地上の彼らがよく理解しているはずだ。


 私は奮闘する人々を眺めながら指を鳴らす。


「これが感謝の印だ。受け取りたまえ」


 付近に無人の浮遊島が五つほど召喚された。

 誰も操作していないので、当然のように落下を始める。

 悪質な隕石と化した五つの浮遊島は、一切の慈悲もなく都市に衝突したのであった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第80話到達、おめでとうございます! [気になる点] >悪質な隕石と化した五つの浮遊島は、一切の慈悲もなく都市に衝突したのであった。 帝国、オワタ(たぶん)。 [一言] 続きも楽しみにし…
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