第81話 殺人カップルは自軍を鍛える
その後、我々は丸い一日をかけて帝国を滅亡させた。
浮遊島の性能を確かめるためだ。
転移機能で全域を巡り、各都市に浮遊島という名の隕石を降らせてみた。
結果、帝国領土はクレーターだらけのエリアとなってしまった。
無事な地域もあるが、もはや国家としては機能していまい。
帝国は行く末を見守る予定だったが、つい滅ぼしてしまった。
さすがにもう再建の望みはない。
ただ、おかげで浮遊島のスペックは把握できた。
練習したことで細かな機能も使いこなせるようになった。
操縦者が私とジェシカしかいないので使い勝手の悪い機能もあるが、搭乗員を疑似蘇生させて従わせればいい。
特に問題にならない。
それでも駄目なら、我々個人の能力でフォローすれば大丈夫だ。
いずれ浮遊島そのものを改造してもいいかもしれない。
今のままだと巨大すぎる。
我々が使いやすいように最適化すべきだろう。
(課題は山積みだが、まったく嫌にならないな。素晴らしい気分だ)
私は魔王都市の自宅で寛ぐ。
ソファに身を沈めて計画書を整理する。
浮遊島の入手で今後の動きが大きく変わり、いくつかの問題点が解消された。
取れる選択肢も増えた。
やはり転移装置の存在が大きい。
各国の状況を綴る資料に目を通していると、部屋の扉が開いた。
入ってきたのは血みどろのジェシカだ。
手には半壊した斧とククリナイフが握られている。
私は資料を置いて話しかけた。
「おかえり。戦況はどうなったかな」
「途中まで五分五分だったけど、私がひっくり返してきたわ。亡霊の軍隊を二万人くらい殺したわ」
「それはすごい。さすがはジェシカだ」
彼女は魔王都市に迫る英雄連合の迎撃に向かっていた。
軍事基地の地球戦力の秘密兵器という扱いである。
話を聞くと、向こうの英雄は亡霊を操る魔術師だったらしい。
現代兵器でどれだけ対抗できるか試したが、かなり粘られたそうだ。
こちらの損害は無視できない規模だという。
まあ、今回はジェシカがフォローしてくれたので良かった。
(地球戦力の諸君には、この世界での戦い方を学んでもらわなくては)
彼らはまだまだ戦い続けねばならない。
死を恐れない軍が理想だろう。
命を落としたところで、私が蘇生させることができる。
すべては我々を楽しませるためのコンテンツだ。
精一杯に頑張ってもらおうじゃないか。




