第十章 それぞれの時間-7-
次は、実技訓練。今回は、剣の扱い方だった。
「武器を扱う時には注意して。これは、確実に他者を傷付ける物よ。慎重に……」
ミーシャの説明を聞き終わる前に、少年達は、互いの剣をぶつけ始めた。
なんともお粗末な剣捌きに、重々しい音が鈍く響く。
「おらぁ!」
「とぉうりゃ!」
剣をただぶつけ合うだけのそれに、ミーシャの堪忍袋の緒が切れる。
「いい加減にしろぉ!」
「うわああ!」
「ミーシャ先生がキレたぁ!」
強い突風が吹き荒れ、少年達から剣をすべて取り上げた。
もちろん、剣を振り回していなかったあの少年も例外ではない。
「武器はしばらく禁止! あんた達にはまず筋力を鍛えてもらうわ!」
「えぇ⁉」
「剣持ちたぁい!」
突風で地べたに這うことになった少年達は、それでもぶうぶうと文句を垂れる。が、ミーシャは一切聞かなかった。
「うっさい! 何が剣よ! あたしに拳一発も入れられないくせに!」
「魔法がなかったら、ただの女だろ?」
「そうだぜ。調子に乗んなよ?」
ミーシャの一喝に、少年達も睨みつける。
それにもミーシャは動じない。
「じゃあ、やってみる? あたしは魔法を使わない。一発でもあたしに拳を当てられたら、あんた達の勝ち。好きにすればいいわ。あたしが勝ったら、腕立て伏せ、腹筋を五百回ずつ。どう?」
二十人、正確には十九人で一人冷めた目をして離れていたが、少年達が、ミーシャを取り囲む。
皆血の気の多い者ばかりだった。
「後悔すんなよ? ミーシャ先生?」
「さぁて、後悔するのは、どっちかしらね?」
「ッけんな!」
背後から一人振り被ってくる。それが合図だった。




