表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/149

第九章 それぞれの仕事-13-

 宿屋に戻れば、一階の食事処にミーシャとエザフォスが待っていた。

「おかえり! カズホ」

「どうだった? 役所の仕事ってぇのは?」

 二人とも仕事内容を聞きたくてうずうずしているようだった。

 が、何故か二人の顔を見たら、また肩が重くなった。

「まあ、いろいろやったよ。はあ……」

「どうかしたの?」

「変な奴に絡まれたりしたのか? あそこは人が多いからな」

「まあ、変な……いや、仕事は慣れたらどうにかなりそう。今日も西へ行ってみるか?」

 あまり話したがらないカズホに、ミーシャとエザフォスは顔を見合わせた。

 が、西の調査はしなければならない。

「さっきタクシィに空から見てもらったけど、まだ穴は開いていなさそう」

「アベレスにも土から何か聞こえねぇか調べてもらったけどよ、変な感じはないそうだ」

『俺様が提案したのだ。わざわざ西に赴かなくても、俺様達の耳や目を使えとな』

「アベレス。約束忘れたの?」

『あっ、パン』

 それだけ言って、アベレスは引っ込んだ。

 道理で静かにしていると思えば、ミーシャから何かしら約束事をさせられたのだろう。

 が、カズホにはそれに突っ込む気力もなくなっていた。

「そうか」

 どっかりと椅子に沈み込むカズホを、ミーシャは心配した。

「ほんと大丈夫? 今日はあたし達が調べるから、カズホは先に休んだら?」

「そういうわけにはいかないさ。昼間も、ルイーズさんに調査はちゃんとするって約束したし」

「リーダーが倒れちゃ、意味ねぇだろ。夕刻に穴が開かなかったとすりゃあ、今日は静かそうだしな」

 カズホが返答しかねていると、決まって口を挟む者がいる。

『カズホ、仲間の言葉は大事だ。今日のところは、大人しくしているのだな』

 いつもだったら反発しているが、それすらもできない。

 相当疲れていることをカズホは実感した。

「分かった。お言葉に甘えるよ。ごめんな、二人とも」

「いいってことよ。代わりに、俺がへばったら、若いもんが頑張れよ」

「おじさんになるって大変ねぇ」

「ああ、そうなんだよ。おまえらも、いずれこうなんだから、しっかり見習え」

「はいはい」

 二人の普段通りのやり取りに、ふっとカズホは笑った。

 が、同時に眠気が襲ってきた。

(お節介だったのかな?)

 二人に調査を任せ、カズホは自分の部屋へと戻ったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ