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第九章 それぞれの仕事-7-

「あぁもう、タクシィ、やめて。アベレスをいじめないの! アベレスも、一人占めしない! 仲良く食べられないんだったら、没収します!」

 アベレスが銜えていたパンをひょいと取り上げ、ついでにエザフォスが手を伸ばそうとしていたパンの籠も持ち上げた。エザフォスが、少し悲しそうな顔をしているのをカズホは見てしまった。

(完全に子ども達の喧嘩の流れ弾を食らった休日のお父さんだ)

『あぁ~パン~……!』

『すまぬ……ちゃんと半分コだ』

『そういえば、赤い竜は? 分け前は減ってしまうことは解せぬが、仲良くせんと没収されてしまう』

『ならば、三分コだな』

 変に生真面目な幻獣達に、カズホは笑みを零しながら言う。

「二人で食べていいよ。ルベルは、朝に弱いみたいで、まだ寝てる」

 分け前が減らないことが余程嬉しかったのか、アベレスとタクシィの顔が輝いた。

『では、半分コだな! ミーシャ、半分にしてくれ』

「はいはい。いい? 大人しく食べてよね?」

 ミーシャの念押しに、猫と小鳥はコクコクと忙しく頷いた。

 これにはエザフォスも苦笑する。

「ミーシャは良い母親になりそうだな」

 なんやかんやと怒りながらも、ポロポロとパンくずを零す二人の下にいらない布を敷き、タクシィの分は食べやすいサイズに千切っていた。

「良い男もすぐに言い寄ってきそうだしなぁ」

 エザフォスがにやりとカズホを見た。

「なっ、なんで俺を見るんだよ?」

「まあ、おまえらはどちらかと言えば、兄妹みてぇなもんだな」

「っ……」

 痛いところを突かれる。

 傍から見たら、兄妹のような関係。それが一番自分達もしっくりくるだろう。

 カズホはそう自分を納得させ、残りの豆スープを頬張った。

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