第七章 穴-5-
大通りに出て、宿屋へと一旦戻ることにする。食事処で今後のことを話すためだ。
外はまだ明るく、人の通りも多い。
新しい武器を手にして、古い物は売る。持ち過ぎは旅の邪魔だ。今まで使っていた物を手放すのは寂しい気もするが、その感覚もカズホはだんだんと身についてきていた。
途中、ミーシャのアクセサリーも新調した。魔法の力が込められている品もあり、それが能力を高める効果もあるそうだ。
(よくゲームでやっていたことを、今実際にやってるのも不思議だ)
ただ違うことは、その効果が実際にどう反映されるかが分からないということだった。
だから、そういった物はむやみやたらと買わず、ミーシャは自分のオシャレを基準にして買っているようだった。今回は、深緑のピアスを買っていた。
「似合う?」
「うん、似合うよ」
「ほんとさっきのテンションはどこへ行ったのよ?」
買うことは決定事項なのに、結局カズホは怒られた。
昼食時を少し過ぎた頃に宿屋に戻れば、アイマンがコーヒー淹れて待ってくれていた。コーヒー豆もよく育つらしく、この国の人々は好んで飲む。しかも、ブラックだ。
(これ、会社にほしいな)
味も濃く、かといって酸味が強いわけではないエリミヤ産のコーヒー豆は、ブラックが苦手なカズホでも美味しいと思った。
「さぁて、どうしましょうか? リーダー」
「へ? リーダー?」
「そうだな、カズホがこのパーティーのリーダーだ。頭は決めといた方がいい」
戦い慣れした二人にリーダーと言われても、カズホはピンとこなかった。
と、不満声がする。
『何故だ? 俺様がリーダーではないか?』
「あんたは幻獣でしょ⁉ てか、なんでそんな勝手に出てくんのよ?」
またもや突如半透明で顕現したアベレス・リョダリに、ミーシャは噛みつくように言った。
周りに客がいなかったことは幸いした。
『何故って? 俺様は自由だ。宿主がいようともな』
「だそうだ。俺も別にそれで構わんからな」
「あなた達はそれでいいかもしれないけど、人が多いとこでそんな出たり入ったりしないでよ! みんな驚くでしょ?」
『口煩い女だな。嫁の貰い手がなくなるぞ?』
「余計なお世話よ! 飼い主に似るの?」
「なんで俺に飛び火した⁉ 俺はこんなに口悪くねぇぞ?」
『解せぬ。口悪いとはなんだ? 正直なことを言っただけだ』
「正直って尚悪いわよ!」
『それに、エザフォスは飼い主ではない。俺様の、……僕だ』
「それこそ解せねぇよ!」
「あぁもう! これじゃ話が進まないだろ!」
さすがにこれ以上は収拾がつかなくなると思い、カズホも声を上げた。
旅の同行者が増えるのはいいが、賑やかになり過ぎだ、と肩を落とす。




