第十三章 不安と絆-6-
カズホは、眠気眼でいつものテーブルに着く。二日酔いで、頭もガンガンしていた。
あの後、部屋に戻ると、カズホの部屋でエザフォスとアイマンがワインで出来上がっていた。
部屋に帰れと散々言ったが、なぜかそこに巻き込まれ、最後まで付き合わされる羽目となった。ミーシャとのことや、今回の仕事のことで突っ込んだことを聞かれるわけでもなく、ただサリアの美味い料理屋や、酒はどこがいいとか、それぞれがしていた仕事のことなどをやんわり話すだけの場だった。幻獣達は小サイズで互いに身を寄せ丸くなり、目を閉じていた。最初は嫌がっていたアベレスだったが、離れようとしないラオ・タオに折れた。そうしていると、よくテレビ番組に出てくる仲の良い猫と子猿のようだった。
最後に、アイマンが、カズホとエザフォスに頭を下げた。
『うちのじゃじゃ馬娘を、今後ともよろしく頼みます』
エザフォスに小突かれ、カズホが先に返事をした。こういうところが鈍感なのだと、カズホ自身思った。
ぼぉっとした頭で座っていると、目の前にビーンズスープが置かれた。ここではもう定番で、カズホの大好物になっていた。
「昨日は遅くまですまないな」
「いえ、こちらこそ。懐かしい時間でした」
その気持ちに嘘はない。気兼ねをしないわけではなかったが、穏やかな時間だったことに間違いはない。
これから先に、そういった時間があるとは限らない。
そう、今日は――
「おはよ、カズホ」
「あぁ、おはよう、ミーシャ」
緩慢に顔を上げれば、ミーシャは心配そうに首を傾げた。
「どうしたの? 昨日の疲れが残ってる?」
昨日の仕事の疲れよりも、ワインが残っていると言った方がいい。が、それは口にせず、カズホは「ちょっと」と苦笑して誤魔化した。
最後にエザフォスが下りてきた。「よぉ」と言った彼も、少しワインが残っているようだった。
「で、どうすんだ? 二人でこの先どこ行くんだ?」




