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最終話

 閻魔様からあまりにも理不尽な宣告を受けた御崎陽子は、顔に血の気が戻り、額に青筋を浮かべ、往年の加藤さんを連想させるような鬼の形相で閻魔様に向かって突進し始める。


 危ない。と思うより先に、御崎陽子は閻魔様の1メートルくらい手前で、透明な壁のような物に弾かれて5~6メートル吹っ飛んだ。


「公務執行妨害。っと」

 閻魔様がそう言いながら書きかけの書類にペンを走らせ、判子を押すと、御崎陽子の姿が消えた。一瞬、地面から下に落ちて行ったようにも見えた。


 これで、全部終わったんだな。と妙な達成感を覚えた。


「さて、諸君、これにて名探偵小林君の事件簿は閉幕だ。扉を出すよ。準備は良いかい?」閻魔様が書類を2枚並べながら、僕達に尋ねる。


「はい、あ、柏木さん、本当に有難うございました。このご恩は一生忘れません!」

 すっかり、柏木さんの存在を忘れていた僕は、ドアの方を振り返り、頭を下げて礼を言う。


「いえ、私なんて……良かった……本当に良かったですね、小林さん……」

 柏木さんはそう言って、僕のために涙を流してくれる。

 それを見て、僕も感極まって泣きそうになる。


「そんな、今生の別れみたいな挨拶しなくても、扉の先は同じ場所だよ。今なら伊藤も近くにいるはずだ。天国に着いたらそこは天国の生活課だ。そこで簡単な説明と手続きを受けたら君達には好きな所に望むがままの住居が無償で用意される。まぁ、天国に金なんてないからね。近所に住めば毎日会えるじゃないか」

 書類を作成しながら閻魔様が言う。


「あ、そうなんですか。あ、閻魔様も、ありがとうございました」

 色々と不満はあったけれど、良い結果に導いてくれた事には変わりない。長々と別れを告げると、名残惜しくなりそうで、簡潔に礼を述べる。閻魔様に会えなくなるのが未練で地獄行きだなんて笑えない。


「ん? どういたしまして。それと、ボクにも会いたいと思ってくれるなら、連絡をくれれば何時でも会えるよ。仕事中は無理だけど」

 あ、そうなんだと安心する。


「そうだ、君達に提案がある」

 書類を書き終えた閻魔様がペンを置き、僕達に向かって言う。


「君達、ボクの下でバイトしないか?給料はないけど、人の役に立つ仕事だ。柏木君はそういうの興味あるだろ? 小林君も、天国には殺人事件は無いからね、ここなら殺人事件には事欠かない、君にとってピッタリの職場だ。それに、君程の名探偵を雇えるなら、ボクはなんだってするよ」


 さっきから僕の事をおだて過ぎじゃないかと思いつつも、名探偵と言われると、どうも照れてしまう。


「考えておきます」と柏木さんが微笑みながら答える。


「僕も考えておきます」と便乗する。


「うん、前向きに検討してくれ。これが名刺だ」


 名刺には、見た事もないような桁の電話番号が記載されていた。


「それじゃあ、君達の扉を出すよ」


 閻魔様が判子をポンッポンッと2つ押すと、僕達の目の前にそれぞれ、扉が現れた。


 少し緊張しながら扉に手を掛けると、扉は何の抵抗も無く、呆気なく開いた。


「それじゃあ、改めて、ありがとうございました。必ず連絡します」

 軽く会釈をして、僕と柏木さんは光の中へ消えて行った。




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エピローグ



「ふぅ~」

 二人を送り出した後、ボクは安堵のため声を漏らす。


「無事に扉が開いてくれて良かったよ。どうやら、アレで名探偵になった気でいるらしい。ボクのヨイショが効いたかな」

 首をコキコキと鳴らして、大きく背伸びをする。


「う~ん、これで一件落着。これでしばらくは仕事も落ち着くだろう。この1週間は久しぶりに多忙だった。そして、くたびれた。面接以外であんなに人と話したのは何時ぶりだろう?」

 暗闇の中、突如訪れた静寂に、ボクは少しばかり寂寥感を覚える。


「小林だけでも無理やりここに置いておくべきだったか? 未練残して無理やり善人アピールの書類でも作れば、ニートでも或いは? いや、流石にこれはバレたら始末書じゃ済まないかもしれないな、私情入りまくりだしな。しかし、こっちから連絡を取るのも癪だしなぁ。そうだ、柏木に天国案内でも申し出てみようか、協力のお礼って形で。小林もついでに。」


 そして、ボクは手早く机の上を片して帰路に着いた。次の休日を待ち侘びながら。




<了>

 最後まで読んでくれて有難う御座います。

 とりあえず、連続通り魔事件編はこれで終了です。

 普段、小説を読まない私が初めて書いた処女作なので、読み苦しい点が多々あったと思われます。

 特に横書きの改行の仕方とか、なろう読者好みの文体とかは未だによくわかりません。

 なろう作品もほとんど読んだ事無かったので。

 

 この作品を執筆した経緯は『とにかく、暇だったから』です。

 とりあえず、転生モノにしよう。けど、終わりを考えずにダラダラ書くのは嫌だ。最初だし、短めで終わらせようと考え、推理物にしました。犯人捕まればそこでストーリーが終わるから。

 ただ、主人公が犯人探ししてないのに、偶然犯人がわかっちゃった。みたいな、推理物っぽくない、推理物を書こうと思い、こういう作品になりました。

 密室トリックとか、考えるのを諦めたというのも理由の一つです。

 ただ、犯人は強キャラにしたかった。難しいトリックなしで、犯人が捕まらなさそうな殺人事件という事で通り魔事件を選択しました。

 実際は監視カメラやら指紋ですぐに捕まっちゃうだろうけど、御崎は優秀なので、完璧に証拠を残さず、遂行しました。

 本編では書かれてませんでしたが、御崎が自殺方法は、薬の量を調節して、自分に注入した後に注射器は川に捨てました。


 一人称視点で書いたので、小林が確認出来なかった事実が他にもいくつかあります。

 加藤の遺書。あれは遺書ではなく、たかしに金子殺害を指示する物でした。閻魔様にバレたら即、地獄行きの行為でしょう。たかしの証拠を消したのも加藤です。

 柏木のラブドールの件で、御崎が監視カメラの映像を消したのは自分の犯罪に変な尾ひれが付くのが嫌だったからです。

 後藤捕獲の際、小林が自分に注射した薬は毒薬ではなく、覚醒剤でした。

 大量摂取で死ぬところでしたが、その前に冥界に転送されたので回復しました。

 その後、いつもより頭の回転が早くなったのは覚醒剤の余韻です。


 他にもいくつか、回収されてない複線もどきがあると思いますが、それは次編への複線にするつもりでした。神谷清子とか、木村麻理亜とか、閻魔様の未練とか。

 ただ、異世界モノを書き始めたらそっちが面白くなっちゃったので次編は無いかもしれません。良かったら異世界モノの方も読んでください。異世界転生モノで人気のある俺tueeeとかハーレムとか、魔王とかを複数の主人公でやってしまう群像劇風の作品を執筆中です。

 続きを求める声があれば、続きを書くかもしれません。その場合、小林は閻魔様の助手になるでしょう。


 最後に、改めて、最後まで読んでくれた読者に感謝を。

 感想はなろうの方の感想欄に書いてくれると嬉しいです。いたずらコメントは削除するけど。

 では、次の作品『異世界に転生して色々したい』で会いましょう。会いに来てください。お願いします。


 



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