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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第2巻 コロティア編

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第16章 行かないで

 大声で叫んだら、かえって錆気が濃くなった。


 金属片がどんどん増えていく。飛ぶにもスタミナ、避けるにもスタミナが必要だ。


 少しでもスタミナを節約しようと何枚かはよく避けなかった——そのうちの一枚が、運悪く俺の耳を切り裂いた。


 HPはたった20しか減らなかったけど、綿毛が散って、その耳は動かなくなった。


【しまった。】


 空中から落ちていく。耳が初めて「何か足りない」と感じる。針で刺されたような感覚だ。


 その落下が、俺を一つの記憶へと引きずり込んだ。


「あの金属はどうやって動いているんだ? 魔女の仕業に違いない。」

「彼女は魔女の仲間かもしれない——」

「試してみよう。」


 切り口。


 メス。


 錆気が切り口から噴き出した。血じゃない。


 密閉された部屋。視界は錆気で塞がっている。


「やっぱり魔女だ!」

「生きた金属を操っているのはあいつだ!」


 杭。


 そこに縛り付けられている。誰よりも高い位置に。


 鉄の枠が顎を締め付ける。言葉を発せない。


 風が強い。


 彼らは前に押し出した。


 落下。


 底がない。


【……】


 ——


 戻ってきた。もう落ちていない。


 誰かが抱き止めていた。コロティアだ。体中に金属片が刺さり、穴が開いている。


「コロティア……」


【……お前。】


「あなた……全部見たのね?」


 手話だった。とても遅い。


「わたしは……危険なの……あの人たちを傷つけた……」


「だから……早く行って……この魔女から……離れて……」


「ちょっと待って、俺は——」


 蹄鉄が勝手に飛び出した。俺を引きずって崖の上へ飛んでいく。止まらない。


【ちょっと——!】


 崖の端に着いたとき、世界はもう崩壊し始めていた。


 バッグに何かが追加されていた。


【—システム通知:名無しの遺燼イジンを獲得しました。—】


 対岸の美しい景色も砕けてしまった。教会に戻るしかない。


 ———


「朔、大丈夫か?」


「私は大丈夫ですよ、リリィ。ごめんなさい、心配かけました。」


 優しい朔が戻ってきた。やっぱりな。


「リリィは一人でコロティア様と向き合ったのですか?」


「うん。この世界のルールが朔に影響しすぎてて、あなたは篝火のそばにも来られないんだね。」


「私の失態です。あの矛盾を……うまく処理できなかった。」


「いいんだよ。影響を背負いながら私たちを守ってくれて、もう大変だっただろう。」


「リリィの耳……それを悲しんでいるのですか?」


「違うよ。たぶんいつだってそうなるんだ。好きな人が死ぬのを見るのは、心が痛む。」


「好きな人?」


【しまった、口が滑った。】


「つまり……友達としての好きな。他意はないよ。」


「わかりますよ……」


「……え?」


「リリィは彼女たちをとても大切に思っているみたいですね。コーラとシエルのことも、あなたは手助けしようとしている。」


「うん、だってあいつらのことを……」


「友達。」朔が引き継いだ。「ええ、友達です。だからリリィはコロティア様を救うために、また自害する決断をしたのですね?」


「うん。頼むよ。」


「私が背を向けます。」


 また火の中へ足を踏み入れた。


【耳が欠けてるせいか、前回よりも火が……熱い気がする?】


 また行くぞ、コロティア。


 お前は俺を振りほどけない。


 ———


 輪廻をリセットした。アップグレードしていなかった布地の中で、左腕だけが粗悪な状態に戻っていた。


【服が無事でよかった。布地は次のマップで補えばいい。】


 縫合剤で耳の穴を塞いだ。


「行ってくる、朔。」


「うん。待っています。」


 護馬甲に乗って、また崖の端へ。


 これを返しに行かないと。


 谷底へ飛び降りた。


【—システム提示:(任意)行かないで—】


 蹄鉄の音を頼りに、すぐに彼女を見つけた。


「なぜ……あなたは……いつも戻ってくるの……」


 手話で尋ねる。


「蹄鉄を返すよ。あの時助けてくれたのはお前だろ?」


「馬たちの苦しみが……私には辛くて……地面に倒れているあなたを見たの……」


 手話はとても遅い。


 破片をかわしながら、錆気をかき分けて、逃げる彼女を追いかける。


「この手紙、大切な人が残してくれたんだろ? それも返す。」


「箱に閉じ込めたのは……そうやって……あなたを送り出したかった……」


「まさか……自分で出てくるとは……」


「私は……あなたを教会へ送った……」


「なのにあなたは……蹄鉄で……また来た……」


 彼女は泣いていた。


 目尻が光る。


「手紙は……父の……私はとても父に会いたい……でも父は私のせいで……わざと防衛線を守らなかったと濡れ衣を着せられた……」


「手紙はずっと送られなかった。でもこれが証拠——父は最後まで守り抜いた。」


「あの記憶も。お前は鉄枠で話せなかったのに、彼らは手話も覚えようとしなかった——」


「俺が代わりに叫んでやる!」


「コロティアはみんなを救った英雄だ! このバカども! 手話を覚えて、彼女の言うことを理解しろよ!」


 彼女は突然振り返った。


 瞳孔が開く。涙が止まらなかった。


 俺は飛んでいき、彼女を抱きしめた。


【名無しの遺燼】が彼女の頭上に漂う。


 蹄鉄、手紙、そして記憶の光点が、周囲の錆気を全て吸い取った。


 彼女は笑った。涙がまだ頬に残ったまま。


【—システム通知:コロティアの遺燼を獲得しました。—】

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