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転生ぬいぐるみ、俺は〈十八〉の全女ソウルライクBOSSたちに真の終局をもたらす!  作者: 野間羊
第1巻 フラグ編

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第12章 砕けた記憶

 聖殿を出ると、【名無しの遺燼イジン】はやっぱり自動的にバッグに入った。


【ううう……なんでフラグがあんなことしたんだよ? 俺の大剣、俺しか使えないはずじゃなかったのか? ちょっと背を向けただけなのに……】


 外の世界はもう変わり始めていた。


【ダメだ、この輪廻まだ終わらせられない。まだフラグを救ってない。】


【俺にできるのは、自害だけだ。】


【そうすれば、システムが報酬をもらってないと判断して、もう一回ボス戦をやらせてくれる。】


【でも、今持ってるもの全部を維持するには、教会の篝火のそばで自害しないとダメなんだ。】


「リリィ、正しい決断をしてくれて嬉しいわ。ちょっとこっちに来てくれる?」


 教会に戻ると、朔が青い蛍のそばに立って、何か考えながら俺を見ていた。急いで駆け寄る。


 次の瞬間、彼女は俺の後ろ首をつかんで持ち上げて、目線の高さを合わせた。


「朔?」


 ちょっと驚いて声をかける。この動作は大きな猫が子猫をくわえるみたいに優しいのに、彼女の目を見ると、なんだか変だ。


「言ったでしょ、お出かけするときは教えてって。でもあなたは教えなかった。」


 この顔、明らかに怒ってる——俺は戻ってきて何も言わずにまた行っちゃったんだ。


「ご、ごめん、朔。俺、フラグ……様の技にやっと慣れてきたところで、手応えを覚えてるうちにすぐにでももう一回戦いたくて……」


【言えば言うほど後ろめたいな。これじゃ説明になってない。】


「でも、私の話を聞いてから行くべきでしょ? そうしないと、私のこと無視してるのかなって思っちゃうよ……」


【無視? 朔がそんな風に思うことあるのか? 俺が自分の守護者を無視するわけないだろ!】


「次からはしない……いや、もう二度としない。安心して、朔、無視したりしないから。」


「約束してね、リリィ。」


「うんうんうん。」


 何度も頷いて見せたら、ようやく降ろしてくれた。


「そうだ朔、呼んだのは何の話?」


「この炎の光には、とても強い執念が込められてるの。なぜここに現れたのかはわからないけど、あなたがそれを感じ取れたのなら、もしかしたらセレス様に関係があるかもしれない。」


【セレスと関係がある?……朔の言う通りなら、青い蛍はセレスの執念ってことか?】


【じゃあ彼女の執念も、みんなを救うことなのか?……でもごめん、セレス、まだやってないんだ。】


「それに従って、何か見つけたの?」


 朔が俺の頭を撫でる。落ち込んでるのを察したみたいだ。


「ああ、あったよ。晶核の欠片ってやつ。」


 バッグから欠片を取り出す。


「見せてくれる?」


 朔が受け取る。欠片は彼女の手の中で温かい炎に包まれた——燃やしてるんじゃなくて、感じ取ってる。


「誰かの記憶が収められてるみたいね。あともう一つ足りない。」


「うん。」


「悲しまないで、リリィ。最後のやつは、もしかしたらもう現れてるかもしれない。」


「現れてるの?」


「世界の輪廻がまだ完了してないうちに、破晶聖殿ハショウセイデンに戻って見てごらん。」


「ありがとう、朔!」


 急いで篝火で転送した。


「それは彼女の意志であり、あなたの……」


 転送中、朔がそんなことを言った気がする。


【彼女の言う通りだ。セレスがみんなを救いたいと思うのは、俺も同じ。だって彼女は俺で、俺は彼女だから。】


【青い蛍が聖殿に着いたら消えたってことは、最後の欠片は絶対ここにあるはずだ。】


 案の定、フラグが自爆した地面に大きな割れ目ができていた。彼女が最初に立っていた場所だ。


 最後の晶核の欠片がそこで光っていた。急いで烁殻虫シャクカクチュウに体当たりさせて砕石をどかし、欠片を拾ってすぐに教会に転送した——さもないと、この地面はすぐに消えてしまう。


 転送中に、最後の記憶を見た——


 画面はボロボロに砕けてた。まるで鏡が割れて無理やり貼り合わせたみたいに。


 一対の目。


 人間の目じゃない。


 金色の縦瞳。深淵みたいに冷たい。


 その目の前に、一本の手がかざされてた。小さくて、震えてる。


「あなた……私と一緒に砕けなさいよ!」


 フラグの声だ。今よりずっと若い。怒りと憎しみ、そしてかすかな震えを帯びてる。


 破片が飛び散る。水晶じゃない。血だ。


 一枚の顔。フラグの顔——若くて、ひび割れのない顔。彼女は歯を食いしばり、両手を竜の額に押し当ててた。ひび割れは彼女の指先から広がっていく。


 そして、フラッシュバック。もっと細かいフラッシュバック。


 ぼやけた顔の数々。老人、子供、笑っている少女、眉をひそめる男。


 竜の影に少しずつ飲み込まれていく。雪が溶けるように。


 最後の顔が、フラグの前で止まった。


 一人の子供。ツインテールで、手に飴玉を握りしめてる。


 画面が一瞬止まった。


 その飴玉が地面に落ちた。


 砕けた。


 フラグの手が竜の額から滑り落ちた。ひび割れが彼女の腕全体に広がってる。彼女はうつむき、唇が動いてる。


 声はない。でも俺は口の動きを読んだ。


「……ごめんね。」


 記憶が途切れた。何かに乱暴に遮断されたみたいに、余韻すら残ってなかった。


 気づいたときには、教会の篝火の前に立ってた。


 手の中の晶核の欠片は、凍えるほど冷たかった。

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