23話「休息」
「びっくりしたじゃん!十月まで学校いんのかよ」
「うん。じいちゃんが毎日送り迎えしてくれるって」
夏休みが明け、二学期初日。優は何事もなかったかのように教室にいた。
「それにしても村長優しいね。まあまあ遠いんでしょ?」
「まあそれなりに。でもじいちゃん運転好きだったらしいから張り切ってたよ。朝早く起きるのが難点だけど」
「へぇ村長の意外な趣味だな」
「じゃあ十月までこれまでの分取り戻そう!俺ら前までそこまで仲良くなかったじゃん」
「そんなストレートに言う?まぁそうだけど」
「でも俺もうれしい、二人とまた仲良くなれて。ここを離れるのが名残惜しくなるけど、離れる前にこの村のことをいっぱい思い出せたから」
そう言うと、二人の表情が変わった。
「お前、そういうとこがイケメン」
「え?」
「思ったことを素直に言うのは優の良いところだよ」
「あ、ありがと」
ふと、既視感を覚えた。こんなこと前にもあったような…。
ちゃんと思ったことを、言いたかったことを誰かに言ったような。
『俺が、なんかモヤモヤするの!』
「あ…」
視線を感じて窓の外に目を向ける。
誰もいない。
「どうした?」
「いや、何でもない」
気のせいだろうか。何だか暖かい視線を感じたような気がした。
「優、そろそろ全校朝会あるから行こうぜ」
「あ、うん」
先を行く二人について行く。
でもさっきの視線が気になって振り返る。
「あ」
どこからともなく吹いた風に目を伏せる。
「え?」
柏の葉。
ひらひらと舞ってきたその葉は優の席に落ちた。
『とりあえず今月いっぱいは楽しめよ』
そんな声が、聞こえた気がした。




