第二十四話:王様 〜中学生トラブル編〜
こちらの作品は一旦終了し、改稿版として以下で連載を始めております。
大変ありがたいことに、旧版よりかは評判は良さそうなので、もしよければ以下よりご覧ください。
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俺は何をしても許される。
俺の親父は、徳島県議の「井口おさむ」だからだ。教員連中はそれを知っているが、同級生たちは知らない。勝手に俺の親はヤクザだと言い合っているが、それよりタチが悪いってことに気づいていない。
万引き、暴行、何をしても親父の力でもみ消してもらえる。俺は生まれながらにこの学校の、いやこの街の王様なんだ。
あまり頻繁にやると親父がうるさいから、一ヶ月に一回という「贅沢」なルールを決めていた。
ちょうど入学式の日のことだ。コンビニで堂々と万引きしたら当然捕まったが、一時間もしないうちに警察から解放された。しかも万引きしたチキンを、警察署の出口で食べながら帰ってやったんだ。
もう俺がしてはいけないことなんて、この世には存在しない。そう確信した帰り道、とんでもなく綺麗な女を見つけた。
緑のリボンの新一年生。小柄だが、顔と胸がとにかくいい!!
幸薄そうだが、顔と胸がとにかくいい!絶対にものにしてやる!
王様の俺が直接声をかけてもいいが、警戒されるのも面倒だ。適当な奴に命じて連れてこさせ、体育倉庫でじっくり味見してやる。
……そう考えていた。
だが、それは間違いだった。
俺が王様だというのも、ただの勘違いだったようだ。
なぜなら、王様というのは「誰にも殴られない存在」のはずだからだ。
俺は今、猛烈に殴られている。
抵抗することさえできないほど、一方的に。
真口と外口も、相当派手にやられている。それでも二人は、必死に「この男」を止めようとしてくれている。
俺は二人のことを便利な家来くらいにしか思っていなかったが、まさかここまでして俺を守ってくれるとは…涙が出そうだ。
……しかし実際に出ているのは、小便なのだが。
そして、なぜ二人が必死に止めようとしているのかが、ようやく分かった。
目の前に「本気で人を殺そうとしている人間」がいたら、生物としての本能が、死に物狂いでそれを止めようとするものなのだ。
目の前で事故が起きたら無意識に救護活動に走るあれだ。
俺は殴られすぎて、右肘から指先にかけての感覚がもうない。
左目の視界は真っ暗だ。
左足もおかしな方向を向いているようだ。だが、不思議と痛みはない。
痛いのは、砕かれた顎と、ひしゃげた鼻。あとは、ミシミシと嫌な音を立てて握りつぶされかけている左肩だけだ。
「この男」は、無表情のままだった。
力一杯、右手で俺の左肩を掴み、固定する。
そして、血まみれになった左拳で、俺の顔面を何度も、何度も、何度も殴打する。
俺は、どこがどう痛いのかさえ分からなくなってきた。
この「久世」という男。体格のいい真口と外口に両脇から組み付かれ、必死に引き剥がされようとしているのに、俺への攻撃は一瞬たりとも緩まない。
凄いことなのか、怖いことなのかすらもはや分からない。
だが、1つだけ分かったこともある。暴力というのは、「殺される」というのは、とても恐ろしいことなのだ。
生まれて初めて、底知れない「恐怖」を抱いたその瞬間、俺の意識は闇の中に沈んでいった。
こちらの作品は一旦終了し、改稿版として以下で連載を始めております。
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