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第十八話:二回目の中学入学 〜中学生トラブル編〜

新章開幕

二〇〇三年、春。 俺は地元の公立中学校の門をくぐった。 百七十cmを超えた身長と、四年間の「対・大毅用トレーニング」で磨き上げられた体格。おまけに顔には、かつての親子喧嘩で刻まれた、左目上の小さな傷跡が残っている。

しかし、一つだけ気がかりな点がある。親父を殴りに殴って壊れたはずの右手が翌日には何事もなかったかのように回復?していた。

元々壊れてなかったのかもしれないが、全身酷使したはずで、痛みでどうにかなりそうだったが、右の拳だけは綺麗そのものだった。

日々のトレーニングのおかげなのか?

思い返していると、聞き覚えのある声に振り向く。


「久世くん……あ、あの、入学おめでとう。これからまたよらしくね。」


後ろから声をかけてきたのは、同じ中学に進学した吉田さんだった。

元々影の薄い美少女だったが、綺麗な黒髪が伸び、ポニーテールがよく似合っている。横顔や仕草、そしておっぱいも、姉のみことさんにとても似てきている。

視界の端で揺れるその膨らみに、俺の脳内が「順調な成長率だな」と余計なログを吐き出す。

彼女は、俺が一木たちをハメた事件の真相こそ知らないが、俺に対して「信頼」のようなものを寄せてくれているような気がする。


「ありがとう。……吉田さん、中学ではもう変な奴に絡まれないようにね。もし何かあったら相談してね(今年からそんな余裕はないのだが)」


「う、うん。ありがとう。」


おっぱいをほんの少しだけ凝視してしまったせいか、どこか歯切れの悪い吉田さんと会話をしながら、俺は教室の自分の席に座り、おもむろに分厚い「判例百選」を取り出した。

表紙には、百円ショップで買った地味な紺色の布製ブックカバーを着けている。


「おい、久世。お前、朝から熱心に何読んでんだよ? 漫画か?」


さっそく、陽キャラ(クラスの調子に乗った連中カス)が絡んでくる。ニヤつきながら俺の机を叩く。


「……いや、ただの勉強だよ」


「あー? 見せろよ、隠すと余計気になるだろ!」


俺が止める間もなく、無遠慮な指がブックカバーを剥ぎ取った。剥き出しになったのは、中学生の教室にはおよそ似つかわしくない、細かな活字が並ぶ法学の聖典。


「……は? 判例……ひゃくせん? 弁護士……? お前、マジかよ」


絶句した奴の顔が、次の瞬間、嘲笑に歪んだ。


「あははははは! お前、そのツラで弁護士? ギャグだろ!」


爆笑するクラスメイト。そんなに笑うことがあるのか…どのツラなら、弁護士に相応しいのか。


(...あぁ、みことさんのようなご尊顔か。それならまだ納得だ。しかし、他人にどう思われようが笑われようがいい。ただ一つ教えて欲しい。君は誰なんだ…前世でも居たような気はするが名前がわからない。浜渡??ハマー?)


陽キャさんは、知らない間に消えていたが、前世ほど嫌な気持ちにはならなかった。俺には明確なKPI(目標)があり、優先順位が確定している。他人や環境に支配されていた過去とは違う。俺は、俺がやりたいことをやる。この軸さえブレなければ、他人の嘲笑など背景の雑音に過ぎないのだ。

このスタンスで、無駄な喧嘩や行事に割く時間を徹底的に「いなして」いこう。

当面のKGI(重要目標)は、「この三年間での、旧司法試験合格」だ。そのためにまずは、来年一月の「一般教養試験」に合格する必要がある。


KGIを達成するために全力をつくす。

(よく分からないイベントは起きてくれるなよ…)

自ら死亡フラグを立て、中学初めての授業に参加する。

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