お祝い
私に相談をした次の日に、ルイは母さんに冒険者になりたいことを伝えた。
母さんは嬉しそう顔を綻ばせ、「頑張ってきなさい」とルイに話した。
私もその日の夜に養成所の教員になる旨を伝えると、呆れた顔をされた。
「あなたねぇ…いつまでルイのお世話をするつもりなの?」
「ずっとしていたいよね」
「はぁ…」
なんでため息つかれなくちゃいけないんだ…
「…好きにしなさい」
「うん」
そして、最後には困った顔をしつつ、穏やかな水碧の瞳で私を見つめ、
「なにかあったら手紙頂戴ね」
私のことも応援してくれた。
そして、ルイが隣町のギルドで試験をうけ、無論合格した。どんな試験だったのか聞いてみると、いつもしていることをしただけ、と返ってきた。…冒険者になるための養成所なのに魔物狩りに行ったのかと、甚だ疑問に思った。
合格祝いに何かプレゼントしようと、ルイに聞いたが…
「ルイ、本当にこれでいいの?」
「これがいいんだ。ありがとう姉さん」
ルイが欲しがったのは私の短剣だった。刃が綻ぶたびに研いできたが、刀身が短くなりすぎて使わなくなった短剣だ。
「これ、切れ味はいいと思うけど…扱いにくいと思うよ。それにルイは剣使うでしょ?使うことなんてないんじゃない?」
「大丈夫、使わないよ」
「え?じゃあどうするの?」
「それは…」
言葉を濁し、どこか言いたげではない様子だ。
よ、余計に気になる…
私の視線に負けたのか、極まりが悪いように顔を背けて、
「…別にいいだろ」
……か、かわいすぎる…っ!!
これは、もしや、反抗期?!いつもなら、素直に答えてくれるルイがこんな態度をとるなんて…
弟の初の反抗期に嬉しく思っていると、母さんが夕ご飯が出来たと話す。ルイはそそくさと母さんの方へ向かい、運ぶのを手伝っている。
…反抗期になっても、優しいのは変わらないのね。
つい顔がにやけてしまう。
…はっこんなだらしのない顔、ルイに見せられない!
顔を引き締めた後、私も母さんの元へ向かった。




