帝国Ⅺ-2
応接間に戻ってきたヴェロニカは、化粧を直し、表情を引き締めて部屋に入ってきた。
「それではかのドラゴンについて、倒す方法を話し合いましょう。」
俺達はドラゴンについて分かっている事を、共有しあう。
「ではどのようにして、ドラゴンを倒すのでしょうか?」
「ドラゴンは、体の大部分が魔素で構成されている。そこで、ドラゴンの内部にある魔素を外へ排出し、魔素の枯渇を引き起こす。続けて弱体化・封印を行う予定だ。ひいては魔素枯渇の過程で倒せるかもしれない。」
ヴェロニカは少し考え、疑問点をまとめる。
「本当にそれだけで倒せるのでしょうか。」
「一度に倒しきるのは難しいでしょう。魔素を発散させる陣を何個も用意して、複数回に分ける必要があります。」
「あのドラゴンと戦闘をこなしながら、そのような事が可能ですか?いざとなれば・・・この身をかけてでも・・・」
彼女が何に手を出そうとしているのか、なんとなく察することができる。
だけど、あれは人間そのものを材料にしてしまう、最も手にしてはいけない兵器だ。
「心配には及びません。各国に協力を呼びかけ、賛同してくれた仲間たちとともに、準備を進めます。」
「そのような方々がいらっしゃるのですね。心強いです。ところで軍はどうしますか?」
「今回は機動性が重要です。多くの人員を割くのではなく連携をとれることが大切でしょう。」
「理解いたしました。ドラゴンを討伐することに関しては魔王様に全権を委ねます。」
かくして本格的にドラゴンを討伐するための準備が始まった。
さしあたって、連携の取りやすい仲間との合流だ。
待ち合わせ場所のギルドに来る。ちなみにギルドも半壊していた。
即席の当て木が至るところにあった。
「久しぶりね。どうしてもって言うから来てあげたわ。」「うっす。」
手紙を送り、すぐに返事をくれた二人組がいた。
クララとケニーだ。
「すまないな。来てもらって・・・というか良かったのか?相手はドラゴンだぞ。」
「アンタねぇ、あんな手紙渡されて、無視できるわけないでしょ。それに全く打算がないわけじゃないわ。」
クララはにやっと笑う。
クララの狙い、それは今回の戦果で得られたものは、参加してくれた各国に共有するというものだ。
例えばドラゴン用に開発した魔素の拡散方法。あれも王国に共有される。
何に使えるかわからないが、知っている事が重要なのだ。
もちろん開発された兵器もだ・・・
とまぁ、こんな感じで、人参をぶら下げ、あの手この手で人員を招集した。
アレクに、クララそしてケニーもいる。
タカガネ兄妹など遠いアラスカートからも多くの冒険者が参加していた。
数日かけ、全員が集まったタイミングで、デジャブ感のある講義室のような場所へ移動する
今回は俺が作戦の指揮を執る。
壇上から集まってくれた面々を見ると懐かしさを覚える。
昨日の事のように旅をした記憶が思い出された。
この美しい記憶にある場所を人をドラゴンに破壊させない。
想いを胸にみんなを見据えた。
「皆、集まってくれてありがとう。今回は歴史上最強と呼ばれる魔獣。ドラゴンを倒すための作戦会議実施する。」
「前置きはいい。早くしてくれ。」
早速、活きのいい若い冒険者が唸りを上げる。
数人がムッとしたが、今は気にしていられない。
「そうだな、せっかく集まってくれたんだ。すぐに話すとしよう。」
俺は世界地図を広げる。
目印が打ってあり、すべて黒点とドラゴンの出現場所となっている。
「ここに示す点は、全て今までにドラゴンが出現した場所だ。それからこれは・・・」
簡単に説明を続ける。あまり長引かせても、また煽られるだけだ。
ある程度説明をしたところで、伝えたい内容に移る。
「結論を話そう。ドラゴンはニッホンから王国の境界線上に出現する。」
「魔王様。あんたの予測に確証はあるのか?王国行ってる間にアラスオートに現れない保証はないだろ。あそこだって過去にドラゴンと戦闘しているのだぞ。」
「可能性は低い。なにせ、少ない情報から予測しないと行けなかったからな。」
話を聞いていた冒険者の指摘は最もなものだ。
それでもいいえぬ、確信があった。
「次の出現場所に関しては貴方に任せるわ。どちらにしろ貴方の方法以外に見つける方法はないわけだし・・・それよりもどうやって戦うつもり?」
クララの一言に、活気のいい冒険者は少し不満そうにしつつも身を引いた。
その様子を確認しながら一枚の紙を取り出す。
「それについては考えがある。これを見てくれ。」
皆の視線が、紙に描かれた模様に集まる。
幾人かの人は既に知っているものだ。
「これは、液体魔石で描かれた模様だ。魔法陣と呼んでいる。この模様に魔素を流すと、この模様に触れた物の魔素を吸い取る事ができる。」
俺の言葉に様々な表情を見せる。
「これを巨大化しドラゴンが入るサイズにする。そんでもってドラゴンから魔素を抜き取る。」
俺は自信満々に宣言した。




