第二十九話 伴出、くずれる
「出たな魔王!」
「な、なんこことでマオ〜? マオはしらないマオな〜」
「とぼけやがって······」
「ま、まあそう言うのはそっちの勝手マオ。それよりも感心しないマオなぁ、勇者オティ」
「なにがだよ」
「マオが目を離すとすーぐ地の文だらけの需要のない小説になってしまうマオな! そんなの誰も読まないでマオよ!」
「なんだと! そんなことはないだろ! そこ好きだって思ってくれてる人だっているだろ!」
「そんなのいないマオな! 地の文なんていらないマオよ!」
「おまえそれ戦争だぞ! 訂正しろ訂正!」
「いやマオ〜、事実だマオ〜」
「誰が決めたっ!? そんな理不尽なこと誰が決めた!」
「これは天の意思マオよ」
「天? 神がそんなこと宣うものか! 文章はすべて平等のはず! 神がそのようなことをお許しになるはずがないッ!」
「不人気小説に神はいないッ!!」
「!!!!」
さわき は ひざからくずれた!
「おいマオ、そんなことよりこいつがあの勇者オティだってのかい?」
「そうマオよ『火葬』のオルドレーン=ジャシムパティ、こいつが勇者ナリよ」
「語尾。あとおまえさらりとなんかバラそうとしてないかね?」
「そんなことないマオよ『水葬』のクラレンス=クラッテンハイム」
「······」
「信じないマオか? ホーリを見てみるマオ」
マオがサワキと少女を見るように促す。ホーリというのが少女の名前のようだ。
そう言えば妙だ。先程からホーリが動かない。
「あれはホーリが動けなくなってるマオ」
「なに? 本当か?」
クラッテンハイムがホーリに問いかける。
「ほ、ほんとだよ······なんか、動けないんだよね······」
オルドレーンとクラッテンハイムは顔を見合わせた。
なにが起きているのか。
「あのオティは魔法を無効化するマオ。体に触れることでホーリの魔法動力経路を阻害しているマオな」
「魔法が、効かない!? 伝説にあるオティの剣のようにかい?」
「まさか!」
「本当マオな。そして、あのオティことサワキとやらははじめからホーリを特に警戒していたマオ。それで被害を最小限にするために盾になるべく身構えていたマオ」
オルドレーンとクラッテンハイムがサワキを見る。
みなの注目が集まり、サワキは少し戸惑いながらも話しだした。
「そうだ。戦場になる可能性が高いのに、なんの武装もなくこんな少女を連れてくるはずはないからな。崖の上から観察して確信したよ、むしろ前に押し出してるってね。それでこの子の正体が予想できたんだ。もちろん掛けではあったけどな」
味方の不思議そうな表情を見てサワキが少しだけ笑った。
「それよりどうする気だ? 修正者さんたちよ! 仮面ラ○ダーリバイスも言ってる間に終わっちまうぞ!」
サワキのよくわからない凄みに呼応するように、セイカやセルディーの兵士達は構えだした。
「マオ、首尾はどうなってるんだい?」
オルドレーンが少しだけ警戒しながら質問する。
「反応を確認したマオ。ここに勇者が来たからマオな。そのうち起動するマオ」
「じゃあ······」
「騒々しくなってしまったけどもうこれでいいマオ。あとはなるようになるマオ」
「ホーリはどうする?」
「めんどいから自分で逃げてほしいマオ」
黙ったまま鎧が前に出た。
「おや、やってくれるってさ。珍しいね」
「サワキに興味を持ったマオな。ではここは任せて帰るマオ。ホーリもちゃんと帰還するマオよ!」
「教会の密使であるクラッテンハイム様よ、あんたは残ってちゃんと後始末してきな」
クラッテンハイムは少しだけ顔をしかめた。




