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「生徒会庶務代理心得見習い・・・ですか?」
「ええ、生徒会庶務代理心得見習い、よ。頑張ってね!」
「・・・生徒会庶務代理心得見習いは実質生徒会のパシリ。
おなかが空いたから、焼きそばパン買ってきて?お願い。」
「これやっぱり降格ですよね。あと栞先輩、ウチの購買、焼きそばパン売ってません。」
「グス・・・焼きそばパン、大好きなのに。お金払うよ?お釣りでおやつ買ってきてもいいよ?」
「何も泣くことないでしょう。それに1000円だとどう考えてもお釣りの方が多いですよ。時給換算すると下手なバイト以上です。」
もう少し実りある会話がしたい。切実にそう思う。
というかそもそも代理心得見習いってなんだ代理心得見習いって!
「菫先輩、代理心得見習いって一体全体なんなんですか?具体的にお願いします。」
「うーんとね。課長バカ一○ってマンガの主人公から貰ったの!私あのマンガ大好きなんだあ。
今度貸してあげるわね。それでその役職ね。長いけどほとんど庶務みたいなもの、なの。」
マンガかよ!ほとんどノリじゃねえか!だったら庶務でいいでしょうに・・・
「庶務みたいなものって・・・じゃあ庶務でいいじゃないですか。」
「ダメよう。だってもう庶務の子、いるもの。」
初耳である。今のところ僕は生徒会室で菫先輩と栞先輩しか見たことがないのだけれど。
そして栞先輩、いい加減僕の服を引っ張るのを止めてください。
「・・・焼きそばパン・・・後輩に買ってきてもらうの、夢だったのに。」
もっと大きな夢を持ってください先輩。貴女ならもっと高みを目指せるハズですよ。
その胸にある二つのビッグドリームのように。
そう、栞先輩のビッグドリームはあらゆる男子のドリームでもあるのだ。
そんな皆に夢と希望と下心を振りまく先輩である。
このようなところで縮こまっていていいワケがあろうか!?いや!ない!
余談ではあるが、これは是非語るべきことだろう。
彼女のそのドリームのために、体育の時間に散っていった同胞≪はらから≫達は数知れない。
そして彼女の二つの暴れん坊なプリンセスを至近距離で見ながらも、なおスポーツに励む若者はいいものだ、とさわやかに笑う件の体育教師。
彼はただそれだけで最早教師の鑑であると男子生徒に認識されたほどだ。
加えてスポーツ万能なのに水泳だけは苦手、というのもまたポイントが高い。
夏の合同水泳授業の時間、僕は見てしまった。ゴーグルを忘れてしまい、水に顔をつけることを恐れて、プルプルと小刻みに震える先輩を。
あの破壊力ときたら、恐ろしいものがある。
我らがリーサルウェポン、椿ちゃん(僕の担任。なぜか自前の水着で、呼ばれても居ない水泳授業にちゃっかりと混ざっていた24歳合法ロリ)を前にして、椿派からの離反者が続出した、と言えばその威力は推し量れるだろう。
そんなビッグドリームな栞先輩を前にして、更に涙目でのお願いなど断れるだろうか?むしろ他の奴が頼まれていたら、そいつを押しのけてでも買いに行くだろう。
それに先輩はいずれ遥かな高みに立つお方だ。よくよく考えれば、このような小さな夢を叶え続けることによって、遍く世界にドリームを満たしてくれることだろう!
すなわちこれは、その偉大なる第一歩なのだ!
僕の脳髄が最適な結論を導き出すまでに、数秒とかからなかった。すなわち・・・
「少し待ってて下さい。駅前の焼きそば屋に行って、帰り道にあるパン屋でパンを買ってきますので!」
しかしそこでツッコミが入る。菫先輩だ。
「何で別々に買おうとするの!?パン屋さんだけで事足りるじゃない?」
ダメだ!ダメなんだ!栞先輩は僕に1000円をくれた。お釣りでおやつを買ってきてもいいとも行った。
だったら!僕に出来ることは、多少予算オーバーをしてでも、自腹を切って美味しい焼きそばパンを先輩に献上することなのだ!
だから僕は吠えた。
「紙幣を預かるということは、信頼の証!信頼には誠意を以て応えるのが人の道也!
この深町保、栞先輩に最高の焼きそばパンをお届けいたすことをここに誓いましょう!」
そう叫び、僕は学校を飛び出した。




