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prologue・災害

 プロローグしょっぱなから死体描写があります。

注意してください。

「今日からお前は私の宿り主だ。」


 真夜中の二時、突然として見知らぬ少女が、少年の前に姿を現した。

こんな時間に突然、冷たくも甘そうな声で囁くように言った


「はぁ!?」


 起こされるなり、いきなりそう言われたので、思わず顔をしかめる。

全く状況がつかめていない。


「岸間文篤(きしま ふみあつ)、私と契約を・・・。」


少女は突然、少年の口にあててきた。


 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 意味のわからない事態に混乱したが、だんだんと精神を落ち着かせた。

そして、ことを理解した。


これは 宿り魔 で、魔力の持つ人間にやどりやすいと。



すべての始まりは、この瞬間だったことをよく覚えている・・・。




 この国は60年以上も 戦争 を経験することなく、世界中から平和ボケといわれるまで大国の傘のもと、平和を享受してきた。



だが、ひとつだけ、ひとつだけ大国の傘をもってしても防ぐことのできない 有事 に悩まされていた。



「萩ぃ!一緒に帰らない?」


 藤沢市の郊外にある某女子高から帰宅する途中、萩は親友に声をかけられた。


「ハル!?・・・いいよ。」


 結局二人で下校することになった。

よくわからないけど、今日は一人で帰りたかった。


 この国、いやこの世界には魔術が存在しており、戦後発達した科学をもってしても、いまだに解明されない人に秘めた謎の能力であるのにもかかわらず、電化・ITに次ぐ生活に欠かせない分野になっていた。

 萩自身も微量だが、電気を発生させる魔術を使用することができるので、USBポートに触りながら魔術を使うと程よく電化製品が動く。コンセントのプラグに触れて術を発動すると、多機能携帯電話やミュージック・プレイヤーの充電もできる。


「ねえねえ、マックとかよっていかない?」


 親友にいわれ、結局ファーストフード店によっていく羽目になった。

萩の性格で断ることができなかったため、親友についていった。

やがて、見慣れたファーストフード店が見えてくる。


「ついたつーいた!さて、食いますか!!」


 はあ、お金が・・・。


 萩はため息をつき、親友に付き合うことにした。

おそらく夜遅くまでだべることになるだろう。まあ親いないからいいんだけど・・・。


しかし、まったく気が進まない。

早くに家に帰りたい気持ちがどこからかわいてきていたが、その気持ちを抑制し、ファーストフード店に入った。




「・・・。」


 親友はハンバーガーとポテトにナゲット、ジュースと豪勢なメニューだったが、萩はどうも食べる気がおきず、ジュースとミニサイズのポテト一つだった。


「食おうぜ?」


 親友はニコニコと、上機嫌である。


「・・・うん。」


 ポテトを一個ずつ慎重に食べていった。

なぜだろう、本当に食欲が出ない。


「どうしたんだ?いつもならめっさくうのに。」


「なんか・・・食欲なくて・・・。」


 なんか気まずそうな雰囲気になった。

気を紛らわそうと、とりあえず話題を振りかける。

空気を読まなくちゃ・・・。


 萩が親友に声をかけようとしたとき


「ん!?」


 周りの携帯という携帯から ギュワギュワ という不気味な音が流れた。


「怪獣が来たぞー!!逃げろぉー・・・。」


え!?


 と萩はファーストフード店の二階から外の様子を見ると、赤く巨大で、奇妙な物体が建物を破壊しや人々を襲っていた。

 萩はふと現代社会の授業で、先生が言っていた言葉を思い出した。

 

 この国には、特殊生物災害 という災害が存在する。

 

 と。




『目標、鵠沼海岸海岸より藤沢市西へ進行中。茅ヶ崎市にて巨大生物の誘導を行う。』


『誘導指示。藤沢市55分、バイパス付近のトラップポイントA。』


 

 第一戦車大隊の第一中隊の10式戦車、第四中隊の74式戦車がそれぞれ12両ずつの隊列で、茅ヶ崎市東部の誘導ラインまで走行していた。


 臨時に仕掛けたトラップポイントに、自衛隊の第一特科隊や第五対艦ミサイル連隊、さらには魔術を用いた多用途戦術特科隊による一斉射撃で排除することになったため、第一戦車大隊がトラップポイントに誘導する必要があった。



「空自も海自も確認できなかったなんて・・・。これじゃあ、海自どころか空自の援護も望めませんね・・・。」


「しょうがないだろう、なんとか誘導して特科に任せるしかないね。」


 74式戦車の射撃手がぼやいた。 

戦車長は仕方がないと言って、ため息をついた。




 自衛隊が封鎖している誘導ポイントに入り、臨時に設置した指揮所を通り過ぎると、すぐに巨大生物と遭遇した。


「目標確認。確認と同時に誘導ポイントに待機、許可を待つ。」


『CP(指揮所)、了解。』


 12両の10式戦車が巨大生物の目の前で止まった。

砲身を上に上げる。


『攻撃開始』


 10式戦車12両が一斉砲撃をした。

巨大生物はひるんだ。


「誘導開始、後退する。」


 10式戦車は後ろに下がろうとしたが、巨大生物は液体を放出した。

戦車一両に降りかかり、装甲や中身が溶け大爆発を起こした。


 さらに巨大生物は足でもう一両踏み潰された。



「四中隊。配置につきました。」


10式戦車が誘導していた場所より、比較的上の位置にならんだ。


『CP了解。』


「誘導開始!」


 第一戦車大隊唯一の女性部隊である第四中隊の指揮官 舞原千代(まいはら ちよ)一等陸尉は小隊の一号車両の車長室から指示を出した。


 74式戦車全車が砲撃する。


巨大生物は砲撃する74式戦車に向かってきた。ホンの少しでも刺激すると、刺激したものを襲う傾向にあることはいつもどおりだった。


 40キロ近い速度で前進した。


後は数キロ先のトラップポイントに行けば・・・。


 千代は部下に砲撃指示を与えつつ、ことがうまくいっていることを確信する。

あっという間に巨大生物を引き離し、さきほどちらりと述べた 多用途戦術特科隊 射撃陣地についた。


 旧日本陸軍の元演習場だったところに、円陣が描かれていた。


 多用途戦術特科隊の64式小銃を背負った隊員らが、82式指揮通信車にコードや魔力調整端末を接続していた。


 陣にはピッタリとしたスーツを着たWAC隊員(女性自衛官)が居た。


支援を受けながらも、これほどの魔術を使いこなせる人物は、容姿が良くなるという傾向にあり、陣形に立った彼女も美しい容姿を持っていた。


『前方観測手より射撃陣地へ。

巨大生物は順調にトラップポイントに向け前進中オクレ。』


無線が74式戦車内にも聞こえてくる。


「二小隊は陣地前方に待機、三小隊はトラップポイント後方へ移動。」


指示に合わせ、各小隊の74式戦車が方向を変え、移動した。



「戦特隊|(多用途戦術特科隊の略)、準備完了。」


 03式特殊榴弾砲と呼ばれる魔導砲が設置された。

ミツビシ製、価格一セット13億円。


『隊長、目標急速接近中。』


 声からして三小隊の柳田三尉からだった。

柳田は35歳という年齢だが、第四中隊の中では最も若い部類に入る。女性部隊とは言っても、平均年齢が40以上のおばさん集団だった。故に、舞原自身もなかなり愛着のある隊員だった。

 本当は誘導に出したくなかったが、もともと誘導担当小隊だったので個人的な意思で外すことはできなかったが、規定の配置に付かせてしまったことを、今になって悔やんだ。


「目標急速接近中。CP、攻撃開始を願うオクレ。」


『待て、五対艦連隊のSSM発射準備を終えていない。』


な・・・。


 千代は動揺した。


焦り具合と、モニターでかなり接近していることは明らかだった。

にもかかわらず、依然として作業が遅れている。

本来なら、発射できる時間帯なのに・・・。


 第三小隊は砲撃するなどで応戦したが、巨大生物は近づく一方だった。


『うあ・・・ああああああ!!!!』


「退避!車両を全速前進させて振り切れ!!」


 最前につく、74式戦車4両は徐々に速度を出して、退避行動を始めたが

 

「柳田!!」


 無線機から小隊長の甲高い悲鳴が聞こえた。

同時にモニターの映像で、巨大生物が鎌のようなもので74式戦車を四両ごとまとめて崖から落とした。


さらに前進中だったこともあり、勢いよく落下する。

止めに踏み潰したり、液体を吐いた。


一瞬で戦車の中身が露出し、隊員がむき出しになる。


「う・・・あああ・・・ああっ・・・。」


 戦車長は震えながら、自衛用火器の折りたたみ式89式小銃を構えた。

恐怖心で硬直している。

 巨大生物は容赦なく口のなかにある細かい管を伸ばし、戦車長を 食べやすいよう に分解し始めた。

少量の溶解液で少しずつ溶かしていく。


 巨大生物の口に、小銃弾が命中した。


 ほかの隊員が、89式小銃で応戦したが、甲斐なく踏み潰されてしまった。


「あああああああ!!!!」


「うわわ・・・ああああああ!!!」


 さらに連なるように落下した2両の74式戦車の隊員8人に向かって、多量の溶解液を散布した。


「あああああああ!!!!」


 溶解液をシャワーのように浴びると、激しい苦痛とともに体が溶け出した。

悲鳴を上げながら、崩れていく。


 もう一両の車両では、負傷した隊員を引っ張る戦車員を先ほどと同様の方法で負傷者もろとも捕食した。

まだ抵抗する者は、容赦なく動けなくなるまで叩きつけ、動けなくなると口の中に入れた。


 落下した74式戦車から柳田は脱出を試みたが、戦車から出たとき、地獄のような光景が目に映った。

目の前に 管で囚われつつも、89式小銃で応戦する隊員を、頭部に三回叩き着ける様子を、柳田は目撃した。

まるで捕まえてきた魚を調理するときのように、固く重そうな管で三度叩きつけると、隊員は完全に白目を向き泡を吐きはじめた。細かく痙攣していた。


 ガクッとなったので白目を向いた顔が、柳田の方を向いた。

顔が震えてるのでまだ生きているだろうが、おそらく脳が破壊されたのでもう意識はなく、もうすぐ事切れる。


「ああ、ああああ・・・ああああああ・・・。」


 そのまま飲み込まれる姿をみて、青ざめ動けなくなってしまった。悲鳴がでそうになるのを必死にこらえる。

今度は自分の番とばかりに、声に反応し巨大生物が目の前に迫ってきた。

89式小銃を持っていた隊員は、柳田を引き揚げようとしたが、虫のようなグロテスクな顔に立ちすくんでしまった。



「柳田!柳田ぁ!」


・・・くそ


 舞原は舌打ちをしながら、無線を切った。


「隊長、柳田三尉は・・・。」


 となりの戦車員も同じことを思っているだろう・・・。


 だが、認めたくない。

同時に、作業が遅れた特科隊への恨みに近い感情が起こった。



「射撃用意!」


 ようやく作戦が決行されたのは、第三小隊壊滅から一分半後だった。


「方位修正6度!」


密着したスーツに複雑なコードがつながれてる砲撃手は、小型モニターから巨大生物に標準を合わせた。


『敵目標に動きなし、攻撃開始!!』


指揮所からの指示と同時に、03式特殊榴弾砲は不気味な色の光弾を撃ち込んだ。


『初弾命中を確認!』


「二波攻撃用意。」


「二波攻撃砲弾装填!」


 戦術特科隊の装填手が、155mm特型砲弾を砲身の中に入れた。


「二波攻撃準備完了!」


『一特隊・五対艦連隊の砲撃が着弾。』


 いよいよ、作戦の要である対艦ミサイル・ロケットがトラップに到達した。

少し距離があるが、激しい振動と音が千代の乗る74式戦車内に響いた。


上空を偵察していたUH-1Jから送られた映像を見ると、巨大生物は胸部の器官が完全に露出し、頭部はなくなっていた。


「死んだ・・・か?」


 千代はモニターを凝視した。

その時


ギチ・・・ギチギチ


動いた。それもまっすぐここに!!


陣地に接近してきた。

戦術特科隊の隊員は逃げたが、肝心の砲撃手は間に合わないそうにもなかった。

後ろに押し飛ばせば逃げれられなくもない!


 瞬時に考えた千代は全力で、砲撃手に抱きついて後ろに飛び込んだ。

なんとか間に合ったと、安堵したとき。


「!!!」


 彼女の背中に胃液のようなものが一滴たれた。

迷彩服の背中部分の大半が溶け、皮膚がただれた。


あまりの痛みに、少し暴れるながら悲鳴を上げた。


「うああああ・・・・ああああ!!焼け・・・焼けるぅう・・・・ああああああああ!!!!・・・。」 


悲鳴を上げた舞原に気づいた砲手は倒れた巨大生物から引き離すため、必死に千代を遠くまで運んだ。


「ううう・・・っちっくしょぉおおお殺せ・・・殺せぇ・・・。」


 舞原は、激痛のあまり喉の奥から声を絞るようにつぶやいた。

運び終えると、ほかの隊員が集まった。

中には、第五対艦ミサイル連隊の隊員も混ざっていた。


「き・・・貴様ら・・・五連隊の・・・・連中か!?」


「落ち着いてください!!今暴れれば傷口が・・・!」


 衛生科の隊員が、舞原を仰向けにして、応急処置を施した。


「き・・・っ様らは・・・三小隊と、柳田をぉおおお殺したなぁあ・・・!!!」


 負傷で感情が高ぶって興奮しているせいか、より一層に叫ぶように恨みをぶつける。

 

「こいつらは・・・!!こいつらはぁあああ!!!」


 しかし、舞原が叫ぶ都度に溶けた部分から吹き出すように出血したので、衛生科の隊員は麻酔薬を投与して彼女を眠らせた。


 どうにか事は収まったものの、ミサイル連隊の隊員は、どうしたらよいのかわからない状態だった。




「中即連|(中央即応連隊)、現場に到着!救助活動を行います。」


 中央即応連隊の一個中隊と第一普通科連隊の三個中隊が藤沢市に派遣された。

特に被害がひどかった沿岸部に活動を中心に付近の街に展開されることになった。


「我が中隊に続き、一連隊も市内の被災地に展開完了。

救助と巨大生物への警戒活動を実施します。」


 中央即応連隊の隊員が警戒し、第一普通科連隊が救助活動を行うという形で、それぞれの任務についた。



とん・・・とんとんとん・・・


「大丈夫ですか?大丈夫ですか?大丈夫ですか!?」


 反応ない・・・。


うつ向けになっていたので、仰向けにしてみると・・・。


「ウッ!!」


 顔がドロドロに溶けていた。


 第一普通科連隊隷下の機動戦略中隊のWAC隊員の 牧丘明子(まきおか あきこ) 二曹は、思わず口抑えた。

 機動戦略中隊は普通科の魔術部隊とも呼ばれ、強力な魔力を有する隊員、または大魔術師の跡取りなどで構成されている。

一見魔術を用いて戦ってそうなイメージがあるが、あまり魔術用いることはなく、普通の部隊と同じような訓練を行っている。

 むしろ魔術より実弾や空砲使ってる訓練の方が多く、災害における特殊生物への対処、人命救助や支援と民生協力から趣味に使われている程度である。


 だが、災害における特殊生物への対処は最も重要視され、隊員たちの本領も発揮される。

魔術を用いたトラップを設置したり、バリアーのようなものを重要施設に張るなど。


 その中で、選抜小隊というものが有り、攻撃魔術を使える隊員が対象になる。

有事に魔術師が確認された場合や魔術が必要な特殊生物出現の際に、英国魔術士が着ている魔術を増幅させる服を元に、防衛省が開発した 特殊戦闘装具セット二型 を着用することになっている。


 特別戦闘装具セット二型については後の話にて。

ちなみに、上記のような特殊な有事ではないときは、自衛隊で採用されている通常装備を装備している。

 


 半分溶けた男性を見た牧丘はその場で吐きそうになったのを抑え、死体発見と大声で言った。

隊員数人が集まり、死体回収作業が行われた。


 瓦礫が散らかっており、一般車両なら到底通れない道路を一両の軽装甲機動車が走っていった。


「班長!班長!!」


 ほかの隊員が牧丘を呼んだ。

死体回収作業終了早々、急いで次の場所に向かった。


場所はファーストフード店前。


 一人の少女が全身に溶解液の粉末がかかってしまったのか、服どころか皮膚の大半が溶けてしまった死体を抱えながら、回収しに来た自衛官達に魔術で脅し、近づけないようにしていた。


「ハルを助けなかったくせに!

ハルを・・・ハルに触るな!!」


 自衛官が説得しようとすると、少量の電気を自衛官に流し、何も言わせなかった。


「来んな!喋んな!殺すぞ!!」


 少女は感情的になっており、暴言を吐き続けた。

次第にやじうまが集まってくる。


「・・・わかった、説得してみるわ。」


 牧丘は説得に向かった。

だが、


 バリッ!


「ぐ・・・。」


 もはや危険なほど多い電気が牧丘の体に流れた。

心臓麻痺が起こらなかったのが奇跡なくらいだ。


「・・・・。」


 もはや説得の余地がない・・・。

牧丘がため息をつきかけたとき


「私が、行きましょう。」


 なにかおっとりとしたような自衛官らしくない隊員が、牧丘の肩を叩いた。


「あなたは・・・?」


「衛生科の宮城敏郎です。」


 階級章を見ると、曹長であることがわかった。

牧丘は気づくなり、すぐに敬礼した。


「騒ぎが起こってると聞いてきたのですが・・・、あの方ですね?」


 事実上の部下である牧丘に敬語を使ってくる上官に、少し戸惑った様子で


「あ、はい。そうです。

ですが、電気を流してくるので全く近寄れなくて・・・。」


「分かりました。では」


 と言って、彼女に向かって歩き始めた。


「ク・・・こ・・・これ以上・・・くるなあああああああ!!!」


少女の怒りは絶頂に登ったのか、電流を流そうとした。


しかし、


「で・・・電流が出ない!」


 少女は慌てて魔術を唱えようとした。


が、全くでない。


「う・・・え・・・そんあ・・・そんな・・・。」


 少女は何故魔術が出ないのか全くわかっていないようだが、自分から出そうとしていない。

少し離れているのでよくわからないが、攻撃できない何かに阻まれているように見えた。


 ついに少女の前に宮城が立ち、説得を始めた。

 




「先程はどうもありがとうございました。」


 数分の説得のうちに少女はなぜか泣き崩れ、騒ぎは収集した。

牧丘は説得をした宮城に深く頭を下げた。


「いえいえ。」


 宮城はニッコリと、和んだような笑を見せ、別任務があるといいここを去った。



 牧丘が敬礼をしながら見送る一方で、宮城は背を向けていたので誰も見ていなかったが

罪悪感に満ちているかのような顔をした。


 


 萩という少女が通っていた女子高の体育館を死体安置上にした。

身元を探す作業はここで行われることになった。


 萩の唯一の親友の亡骸が運ばれてきた。

改めて見ると、無残だった。


 巨大生物の吐く液体によって服は全て溶かされ全身のただれた皮膚が丸見えになっていた。

遺体の損傷が人目でわかる。



「これはひどいな・・・。」


 一人の自衛官がつぶやく。


「身元確認支援部隊が到着しました!」


もうひとりの自衛官が報告した。


 他の自衛官は去ったが、牧丘は残った。

安置所に来た萩に付き添わなくてはならなかったからである。


身元確認支援部隊の警官が数人が、萩の親友の前に来た。

お互い軽く頭を下げると、身元確認作業が行われた。


 身元確認を終えた直後に、棺桶の中に入れられる予定だ。


「ん?」


 一人の警官が、歯の治療痕などを探すため、口の中を覗いたとき何かを発見した。


「・・・魔術陣?」


 口内にくっきりと彫り込まれた陣だった。


「これは・・・。」


 警官は険しい顔をした。


 牧丘や萩に見せられた魔法陣の画像に不思議な気持ちなった。


「これは・・・?」


なにか見たことがあったのだ、もう少しってところで思い出せないという感覚だった。


 頭を無理やりひねって思い出そうとしたが、結局叶わなかった。

閲覧ありがとうございました。


ちなみに、自衛隊の規模は我々が生きる世界のものより、ちょっと規模が大きいです。明らかに架空の部隊がいるので、注意してください。

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