プロローグ
はじめまして。
この作品は、実話をもとにした長編小説です。
自分のこれまでの人生を振り返りながら、少しずつ物語として書いています。
懐かしい日常や、友達との時間、恋愛、笑える出来事、少し切ない出来事。
そんな「普通の人生」を、一緒に追体験してもらえたら嬉しいです。
俺の人生なんて、普通だった。
100kgになれたから天才ではあるかもしれないけど。
勉強が飛び抜けてるわけでもない。
どちらかというと馬鹿だった。
運動がずば抜けてるわけでもない。
恋愛漫画みたいな青春を送ったこともない。
負けてばかりだ。
ただ、毎日学校へ行って、友達と笑って、家に帰って、寝る。
そんな、どこにでもある人生。
だから、自分の人生を振り返ろうなんて思ったことは一度もなかった。
──あの日までは。
年末の大掃除の際、衣替えで部屋を片付けていると本棚の中から数冊のアルバムが出てきた。
「あ。」
そういえば、こんなのあったな。
最近は、毎日があっという間に過ぎていた。
学校へ行って、課題をして、友達と話して、帰って寝る。
そんな毎日を繰り返していると、昔のことを思い出す時間なんてほとんどなかった。
昔は一日があんなに長く感じたのに。
夏休みが永遠に続くように思えたり、友達と遊ぶ約束の日までが待ち遠しく感じたり。
でも、大人になるにつれて、一日はどんどん短くなっていった。
気付けば、昔の記憶は少しずつ薄れていた。
だからだろうか。
その日、偶然見つけたアルバムが、少しだけ気になった。
当時は何度も見て感傷に浸っていた気がするけど、いつからか本棚の奥にしまわれていた。
表紙には少しだけ埃が積もっている。
近くにあった濡れ雑巾で表紙を軽く拭き、ゆっくり開く。
一冊目。
これは俺がまだ小さい時のアルバムだ。
一枚目には赤ん坊の俺が写っていた。
父さんに抱かれて、母さんが隣で笑っている。
その横では姉がピースをしていた。
「懐かしいな。」
ページをめくる。
お風呂場で水遊びする俺。
初めての離乳食で顔面をぐちゃぐちゃにする俺。
変な寝相の俺。
思わず笑う。
「こんな時期もあったんだな。」
次のページをめくる。
そこからは保育所に行っていた時の写真だ。
友達と手を繋いで買い物に行く俺。
お料理会でカレーを作る俺。
運動会でかけっこをする俺。
夏祭りで焼きとうもろこしにかぶりつく俺。
卒園式。
ほとんど覚えていないはずなのに、不思議と景色だけは思い出せる。
緑地公園のプールで泳ぐ俺。
鬼ごっこ中にかけてなく俺。
お椀を割ってお母さんに怒られてる俺。
「こんなとこまで撮ってたのかよ。」
あの頃が懐かしい。
雨上がりの匂い。
河川敷を吹く風。
夏の日差し。
友達の笑い声。
どれも特別じゃない。
本当に、普通の毎日だった。
でも。
その”普通”が、今の俺を作っていた。
初めて彼女を好きになった日。
誰かを傷つけてしまった日。
必死に努力した日。
何もできずに逃げた日。
全部。
全部繋がって、今の俺になった。
この話は、そんな俺の人生の話だ。
恋愛メインの話でも、部活メインの話でもない。
誰かを好きになるたび、自分を嫌いになって。
それでも少しずつ前に進もうとした、一人の人間の話。
アルバムをもう一度見つめる。
写真の中の俺は、何も知らない顔で笑っていた。
「……ここからか。」
俺は次のページをめくった。
プロローグを読んでいただき、ありがとうございます!
ここから、龍斗の物語が始まります。
懐かしい日々も、楽しかった思い出も、少し切ない出来事も。
一つひとつの積み重ねが、やがてどんな物語につながっていくのか。
龍斗と一緒に、少しずつ歩んでいただけたら嬉しいです。
これからよろしくお願いします!




