守護霊さま
「ねぇミノリ……あれ……」
「しゅ、守護霊さま……」
彼女の指差す先には、虚ろな目の男性。
50代、60代、いやもっと上にも見える。
しかし、視線から感じる印象はずっと若い。
幼いと言っても良い。
ミノリはそんな、理解できない感情が堪らなく嫌だった。
守護霊さまが初めてミノリの前に現れたのは3ヶ月ほど前だった。
下校時間の校門前、目が合ったミノリに視線を定め、見えなくなるまで見送っていた。
以来、度々目撃されるこの男をミノリはいつの日からか、"守護霊"と称することで、無理やり恐怖から遠ざけようとしていた。
僕の初恋。
切り揃った前髪もすぐに伸びてしまう。
笑顔の薄紅も化粧に代わった。
私服はやがて制服に、いつのまにかまた別の制服を着る。
失いたくないんだ。
だから今夜、決行する。
その日、ミノリは警察に呼び出された。
取り調べを担当した刑事は写真を見せて尋ねた。
「彼は殺人の容疑で勾留中だが、君の名前を呼んでは、僕は恋人だと叫んでいる
そして君を守ったと言っている
名前も年齢も住所も知っていた
面識があるんじゃないか?」
ミノリは困惑を隠さずに首を振った。
その日からミノリは毎日下校時間に振り返る。
そこにはもう守護霊さまは居ない。
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