244ー問題人物
深紅の髪をした女性と同じ集落だったという男性。老師が取り調べをしても、肝心なところは話せなかった。
「あれって、しぇんのうしゃれて、いるのれしょう?」
「そうね、とんでもないことだわ。あの人たちは寿命を削られているわ」
フェンとミミが言ってた。きっと子供の頃から洗脳されていると。そんなことをしたら精神が耐えられないって。
「あの国は私が思っている以上なのね。前の時より質が悪いわ」
深紅の髪の女性が捕まって失敗だと分かると、次の手を打ってきたということなのだろう。
どんどんやることがエスカレートしている。もしかして、あの国の人たちは皆洗脳されているのか?
「あの集落が問題なのよ」
「まっかなかみの、ひとがいるところ?」
「そうね、そこが諜報活動をしているのね」
「やっぱ、しょこをなんとかしないと」
あの国の人たちの命も懸かっていることになる。
俺はあの国の人たちに、全く何の思いもないけど。だからといって、知らん顔はできない。だって寿命を削っていると、知ってしまったのだもの。それを本人たちは知っているのか? 納得しているのか? それをしている国は、そのことを分かってやっているのか?
そんな色んなことが、まだ分かっていない。調べるにも国の中枢で、きっと極秘事項なのだろうと思う。そんなことを調べるのも一苦労だ。危険だって伴うだろう。なら一層のこと、その国のトップに会いに行こうじゃないかと思うんだ。
「あら、まだ諦めてないの?」
「あきらめないよ、じぇったいにいくの」
「ふふふ、ラウったら。でももう少しちゃんと話せるようになってからね」
「けろ、しょれまでにもまた、こんなことをしてくるよ?」
「大丈夫よ、あなたのお父様や老師の目をごまかせないわ」
そうかな? いやいや、父や老師にも危険が伴うじゃないか。それは嫌だぞ。家族を失うなんて絶対に嫌だ。守るために俺はやり直しているのに。
「それはよく考えなさいな、魔王もそう言っていたでしょう?」
「しょうらけろ……」
「ラウ、それより目先の問題があるわ」
え? 問題なんてあったか?
「ほら、お茶会よ」
「あー、あこちゃんにあえるね」
「まあ! ふふふ、それだけじゃないのよ」
「りーぬかな?」
「それもあるわね」
なんだ? 勿体ぶらないて、教えてほしい。精霊女王ってもう色々分かっているのだろう?
「前の時とは色々違ってきているの。だからね、気を付けてほしいのよ」
そうか、だからこうしてちょくちょく呼んで教えてくれているんだ。
王子を助けてもらったり、俺の生まれる前には父も助けてもらった。精霊女王に頭が上がらないな。感謝してるよ、ありがとう。
「ふふふ、良いのよ。私もあの最期は嫌だと言ったでしょう? 私にできることは協力するわ」
「ありがと」
で? そのお茶会で何が問題なんだ?
「ラウと同年代にもう一人、問題人物がいたでしょう?」
もう一人か? えっと? うん、覚えてないや。
「ラウを後ろから剣で刺した……」
「あー! きしだんちょうのむしゅこ!」
「そうよ、ラウと同い年だったわね」
「しょっか! くるんら!」
「そうじゃないかしら?」
これは、どうなんだ? まだ3歳なんだから、そう歪んではいないだろう? だって王女だって、普通に可愛いちびっ子だったし。
「どうかしらね? でも確認しておく方が良いと、私は思うのよ」
「しょうらね。ありがと、わしゅれてた」
「あら、自分を殺した相手なのに?」
「らって、まらちびっこらし」
そう、まだちびっ子なんだ。俺と同じ3歳。なら今から要注意だ。王女の時みたいに、ちゃんと確認しておかないと。でも、俺が0歳の頃に誘拐された時、助けてくれたのがその父親である騎士団長だ。
とっても穏やかで、正義感に溢れる人だった印象があるのだけど。どうしたら、あんなふうに成長しちゃうのやら?
まだ王女の場合は分かる。だって王妃があれだから。嫉妬して、うちの家に敵対心を持って拘っている。だから王女もそう洗脳されて育ったのだろうなと想像がつく。でも騎士団長は、そんなことはなかった。周りからの信頼の厚い人だと聞いた覚えがある。
あ、そうだ。兄弟が多いんだった。6人兄弟だっけ? もしかしてそれで目が届かなかったのか?
「どうでしょうね」
精霊女王はきっと知っているんだ。だけど、先周りして教えてくれたりはしない。今みたいに注意はしてくれるけど、実際に俺が見て考えてということを大事にしてくれる。
「私たちはできるだけ、直接手を出さないわ」
「うん、わかってる」
それでもこうして俺に話してくれる。これって特別なことなんだ。大事なことは必ずヒントをくれる。それはとても有り難いことだ。
「ありがと」
「あらあら、良いのよ~。それとラウ、またそろそろ」
「あー、まおうらね」
「そうね」
うん、次にしよう。今日はもう疲れちゃった。
「行かないのれしゅか!?」
ピューッと飛んできた小さな黒い塊。魔王のペットのバットだ。
「行くと思ってたのれしゅぅ……」
あ、期待させちゃった? とっても残念そうに見えるけど、ごめんね。




