224ー世話の焼ける
「とうしゃま、ぼくがいきましゅ」
「しかしだな、ラウ」
「じゃあ、とうしゃまがいきましゅか?」
「なんとか時間を作って、私が行くことにしよう」
「ぼくも、いっしょにいきましゅ」
「ラウ、私が行くのだからそれはいい」
「けろ、おうじれんかも、きになりましゅ」
「あぁ、王子か」
「あい。あしょんできましゅ」
「そうするか?」
「あい」
母は反対したのだけど、結局俺も一緒に登城して老師の件を手伝うことになった。何より王子と王女が気になる。あれからどうしているのか? 王女がまた萎縮したりしてないか、心配だったんだ。
◇◇◇
「な、な、なんでじゃ! アリシア様じゃないのか!?」
父と俺が協力すると、老師に会いに行った時の老師の言葉だ。老師ってとっても素直だね。きっとあれだよ、リンリンを見てみたかったんだ。
ミミは当然のように鳥さんの姿でいつも俺の肩にいる。父の使い魔のフェンとは一度会った。だからリンリンに興味を持ったのだろう。
それがとってもよく分かるから、つい父と一緒にジト目で見てしまう。
「い、いや、その、なんじゃ。決してリンリンに会ってみたいとかいうわけではないのじゃ!」
ほら、簡単に白状している。本当、呆れてしまうよね。
「老師、リンリンでなければ駄目だというわけではないでしょう」
「しょうしょう、みみがきょうりょくしゅるって」
「え、みみみゃ? しないみゃ。めんどうみゃ」
冷たいことを言いながら、俺の肩で羽繕いなんてしている。ミミにとってはどうでも良いことなのだろう。ぶっちゃけ、俺もどうでも良いのだけど。
でも捕まえた奴等がどういう命令で動いているのかくらいは、ちょっぴり気になる。
そんなことより、老師は椅子を並べてそこに横たわっている。俺たちが来たのに起き上がろうともしない。
「ろうし、ろうしたの?」
「ぷぷぷッ……」
老師の側にいたレイラちゃんが笑った。あれれ? どうしたのかな?
「老師、まさか腰ですか?」
「しょ、しょ、しょんなことはないのじゃ!」
腰にきたのだね。老師は調子に乗って、毎回うちまでエッホエッホと駆け足で来ていた。良い運動になるとか言ってさ。
先日うちからの帰り道、突然ギックリときたらしい。それからレイラちゃんに肩を借りて寄りかかり、引きずってもらいながらなんとか魔術師団まで帰ったそうだ。
だから馬車でくれば良いのに、もうお年なのだから。
「老師、どうするのですか? 私はもう時間はとれませんよ」
「起きるのじゃ!」
そう言って体を起こそうとするのだけど、取り敢えず座ろうとした途端に。
「ふぐぅッ!」
腰に手をやりながら、前かがみになって崩れ落ちちゃった。あれは相当痛いのだろうね。本当に世話の焼ける老師だ。
「ろうし、なおるかどうかわからないけど」
「なんじゃ? ラウ坊はまだ隠し玉を持っておるのか?」
「ちょっとだけね。とうしゃま、いいれしゅよね?」
「ああ、仕方ない。老師、くれぐれも内密にお願いします」
「も、も、もちろんじゃ!」
俺が何かするのだろうと思った瞬間に、老師の目がキラキラし出した。本当に、魔法が好きなんだ。興味津々なんだね。
覚えているかな? 前にリンリンに教えてもらった魔力譲渡みたいなことだ。俺がほんの少しの魔力を放つと、皆元気になっていたという。女性陣はお肌や髪が艶々になっちゃった。
あれを老師にしようと思った。少しは腰が楽になるかな? て思って。だってあの時ノーマンは長年の腰の重みがなくなったと話していたから。
「らうみぃ、ちょびっとみゃ」
「うん、わかってるよ」
「ちがうみゃ、ほんとうにちょびっとの、ちょびっとみゃ」
「しょうなの?」
「しょうみゃ、でないとめっちゃげんきに、なってしまうみゃ」
あまり元気になり過ぎても困る。きっと老師は張り切っちゃうだろうから。よし、ほんの少しだな。俺は老師の腰に手を当てる。
「うひょひょ! ラウ坊、くすぐったいぞ!」
はいはい、大人しくしてね。
俺はほんの少しだけ魔力を流す。痛いのは治ってねって思いながら。すると手を当てたところにシャボン玉みたいな光が現れ、老師の腰に消えていった。といっても、これは俺や精霊にしか見えないらしい。
「きゃひょッ!」
変な声をあげて、ちょっぴりビクンとした老師。あれれ? まだ多かったかな? その反応はどうなのだろう?
「ラウ坊、いかんな。殿下、これはいけませんじょ!」
「アハハハ! 老師、顔色がとても良くなっておりますよ」
父は笑っているけど、本当に頬がピンク色になり艶々し出した。
「こんなことができると、バレたりしたら大変なことになるじょ!」
「ですから、弟君にはくれぐれも内密に」
「もちろんじゃ! あやつには、じぇったいに言わんぞ!」
またまた覚えているかな? 老師の弟は枢機卿だ。一番バレたら駄目な人だ。老師は弟を避けているみたいだから、大丈夫だろう。
「ミミちゃんは、分かっておるのだろうな?」
「とうじぇんみゃ、みみはてんしゃいみゃ」
何のことやら? この二人の会話は内容が全く分からない。
お読みいただき有難うございます!
宜しければ、是非ブクマや評価をして頂けると嬉しいです!
宜しくお願いします。
またまた老師に物言いがつきそうですが(^◇^;)
老師はこんなキャラなので、見守っていただけると嬉しいです。
読み直すたびに、手直ししてどんどん老師がポンコツになっていくのですけどね。
今、追加のキャラ設定を作っています。担当さんに、カトリーヌ、ルシアン、マチルダと言われて、それ誰やねん!? と思ってしまったのは内緒です(^◇^;)
年内に発売される分は全部終わったので、ひと段落と思っていたら来年の分の初稿の締め切りが!
プロットなんて作れないですぅ( ᐪ꒳ᐪ )と担当さんに泣き事を言ったのは私です。
頑張ります!こんな私ですが、どうか皆様よろしくお願いいたします(*ᵕᴗᵕㅅ)




