八月 体験(3)
「着きましたよ。ここが目的地の市営プールです」
「あら、平日なのに結構人が多いのね」
やはり今日のように暑い日は、プール施設は大勢の人でごった返していた。外から眺めていても暑いだけなので、ディアナさんを案内してさっさと入場ゲートをくぐり、女子更衣室まで移動する。
「この水着、どうやって着ればいいのかしら?」
「ディアナさんは後ろを向いてください。ボクが結びますよ」
地球の水着を着慣れてなさそうな彼女から小さな布を預かり、素早く紐を首の後に結んであげる。
何故かビキニの大胆な水着を用意していたディアナさんを、ボクは途中で解けたりしないように、何度か確認する。手触りも重さも地球の水着と変わらなそうなので、これなら万が一にもバレることはないだろう。
「ありがとう幸子、これで次からは自分で着られそうだわ」
「どういたしまして、それじゃプールサイドに行きましょうか」
やはり外だけではなく、中のプールも人でごった返していた。その中でも少し離れたプールサイドの一角に、特に大勢の人が集まっている場所を見つける。
「イベントでもやっているのかしら? これは調査するべきね」
「えっ? あそこに行くんですか? 本気ですか?」
「ええ、本気よ。幸子は来なくてもいいわ。大丈夫。私一人でも問題ないわ」
「いえ、行きますよ。ディアナさん一人だと心配ですし、まあ少しは興味ありますしね」
喋りながらもスタスタと近寄っていくディアナさんに、ボクは小走りに後を追う。しかし問題の人垣に近寄っても、やはりボクの身長では中の様子を窺い知ることは出来なかった。
でも、彼女は何かに気づいたようだ。
「え…? なっ何でここに?」
「ようやく来たか。小娘、主もおるのじゃろう? 顔を見せてもらえぬか? ほれ貴様ら、退け、退かぬか」
聞き覚えのある声が辺りに響くと、ボクたちの正面の人垣が突然二つに割れて、マットレスの上で横になり、すっかりくつろいだ姿勢の大人センコさんが姿を現した。
彼女もディアナさんとは違うものの、横長のビキニタイプを着用していた。相変わらず男殺しのプロポーションである。
「それでは主、妾と一緒に向こうで楽しもうか」
ボクの姿を確認したセンコさんが、窮屈そうに伸びをしながらゆっくりと立ち上がる。
「遊ぶのはいいけど、…その、周りの人たちはいいの?」
「此奴らは妾が一人でくつろいでおったら、勝手に寄って来たのじゃ。適当に相槌を打ってはおったがのう」
ボクと話している間、露骨に不満そうな顔をしている大勢の人たち、微妙に怖いんだけど。どうやら彼女はあまり動かなくても、その場にいるだけで他人を惹きつけるらしい。
しかし今回は、誘惑目的で行動してないためか、集まっているのは男性のみのようだ。
そんなときに、人垣の中から七、八人の勇気ある若者たちが前に出てきた。
「ちょっと待ってくれよ。彼女は俺たちと楽しく話していたんだ。子供は引っ込んでいてくれないかな」
「…子供」
思わず気になった部分だけ口に出してしまった。確かにボクは見た目は小さな女の子だけど、これでも学園生だ。
「でもよ。そこの銀髪の子もすげえ美人だが、そっちの青髪の彼女もすごくねえか?」
「そうだな…特にあの二つのでかい……ゴクリ」
普段は鈍感なディアナさんも、一部分を舐め回すような視線を真正面から受けて、思わず一歩引いて恥ずかしそうに胸元を手で隠そうとする。大きすぎて全然隠せてなかったけど。
「さっ…幸子、もう調査は終わったし、別の場所に行くわよ」
「おっ。おい、君、ちょっと待ってくれよ。俺たちを……うわあっ!」
ボクの手を取って、この場を去ろうと背を向けたディアナさんの艷やかな肩を、八人グループの一人が腕を伸ばして引き留めようとグッと掴む。
しかし、彼女は全く意に介さずに、スタスタと歩いて行くので、男性はたちまちバランスを崩して転んでしまった。
「痛た…おっ俺、今ちゃんと掴んだよな?」
「えっ! あっ…ごっ、ごめん! えっと…大丈夫?」
後ろで転んだ男性に気づいたディアナさんが、歩みを止めて振り返り、申し訳なさそうに謝る。
最初は困惑していた彼も、これはチャンスとばかりに、後ろの七人に視線を送り、気持ちを切り替える。
「ああ、今の転倒で仲間が何処か怪我をしたかもしれない。全てが君のせいとは思わないけどな。申し訳ないけど、一緒に来てもらえるかな?」
「ええっ…でも、あの…それに…私」
手応えありと感じた男たちは、ここぞとばかりにどんどん押して、ジリジリとその距離を詰めていく。
そのたびにディアナさんは困惑した顔で、助けを求めるようにこっちに視線を送ってくるけど、ボクが出ていってもこの場が穏便に収まりそうな未来が全く見えない。
センコさんとその他大勢の人たちは、興味深そうに様子を見ているだけである。
しかし、ホームステイ先の名義上では、ボクは彼女の保護者なので、やれることはやらなければと、心の中で気合を入れる。
「あの! ちょっといいですか?」
「ああ、君か。さっきもいい所で邪魔してくれたよね」
「君は彼女の何なの?」
「悪いんだけど今、お兄さんたちと大切な話をしているんだ」
「子供は別の場所で遊んでろよ」
完全な塩対応である。お呼びでないのはわかっているけど、ディアナさんに助けを求められた以上は、強敵相手でも挑まなければいけないのだ。無謀だとしても求められたら断れないのは、ボクの性分なのかもしれない。
「ボクはディアナさんの保護者です」
「保護者? 君が? ははっ、冗談だろ?」
「本当よ。幸子は私のホームステイ先の保護者なの」
信じられないのか、目の前の男性グループだけでなく、傍観している周囲の人たちも、訝しげな視線でボクとディアナさんを交互に彷徨う。
「まあ、嘘をついてるようには見えないし、信じるよ」
「それより君、ディアナちゃんって言うんだね。可愛い名前だね」
「どう? 俺この辺り詳しいし、色々と教えてやるぜ?」
「俺たち、そこのホームステイ先の保護者よりも、よっぽど頼りになるぜ?」
センコさんのガチギレライン的に、今はかなり危険な領域だと感じる。なるべく穏便に済ませたかったけど、ボクが出るとどうしても事が大きくなってしまうから、これも仕方ないのかもしれない。
でもまだ、今ならギリギリで止められるはずだ。…多分。
「あの、ディアナさんが嫌がっているから、もう止めてもらえませんか?」
「さっきから聞いてれば、君うるさいよ」
「保護者だか何だか知らないけど、これは俺たちとディアナちゃんの問題なの」
「子供は入ってくるなよ」
そう言い放つと、目の前の男の一人がボクを突き放そうと手を伸ばして来た。はい、駄目でした。
すぐそこに居るセンコさんの加護が弾くから怖くはないけど、またバーサーカーモードになった彼女が暴れそうだから、今回も穏便にはいかなかったなと、迫ってくる男性の手を見ながら、ぼんやりと考えていた。
「これで、正当防衛成立よね?」
迫ってくる手がボクに触れる直前、スッと横から伸びてきた華奢な女性の腕に掴まれ、目の前の男性は完全に動きが止まる。
「ディアナ…ちゃん、何を? えっ? うっ…動かねえ!?」
「そこで見ている皆さんも、これから私は男性のグループに反撃するけど、正当防衛だと認めてくれるわよね?」
見物客となっていた大勢の人垣のほうに鋭い視線を向けるディアナさんに、中央のセンコさんはとても楽しそうにケタケタと笑いながら頷くと、周囲の人たちも慌てて頷いたり、ああ、はいという肯定の返事を返す。
「ディアナちゃん、俺たちの仲間に何するんだ。早く手を離せよ。でないと…」
「でないと…どうするのかしら? まさか、私に乱暴するの?」
「それは…その…だな」
やはりディアナさんの肢体を見て欲情に駆られたのか、男性グループは気まずそうに露骨に視線をそらす。そして、人集りの皆もこっそりと視線をうつむかせた。
大丈夫。そういうのはわかってるからね。健全な男性なら彼女の体に。ついつい反応しちゃうよね。
「でも、もう遅いわ。幸子に手を出した以上はね。これからは、貴方たちが私に乱暴するのではなく、逆に私が貴方たちに乱暴してあげるわ」
「…え?」
ディアナさんに腕を掴まれた男は、何とか拘束を解こうと、自由な方のもう一つの腕で彼女の五本指を動かそうとするものの、ピクリとも動かない。
やがて挑発的に微笑むディアナさんが無言で体を引いて、今なお叶わぬ努力を続けていた男を、いとも簡単に投げ飛ばした。
「うっ…うわあああああ!!!」
投げ飛ばされた彼は、そのまま大きく山なりの軌道を描いて、深いプールに放り込まれる。ちょうど人の泳いでいない空間に落ちたらしく、怪我人はいたとしても、飛んでいった男だけだろう。
「ディアナちゃん? きっ…君は一体?」
「安心して。私、人を投げるの慣れてるから」
公園のセンコさんのように、調査中に襲われるたびに、黒服たちをちぎっては投げ、ちぎっては投げしていたのだろう。地球人の命を奪わないという条件がある以上は、万一の事故を防止するため、必然的に肉弾戦の割合が多くなりそうである。
天使のような悪魔の笑顔を浮かべて、仲間の一人を助けようとしたのか、至近距離まで近づいたもう一人の男を無造作にギュッと抱き寄せると、しなやかな体全体を回転させて、またも勢いよく投げ飛ばす。彼はそのまま山なりを描いて、前回と寸分違わないポイントに正確に着水する。
しかし彼は一瞬にもかかわらず、ディアナさんの魅惑の果実を直接味わうことが出来たようで、まるで桃源郷を覗いたかのような、身も心も蕩けきった顔になっていた。だがそのすぐあとには、冷たい水の底に沈んでいった。最後には地獄に落ちたのである。
「さあ、どんどん行くわよ。私に投げられたい人はかかって来なさい!」
「待て! タイム! タイムだ! 作戦会議をさせてくれ!」
「え? …作戦会議? あっ…うん、わからないけど、わかったわ」
やたらと張り切る彼女だけど、先程まで息巻いていた男性グループの、突然の手のひら返しに困惑気味だ。その隙に先程の残ったの六人は互いに近寄って、顔を見合わせる。
普通ならば尻尾を巻いて逃げる場面だ。しかし、彼らは円陣を組んで何やら相談をはじめる。もしかしてディアナさんに挑むつもりなのだろうか?
「おい、…どうする? まさか逃げる選択肢はないよな。行くか?」
「ああ、行くぜ。あの胸に触れずに逃げるなんてごめんだぜ」
「男として、禁断の果実を味わえるかどうかの瀬戸際なんだ。やってみる価値ありますぜ!」
どうやら挑むらしい。あそこまで大きな果実に触れる機会は、今後の人生でほぼないと言ってもいい。彼らはたとえそれがどれだけ無謀な道でも、ぜひとも味わいたいらしい。
「しかしどうする? 確かに二人目の奴のように、抱きつかれればおいしい! ものすごくおいしい!」
「ああ、普通なら近寄る前に最初のアイツのように、腕を握られて終わりだ。まあそれでもアレだけのレベルの美女に、直接触れられる機会なんて一生のうちにあるかないかだろう。…しかしだ!」
作戦会議中の残った六人は声を張り上げており、欲望がダダ漏れしている。ディアナさんにも聞こえているのか、少しだけ恥ずかしそうに視線を彷徨わせて、青い髪を指先で弄っている。
「問題は、どうやってディアナちゃんに近寄るかだ」
「…策はある」
「何だと! 早く教えてくれ!」
「囮を使うんだ。誰かがディアナちゃんに投げられている間に、それ以外の奴が距離を詰める」
一瞬、お前頭いいな。INT180ぐらいあるんじゃね?という、賢いのか賢くないのかよくわからない言葉が聞こえたけど、肝心の作戦も周囲に丸聞こえなので、多分そこまで賢くはないのだろう。
「確かに囮を使えば、あの魅惑の果実の柔らかさ、温かさ、心地よさを堪能出来るかもしれないな」
「ああ、問題は誰が囮役になるかだ。俺は嫌だぞ」
「当たり前だ。そんな役は誰だって嫌に決まっている」
「じゃあどうするんだよ。これじゃ作戦にならねえぞ」
囮作戦、確かに上手く決まればディアナさんとの距離が、その分だけ詰められるだろう。これは来るとわかっていても、簡単に対処出来るものではない。
「そこで考えたんだが、囮はあえて決めずに俺たち全員で一斉にかかろうと思う」
「おいおい、それじゃ土壇場で裏切って、あとから突っ込む奴が出ちまうぞ」
「落ち着け、別に俺たちだけじゃない。全員でかかるんだ。あっちの奴等も誘ってな」
「なるほど、戦いは数だよ兄貴! …だな。乱戦になれば一揉みぐらいは出来るかもしれないぞ!」
さっそくグループの一人が、交渉役としてまずはディアナさんの元に向かう。
「俺たち六人とディアナちゃんでは、力が違い過ぎる! よって、これではフェアな勝負にはならない!」
「えぇ…何その理屈は…。じゃあ、例えば一体どうしたらフェアになるのよ」
「そこで、提案なんだが、俺たちの仲間を増やそうと思う。あそこの彼女の周りから何人かを誘って、一緒にディアナちゃんに挑もうと考えているんだが、いいか?」
「なるほど、戦力の差を数で補うのね。理屈としては間違ってはいないわね。いいわよ。いくら数を揃えても、地球人なんかに絶対負けたりしないんだからね!」
男性グループの交渉役は無事に彼女から許可をもらうことが出来たようだ。でもディアナさんのその台詞は、負けフラグに聞こえるんだけど、いいのかな?
彼は地球人という言葉に少し疑問を抱いたものの、今は目の前の魅惑の果実のことで頭がいっぱいなようで、ウキウキとした足取りで、センコさんの周囲の人垣に向かって行く。
そして数分後、ディアナちゃんチームvs魅惑の果実を揉みたいチームが、東軍と西軍にわかれて睨み合う。
結局センコさんの近くに居た、ほぼ全ての人が参加することになった。
やはり彼女のグラマラスな外見に魅了されて集まったために、それに匹敵するディアナさんのボンッキュッボンに惹かれるのも、男としてはまた必然なのだろう。
「逃げずによく来たわね」
「ああ、俺たちは絶対に諦めない! 勝つ可能性が僅かでもある限りな!」
珍しいイベントか何かだと思っているのか、ディアナさんたちの周囲には、市営プール中から大勢の人が詰めかけ、中には動画撮影や、携帯のカメラでサービスショットを撮ろうと待ち構えている人たちもいた。
ボクはというと、センコさんが寝転んでいたマットを最前列に移動させてもらい、彼女と一緒に座って、この勝負の行方を見守っていた。
事態は完全にボクの手を離れているので、これ以上出来ることなど何もない。
「でも、私も背負っているモノがあるの。だから負けるわけにはいかないわ!」
「それは俺たちもだ! 行くぞ皆! 突撃いいいいいっ!!!」
皆が一丸となってディアナさんに向かって突撃していく。作戦も何もない。とにかく数に物をいわせた戦い方だ。まあ寄せ集めのチームだから連携も何もないしね。
「俺は右から揉む! お前は左を!」
「ああっ! 死ぬんじゃねえぞ!」
「ふっ…お前こそ! 俺はディアナちゃんの果実を一揉みするまでは、死ぬ気はない!」
「ふん、言ってろ! 先に逝くぞ!」
しかし彼らの目的は一つだ。ただディアナさんの一点を狙って突き進んでくる。相手の攻め手がわかれば、その分守りやすくなるけど、それでも物には限度というものがある。
至福の表情で次から次へと投げ飛ばされていく男たちとは違い、彼女にそこまでの余裕はなかった。
「くっ…! 次から次へと!」
「怯むな! 進め進めー! 桃源郷は目の前だぞー!」
「ディアナちゃーん! 俺だー! 投げ飛ばしてくれー!」
地球人と違って身体能力が規格外のため、疲れることはないようだけど、精神面ではそこまで差はないようだ。
投げても投げても止まることなく嬉しそうに突撃してくる男たちに対して、ディアナさんの表情には、少しずつ焦りの色が見えてくる。
「質はともかく! 数だけは多いわね!」
「皆の衆! 今だ! 討ち取れー!」
焦りが隙を生んだのか。ディアナさんはいつの間にか背後に回り込んでいた一人の男に、ギリギリで気づいたものの、他の男たちの一斉攻撃に対応するのが精一杯で、その瞬間を突かれて、致命的な攻撃を受けてしまった。
「え? …え? あっ…きゃあああああ!!!」
「ディアナちゃん、討ち取ったりー! 皆の衆! 勝どきじゃあああぁ!!!」
「「「「えいえいおーっ!!! えいえいおーっ!!!」」」」
背後から近づいた一人の男が、ディアナさんから剥ぎ取った胸元のビキニを天高く掲げる。と言うか、今思い出したら勝利条件とか決めていなかったけど、それでいいのだろうか。
実際に彼女はプールサイドに赤面しながらしゃがみ込み、隠しきれない程に大きく育った果実を、見えないように必死に手で隠している。このような辱めを受けて動けなくなった以上は、もはや戦闘不能で決着ということなのだろう。
「ううっ…まさか、地球人に負けるなんて…」
「では、ディアナちゃんの水着は、自分が記念として…」
「「「「……はぁっ?」」」」
小さく漏れた彼女の地球人という言葉は、ビキニを誇らしげに掲げる一人の男の発言にかき消されて、誰にも聞こえることはなかった。
そして、魅惑の果実に惑わされた男たちの、仁義なき戦いが再び火蓋を切るのだった。
結局ディアナさんの水着は、あとから返してもらった。見た目は普通でも、オーバーテクノロジーの結晶なのだ。たとえ彼らの使用目的がアレだとしても、所持させておくわけにはいかない。
子供のように泣きじゃくって、渡すのを渋り続けた男に、別の水着をプレゼントするからと、何とか譲歩を引き出すことが出来た。 ディアナさんが本気で困っていることがわかったのか、渋々ながら市営プールの購買で買った臨時の水着と交換してもらった。
こうして市営プールの連合と地球人の戦いは幕を閉じた。
それは今まで連勝続きであった連合の、はじめての戦闘行為での完全敗北という結果を残すこととなった。
そのあとは、センコさんとディアナさんとボクの三人で、ひと泳ぎしてから帰路につくものの、余程あの戦いに負けたのが悔しかったのか、市営プールを出ても、彼女はずっと塞ぎ込んでいた。
しかし、帰りのバスに乗ったときに、ボクは行きのことを思い出して彼女に告げると、喜々として停車ボタンを押して、家に着く頃には元の明るいディアナさんに戻り、事なきを得たのであった。
 




