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崩天蛇神の秩序維持  作者: てるてるぼうず
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拘束

「それで? なにかいいたいことはあるかしら?」


 会長から質問をされる。


「何もありません。申し訳ありませんでした」


 命令違反を犯したことを素直に謝った。

 会長はため息をしている。


「それにしても、よくこいつを捕まえることができたな。一体どういう魔法を使ったんだ?」


 委員長がクラウディア先輩を眺めながら質問する。


「魔法なんて使ってませんよ。ただ先輩があきらめるまで攻撃をし続けただけです」

「そ、そうか。それは」


 みんな俺に対してドン引きしている。


「そういえばオリヴィエたちの容態はどうです? 重症ではないと思うんですが」

「ああ、全員命に別状はない」


 そうか、それはよかった。


「ところで、私はどうすればいいのかしら? 反省したから帰っていいかしら」


 クラウディア先輩が会長に質問する。


「あ、貴女ね……本当に反省したの?」

「ええ、だから彼に連行されてきたのよ?」

「不問にできるわけないでしょう。部活動勧誘時間が過ぎるまで自室で待機、他の部員への指示も禁止よ」


 会長からの処罰にクラウディア先輩が反論する。


「ちょ、ちょっと待って。それじゃあ我が部の入部希望者が減ってしまうじゃない。それじゃあ部の予算も優秀な人材も手に入らないじゃない」

「クラウディア! あんたどんだけ自分本位なの!? 毎年毎年問題起こしてるじゃない!」

「だからその分も反省してるわよ」

「じゃあ大人しく言うこと聞きなさいよ!」


 委員長の怒号が飛び出す。


「わかったわよ。それからあまり大声を出すと美人が台無しよ? そんなんだから今になっても恋愛ひとつできないのよ」


 この一言で委員長の怒りのボルテージがさらに上がる。


「そんなこと今は関係ないだろう!? そもそもそういう偉そうなことを言えるような経験などお前にだってないだろうが!」

「あら、私になくったって貴女が恋愛に無縁なことに変わりはないじゃない」


 この二人……


「もしかして付き合い長いんですか? あの二人」


 俺は会長に話しかける。


「実はそうなのよねー。私たち三人って幼馴染なのよ」

「……なるほど? それで放って置けばいいと」

「ええ、普段は大人しいのよ」


 会長の発言に委員長が待ったをかける。


「大人しいだと!? 何度私がこいつに飯を奢らされたと思っている!?」

「私だって奢ってあげたじゃない」

「今までのを合算してみろ! 明らかに私のほうが損しているじゃないか!」


 記録してたのか……今までの全部。そして大人しいとか関係あるのか?


「なんでこんなに仲が悪いんですか? 委員長が一方的に嫌っているように見えますが」


 再び会長に聞いてみる。


「昔は仲良しだったんだけど……。あることが溝になっているのよね」

「あることとは?」


 あ、もしかして聞いてはいけないことだったか?


「……二人を見比べてみればわかるわ……。胸とか」


 乾いた音が二回した。そして高速で動く二発の弾丸が会長の左右の耳をそれぞれ掠める。そしてその背後にある窓ガラスに着弾。当然窓は貫通。

 委員長の右手にはリボルバーが。クラウディア先輩に威嚇として向けたセミオートマチックの銃ではない。 


「おい、ソフィア? 今何か言ったか?」

「なんれもないれす」


 完全に気圧されているじゃないですか。会長がそんなんでいいんですか。


「私の気のせいだよな?」

「はいそのとおりですだからおこらないでくださいおねがいしますじゅうをしまってください」


 これはもうだめだな。


「セミオートではないんですね」


 とりあえず質問してみる。


「ああ、こいつか」


 委員長は上着の内ポケットから別の銃を取り出す。


「別にそっちでもいいのでは?」

「ああ、セミオートは性能はいいんだが、発射時の反動を利用して薬莢を排出し、次の弾薬を装填するという性質上連射には構造上の限界があるだろう? それが少し気になるだけだ」


 ちょっと待て、それってどれ程のタイムラグだ?

 それが気になる? どういう速度だよ。


「もういいんじゃない? 許してあげたら」

「私はお前を許すつもりはないがな」

「怖いわねぇ。じゃあ、私は自室で謹慎ね。帰らせてもらうわ」


 そういうとクラウディア先輩は生徒会室から出て行った。


「なあ、天蓋君? 君はどう思う?」

「何がです?」

「女性の魅力は見た目ではないよな? 君もそう思うだろう?」

「まったくその通りですね」


 今確信を持って言えますよ。もっともそれ以前から綺麗な薔薇には棘があるどころか、核兵器搭載しているようなやつもたくさん出会ってきましたが。とくにギリシャで。


「そうかそうか、やはり君もそう思うか。やはり私の目に狂いはなかったな」


 いやいや、ある意味的外れですよ。射撃の腕に比べれば。


「まあ、そんな話はどうでもいいことだ。君もすぐに持ち場に戻るといい、まだ仕事は終わりじゃないからな。とはいってもまた問題を起こされると非常に困るんだがな?」

「はい、それではこの不肖、素良天蓋……これからは問題を起こさぬように最大限の努力を注ぎます」

「そうか、よく言ってくれた。その言葉を信じるよ。それじゃあ私も仕事に戻るとしようか。……そうだ、会長、代えの下着は持っているか? 着替え終わったらすぐに仕事に復帰しろよ」

「……はぃ」


 それを俺の前で言うなよ!? 気づかない振りしてたのにごまかせなくなったじゃないか!?


「俺は何も聞いてませんよ!? だから何もいうこともありませんからね!?」


 それだけ言ってさっさと生徒会室をあとにする。

 それからの仕事は特に何の問題もなく進んだ。どうやら俺がクラウディア先輩を捕まえたことはすでに学園中に広まっているらしく。俺が注意したらすぐにみんな強引な勧誘をやめてくれた。

 問題があるとしたら二つ。

 ひとつはみんなが俺を怖がって誰も近づいてこないということ。

 もうひとつはタッグデュエルの時実況していた二人の女性がとんでもなく好奇心旺盛で、俺に対して質問攻めしてくることだ。

 意外とどう行動しても何かしらの面倒は降りかかってくるらしい。

 まあ、かなりましな部類だが。こういうのは面倒でもないし。

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