質問
PVが1000を超えていてとてもうれしかったです。
これからもがんばります。
「では、貴方は金翅鳥カルラさんのお兄さんということになるのですね?」
「そういうことに、なりますね」
二人に対して適当に相槌をうつ。
デュエル中は顔を見ることはできなかったが、実際に見てみると二人とも小柄で可愛らしい女性だった。
元気よく実況していたのがジェーン先輩、落ち着いているほうがローラ先輩。ちなみにジェーン先輩のほうが年上のようだ。二人からの質問に答えながら適当な内容の話しを続けていると、あのデュエルのあとアリーナは騒然としたらしい。まあ有名な選手を倒したのだから当然のことか。
そういえばと思い、二人に質問してみる。なぜあのタッグデュエルが始まるときアリーナに観客がいたのか、そもそもなぜ、二人はすでに実況の準備が整っていたのか。
二人の話を聞く分には、ギャラリーの多い試合の実況は放送委員の義務だそうだ。
当然なんで観客が多かったのかについては何も答えなかった。
……とはいえ、自分の家庭の事情を説明するのはいったい何度目だ? いい加減面倒になってきたな。
「なるほど、なるほど。道理でお強いわけですねぇ。新入生の中でもトップの成績で合格したカルラさんのお兄さんだったとは」
「……」
「先輩、そういうことを本人の目の前で言うのはどうかと思いますよ。それじゃあ、兄が妹に成績で負けたと遠まわしに言っているようなものでしょう」
そういう貴女は最短距離でいってますがね。
「ローラ……それを本人の前で言うのもどうかと思うわよ」
「いえ、お気になさらずに。慣れてますので」
とりあえずフォローを入れておく。すこし気まずそうな顔でローラ先輩が俺の顔をのぞく。
俺が特に表情を変えなかったため、本当に気にしていないんだろうと判断したのか、さらに話しかける。
「ところで気になったことがあるのですが」
「なんです?」
ローラ先輩に目を合わせる。
「最後のプロミネンスの直撃のことなんですがどうやって耐えることが……、いや! それ以前にマルクス選手を障壁に投げ飛ばした時点で勝負は決していたはずですよね? なぜさらに追い討ちをかけるようなことをしたんです?」
なんだ、そんなことかと思い、再び目をそらす。
「なぜ追い討ちもなにも、あの程度のダメージではすぐに立ち上がってくると思ったからですよ。それに相手にはまだ秘策がありそうだったので、使われる前に勝負を決めておきたかった。
ああ、あとプロミネンスの直撃に耐えた理由ですが、あんなものはただの気合ですよ」
先輩方二人が怪訝そうな顔をしながら言い返してくる。
「気合ぃ? そんなもので魔法が防げるならこの世から魔法なんてものは消えてなくなるわよ」
「もっとまじめに答えてほしいのだけれど……まあ、仕方ないわね。自分の手の内をわざわざ他人に晒すはずないもの」
ローラ先輩がクールに話しているがそこにジェーン先輩が突っ込みを入れる。
「ば、ばかな! なぜプロミネンスの直撃で立ってられる……?」
「!?」
「なんてこと言いながら驚いていたのはどこの誰かしら?」
ジェーン先輩は八重歯を見せながらニヤニヤと笑っている。
「そ、それは……誰だってそう思うでしょう!? あまりにも不自然な光景だからつい声を荒げてしまっただけです!」
なおもジェーン先輩はニヤついている。
「ふーん、でもー、その後私にタメ口叩いてたからなー。私はそのほうがびっくりしちゃったなー」
ローラ先輩は顔を真っ赤にしながら抗議する。
「ですからあれは! あくまでも魔法学的な興味が! 放送委員としての実況に臨む態度や放送委員としての矜持や姿勢、そういうものよりも優先してしまっただけです! あくまでも私の魔術師としての知的好奇心を刺激されてしまったからあのように取り乱した結果になってしまっただけで、決して、決して私はあのときの言動について、恥ずべき点はないと思っています」
なんかすごい饒舌にしゃべってる。
「へー、じゃあ何であのときのテンションで彼に聞かないのー? 本当は興味津々の癖に素っ気無い態度とっちゃってー」
「……クールダウンです」
真っ赤な顔のまま口をへの字に曲げている。かなり不機嫌なようだ。あ、目が合った。
「なんです?」
「いえ、なんでもありません」
「クールダウンできておまへんがなって言ってるわよ」
そんなことは言ってないし、なんだそのしゃべり方は。どこの方言だ。
ローラ先輩もこっちを睨み付けてくる。俺は悪くないぞ。
「とにかく、私としては貴方が言いたくないというのであれば、これ以上詮索するつもりはありません」
「そういっていただけるのでしたら幸いです」
適当に答える。
「じゃあ聞きたいことも終わったので私たちは仕事に行きますね」
「え、私も? まだ聞きたいことが」
「もうないでしょう! さあ、早く帰りますよ」
そういうとジェーン先輩の手をつかむとさっさと引っ張っていってしまった。
俺はやれやれと思いながら時計を眺めるともうすぐ再集合の時間だった。厳密にはまだ時間はあったが、さすがにもう騒ぎを起こしそうな雰囲気など微塵もなかったので、俺は一足先に生徒会室に行くことにした。
◆◆◆◆◆
生徒会室に着いたのでノックする。
「ちょ、ちょっと待って! いま取り込んでるの!」
会長の声だな、取り込んでる?
「どうかしたんですか?」
「い、いやなんでも……って、天蓋君!? なんでもう!? まだ時間あるじゃない!?」
「さすがにもう騒ぎ起こすような雰囲気じゃなかったんでもう大丈夫だろうと思って先に来ました。さすがに戻ったほうがいいですかね?」
正直あれだけのことがあってまだ騒ぎが発生したら引く、さすがに俺の手に負えることじゃない。だから許してほしい。そう思う。
「だ、駄目よ! すぐに戻って……いや、ちょっと待って!」
なんだ? 俺は結局どうすればいいいんだ?
「もしかして君以外に誰もいない?」
「そりゃあいませんよ。組んでたやつは保健室ですから」
「そう、君だけ……」
なんだ?
「わかったわ。ちょっと入ってきてもらえる?」
「……? わかりました」
言われるがままに生徒会室に入る。
中には会長が一人、それだけだ。ほかに違いといったら会長がバケツと雑巾を持っていることだけだ。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけどいい?」
「かまいませんが、いったいなんです?」
「君って口は堅い? 堅くないとすごく困るんだけど」
「堅いと思いますが」
そういうと会長は少しばかり安堵の表情を浮かべると、俺にもっと近づけと手招きする。
「なんなんです?」
俺が会長のすぐそばまで移動すると会長は深呼吸してから俺に質問する。
「さっきのことは憶えてる?」
「……? ……。……!」
まさかあのときのことか!? いや、憶えてると言ったらやばいだろう!
「まあ、憶えてるわよね。それで聞きたいことがあるんだけど」
「な、なんです?」
会長は自分の席を指差す。
「だ、大丈夫よね? ばれないわよね? 臭いとかしないわよね?」
「貴女何を言ってるんです!?」
すぐに距離をとる。それ男に聞くことじゃないだろ! 何考えてんだこの人!?
「だってほかに聞ける人がいないんだから仕方ないじゃない! ずっと綺麗に掃除してたから大丈夫だと思うけど臭いが取れてないような気がするのよ! だから君が嗅いで見てそれで大丈夫ならって」
「はあ!? 俺に臭いを嗅げって言うんですか!?」
「だ、だからほかに人が」
「いやいや、できるわけないでしょう!? 万が一臭いが残ってたらどうするつもりですか!?」
「泣く。たぶん……」
そんな……じゃあできないでしょ。
「早く調べてよ……みんな来たらそれこそ大変じゃない」
「それはそうかもしれませんが! ……逆に俺でいいんですね!? 後悔しても知りませんよ!?」
「へ、変なこといわないでよ! もう何でもいいから早く私を楽にさせて!」
「わかりましたよ! やればいいんでしょう!? やれば!」
意を決して嗅いで見る。
「ど、どう?」
「……多分誰にもばれないと思います」
「そ、それって! それって!!」
「いや、ばれませんって! それに後悔するって言ったでしょう!?」
「いいえ! するかもってニュアンスだった! 絶対わかるとは言わなかった! 自信があるって話し方じゃなかった!!」
そんなこと言ったってそれこそ仕方のないことでしょう!? 確実に臭いを嗅ぎ分ける自信がありますって言ったら完全に変態でしょうが!!
そう抗議しようと思ったが止めた。これ以上続けても完全に泥沼に浸かるだけだ。
俺が黙っていると会長が俺につかみかかる。
「忘れろ! 全部! 今日の記憶全部! 今すぐ!」
「そんな無茶な」
「忘れろー! 忘れろー!」
会長が叫んでいると、突然ノックがする。
「会長? どうかしましたか?」
まずい、集合時間になった。どんどん皆集まってくる。会長は俺を放すと自分の席に着いた。
「なんでもないわ。入ってきなさい」
そんな感じで保険室にいるやつ以外の全員が集まった。




