結局ただのごり押し
「そろそろ離してもらうか」
「くそ! なにをしている!? 早くその男を食らいつくせ!」
一斉にすべてのドラゴンが俺に襲いかかってくる。ドラゴン達が鋭い牙で俺に噛みつき、啄んで来る。さらにその後俺の体を別々の方向へ引っ張ろうとしてくる。
「無駄だ!」
俺は腕に噛みついてくるドラゴンを放り投げ、地面へと叩きつける。
「な、投げ飛ばしたぁ!? 観客の皆様ご覧になられたでしょうか! ドラゴンを片手で投げ飛ばしました!」
「ドラゴンって体重相当ありましたよね……? あれ投げ飛ばすって」
「まああのサイズなら騎士達でも出来る奴はいるが……噛みつかれながらとなるとな……」
「と、とにかく! これでドラゴン達からの拘束から解き放たれた天蓋選手! ここからどのようなファイトを見せてくれるのでしょうか!?」
流石に今のを見て観客達も驚いているようだな。そして何よりもドラゴンの方も怖じ気づいているのはありがたい。あいつら倒すのにいったい何本矢を消費するかわからんからな。
「……!? おい天蓋! その腕はどうした!?」
「腕がどうかしたか?」
噛まれた腕を見ると、ドラゴンの唾液でベドベトになってはいるが外傷はない。オリヴィエがそこまで驚くようなことは何もないと思うが。
「どうかしただと!? 袖がちぎれているではないか! それによく見たらローブもボロボロではないか!」
「当たり前だろドラゴンに噛まれたんだぞ」
「しかもボロボロになっているのにそれがかえってカッコ良く見えるとはどういう事だ! ま、まるで私のセンスに間違いがあったかのようではないか!」
「お前何言ってんだ?」
そもそもお前のセンスの是非なんて今ここで話すことじゃないだろ。
「うるさい! 私はそんなもの認めんぞ!」
「わかったから試合に集中しろ!」
変な横やりが入ったがこれで仕切り直しだな。
「まさかパワーだけでどうにかするなんてね。でも僕本体を倒さないと試合に勝ったことにはならないよ!」
「オリヴィエが倒すから解決するさ」
「ハッ! 無駄だよそんなこと、あの女攻撃は完全に見切っている! 僕を倒すなんて不可能さ!」
「だそうだが、どうなんだ?」
俺はオリヴィエの方に向かって質問をぶつける。当の本人はいつもの余裕顔でいる。
「もうすぐわかる。私が勝利することによってな」
「まだそんな口がきけるんだ。一発も当てられないくせに」
「あの程度の攻撃をかわすのがそんなに嬉しいのか。もっともその絡繰りはもう見切ったが」
「なに?」
「私と同等かそれ以上の空間把握魔法を付与しているだけだ。爆撃発生前に攻撃地点を見切る方法はそれしかない」
……との事だが、果たしてその真相は。
「ふ、ははは! それがわかったからってどうだって言うのさ! 結局攻略したことにはならない!」
「いやあるぞ? 攻略法なら」
「バカな」
「本当さ、簡単で簡潔な方法がある。それは……相手が対処できないほどの攻撃を続けてミスを狙うことだ」
それはただのごり押しと言うのではないのか?




