大量発生
「なんだ、虫が消えていくぞ?」
「恐らくお前に通用しないから呼び出す意味がないと判断したのだろう」
「だとしても毒虫くらいはそのままにしておいた方が上策だろう」
確かにそのとおりだ。毒針ならば死んだ後も毒性が残るため相手の行動を制限しやすい。それをしないということは召喚獣へのダメージを減らすためか……それとも自身への誤爆を恐れてのことか。
「いや、もしかしたら不確定な毒を服用させて発生する症状を避けたいのかもしれん。万一のことがあったら反則をとられかねないからな」
「そういうものか? バッタあたりならそのままでも良いんじゃないのか? 最も強力な害虫だろう?」
「蝗害は作物を食い荒らす天災だぞ。戦いとは関係ない」
「そうだったか? 博識だな」
そりゃどうも。
「残念ながらボクも虫は苦手なんだよねー。どっかの誰かは違うみたいだけど!」
「わざわざ苦手なものを呼び寄せたのか? ご苦労なことだ!」
「くそ! 本当に女かよ!」
それ自体は見ればわかるだろ。行動に目を瞑れば。
「ふん、どうやらそろそろ召喚は限界らしいな」
「十分なだけだよ!」
「ならすぐに追加の準備をしておいた方が良いぞ。そろそろ俺のほうは終わりそうだ」
向かってくる獣たちを矢で応戦しながら近くに寄ってくる奴らを蹴り飛ばしている内にある程度の数は戦意を喪失し始めている。このままこいつらを出し続けてもいたずらに魔力を浪費しつづけるだけ。さっさと別の召喚獣に切り替えるころだと思うがな。
「な!? あの数を……!?」
「そう驚くことでもないだろう。それより……猫のじゃれあいは戦闘中に見るものじゃない。出来れば大物を仕留めたいんだがな」
「く……クク、ハハハハハ! すごいね、アレ結構強力な種族だよ!? それで!? 矢はあと何本残ってるの!? こっちはまだまだいっぱい出せるんだけどね!」
「そうか、じゃあオリヴィエ! オプションは俺が処理する。本体はお前が叩け。いくらなんでも全部自分の獲物だとか言い出さないよな?」
「少しくらいは私にも回せよ。それともどっちが多く倒せるか勝負するか?」
それだとこいつがビハンドが大きいな。何せ俺と違って本体の相手もしなければならない。まあそれ言ったら意固地になりそうだが。
「試合でなければそういうゲームも面白いかもな」
「そうか、ならゲームは後の楽しみに取っておこう」
一応説得できたか。まあ嘘を言ったわけでもないからな。だから説得に成功できたのだろうな。
「人の話聞いてないのかな? 矢がなくちゃ君戦力外だよ!?」
よく人を見ているな……俺が矢を放った矢の本数をしっかり数えているわけだ。この入り乱れた状況で。
「それは心外だな。武器などなくとも……いや、それ以前に矢が尽きたなど誰が言った?」
俺は転送魔法で矢筒に送られてきた矢を取り出し、弓を引く。
「な……」
流石に驚いてくれるか。突然矢がリロードされたわけだからな。無理もないか。
「まあ、言うまでもなく補給してくれる優秀なパートナーがいるおかげだがな」
「誰が補給係だ!」
いや補給係とは言ってないだろ。
「ひ、卑怯だぞ!」
「お前も似たようなものだろ」
どっちかというとそっちの方がずるい気がするんだがな。どっちでもいいが。




