第二幕
「さあ、ショーの開幕だよ!」
「おい、あの魔法って」
「召喚魔法だな。このフィールドで使用する奴がいるとは珍しいな」
「ここじゃ身を隠す場所ないからな」
残った一人が呪文を唱えると足元に魔法陣が現れ、そこから獅子らしき物が出現し始める。他にもドラゴンのようなものもいる。
「複数種の同時召喚とはな、言うだけのことはあるか」
「驚くのはまだ速いよ。行け! 召喚獣達よ!」
「とりあえず……あのペットどもを追い払っておくか」
「普通に術師を叩くのが定石だが、流石に対策してるだろうからな」
オリヴィエはフィールド全域に爆撃を開始した。端から見ると辺り構わず破壊しまくっているように見えるが。
「やったか!」
「いや、あれで倒れるような奴は呼び出さないだろ」
「その通り。炎耐性の高いやつを呼んだからね!」
爆発の中を平然と、まるでこれが普段となんら変わりない風景であるかのように前に進み俺達に襲いかかってくる。
「チッ、おい無事か天蓋!?」
「ああ、猫にじゃれつかれただけだ」
この獅子……見た目から考えるとライオンか? とにかく俺から言わせたら猫にじゃれつかれたようなものだ。心配する事ではない。まあこれ以上涎まみれになるのは御免だ。さっさと投げ飛ばすか……ネコ科の動物だし大丈夫だろ。猫だし。
「おーっと天蓋選手巨大な召喚獣からの攻撃を凌ぎ無事生還ました!」
実況席もようやく盛り上がってきたらしい。さっきまでも色々と話していたが、ここまで聞こえる程のトーンでは話していなかった。まあ盛り上がる試合内容ではなかったが。
「やはり派手な魔法が出てくると興奮しますね!」
「まあ先程までの試合も見所はあったがな」
「確かにスゴいですよね、飛んでくる矢をワープさせるやつ!」
「手で触れる必要があるとはいえ、遠距離攻撃を跳ね返せるからな。あれの攻略は厄介だぞ」
「まあ冷静に考えたらあの爆発全部ワープで無理やり当てている訳ですからね……」
まあ水中では威力が激減するらしいが、そこまでの水をこのフィールドに出現させるのも一苦労だからな。まあその対策として機雷を持ってきているらしいが……もしそういう物騒な物が出し入れ自在だとすると、完全に密輸業者か武器商人の類にしか見えなくなる。
「へえ、凄いねソイツをふりほどくなんて」
「当然だろう」
「お前が威張るな」
「……でもさあ、もしコイツ達が何匹もいたらどうかなあ!?」
魔法陣から更に追加で数匹現れてくる。同種だとは思うが細かな差異が存在している。
「さ、更に召喚したー!? ただでさえ強力無比な種族を従えながら更なる召喚の続行! これはすごい!」
「同時召喚という高等技術を易々と……いかに魔力の供給があったとしてもあれだけの数は見たことがないな」
「というか、よく生還出来ましたよね彼。普通に考えてあんなのに飛びかかられたらひとたまりもありませんよ? 内臓破裂くらいしそうなものですが」
「それだけ強大な魔力でその身を覆っているのだろうな。オリヴィエ達の派手な魔法のせいで目立っていないが、あの男も相当な化け物だぞ」
内臓破裂だとか化け物だとか言いたい放題の連中だな。その言葉が全国に届いている自覚あるのか?
「……とりあえず出てきた奴から倒していくか」
「相手は耐性持ちだぞ。策はあるのか」
「知れたことだ。耐えられるなら耐えきれないだけの熱で焼き払うだけさ」
ごり押しかよ……まあその方がこいつからしてみたら一番楽な戦略なんだろうな。
「残念だけどおねーさんにはこれを相手してもらうよ!」
「……! これは」
新しく魔法陣を書き加えるとそこからはおびただしかいかずの昆虫達が出現した。そのなかには数億年間姿を変えずに生存競争から生き残っていたあの黒い虫もいる。
「コックローチ? 戦闘には不向きな種だろう」
なんということだろうか、オリヴィエは平然とゴキブリを焼き払い始める。
「お前……虫とか平気なのか」
「ソフトインセクトのことか? カマキリみたいなものだろ?」
それは決定的に違う気がするが。




