職業訓練スキル
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プレイヤー名:サトウ
職業:無職
LEVEL5
HP:1500
MP:150
STR(筋力値):6
INT(知力値):5
DEX(器用値):6
AGI(敏捷値):7
VIT(体力値):6
MND(精神値):5
ステータスポイント:残り0ポイント
罪ポイント:【0】
skill:
寄生LEVEL3
職業訓練LEVEL1
装備 :なし
所持品:HPポーション(小) MPポーション(小)
所持金:10000G
取得称号一覧
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《スキル説明:職業訓練》
パーティ状態限定で、パーティメンバーの一人を対象に発動出来る。
対象のステータス・スキルの一部を使用出来る様になる。
パーティ状態が解除されると強制的に解除。
極低確率で使用したスキルを取得出来る。
スキルは3つまで保有可能。
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「……良いじゃん」
レベル5となり手に入ったそのスキル。
それは、無職の希望だった。
現実で言えば資格。そういや俺何も資格持ってない……オワタ(死語)。
あああ駄目だ駄目だ! また現実のこと考えてる。今はゲーム中だろ。
スキルスキル……。
「……プレイヤー版の寄生って感じか」
いやそれだとマズいな。
使えるスキルは相手が使えないって事になるし。
ま、とにかくやってみなきゃ始まらない。
適当なプレイヤーにお願いしてみるか。
あんだけ無職が人気だったんだ。行けるだろ!
☆
「は? いやいや勘弁して」
☆
「無職がPTに居てもなぁ……」
☆
「ごめん、間に合ってる」
☆
「面白そうだしいーよ」
「ありがとう……ありがとう……(無職)」
「いやキモいんだけど」
「ありがとう……」
「キモッ! どMかよ!」
「違います(真顔)」
苦節一時間。
とにかく声を掛けてようやく相手を見つけた。
《マイ LEVEL5 軽戦士》
ナイフを握り、軽快な動きで戦っていた彼女。名前からしてスピードタイプ。
緑色の装備が明らかに素早そう。
《マイ様とパーティ状態になりました》
「で、早速お願いがあるんだが」
「は?」
「ちょっとスキル掛けて良い?」
「バフ? 別に良いけど」
……間違っては無い。きっと。
さあ行け!
「『職業訓練』」
《マイ様に職業訓練の申請を行いました》
「えっなにこれ」
「俺のスキルだけど」
「……ふーん」
《申請が受諾されました》
《『小刀』スキルを使用出来る様になりました》
《『ソニックスラッシュ』が使用出来るようになりました》
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《スキル説明:小刀スキル》
ナイフを扱える様になる。
また、スキルレベルによって以下の武技を扱えるようになる。
『ソニックスラッシュ』
素早くナイフを切りつける攻撃。
使用中はAGIが上昇する。
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《ナイフを装備しました》
試しにナイフを持ってみる。
するとこう、しっくり来る感じと共に鳴るアナウンス。
ああ――初めてLFで俺は武器を持てた。
「おお……(感動)」
「ああ? 何かキモいなコレ……」
《マイ LEVEL5 軽戦士 職業訓練状態》
歓喜の俺と嫌悪の彼女。
見たら名前にはそんな表示がされていた。
「それじゃ早速狩るか! (ウキウキ)」
「あ、ああ……」
こちら無職。
なんか雰囲気が悪いのでさっさと始めるに限る。
無職でもパーティー組めるんだ。
感動した(高評価)。
☆
「一人でやった方が良いし、何か気持ち悪いし抜けるわ」
《マイ様がパーティーから脱退しました》
「……あ、はい……(号泣)」
結果。
無職はパーティメンバーに不快感を与えてしまうらしい(当然)。
あの後適当なモンスターを少し狩って解散してしまった。
自分と同じスキル、しかも劣化版が居る訳だしな。不快だしそれなら他の職業の奴を誘うだろう。
寄生スキル?
発動前にモンスターが死んだので使うタイミングありませんでした(カス)。
……。
ああ、何となくこの職業の存在意義が分かってきた。
「“お試し”なら良いかもな」
職業訓練スキルで、他職のスキルをパクってどんなものか確認。色々試して転職。
うん、職業『無職』としては完璧じゃないか?
「……なるほどね」
そりゃそうだ。
客観的に見れば、他職の劣化でしかない。
一週間が経った今――誰もこの職業に就いていない理由が分かった。
そう、だからこそ俺は――
「もうちょっと付き合ってやるか」
せっかく手にした“特別”なんだ。
このまま手放してたまるかっての!
というわけでまずは――
「必殺、土下座作戦で行こう」