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第1話.遠藤サヤカを知りたい

高校に入学して気づいたことがある。それは、隣の席の遠藤が全く話さないことだ。この前消しゴムを拾った時にはぺこりと頭を下げてくれたが、普段話してるところを一度も見たことがない。授業で当てられた時とかは話してたけど…。ただ人との話すのが苦手なのか、それとも何か理由があるのか気になった俺は、少しだけ彼女と話したいと思った。


これは、俺が遠藤サヤカと出会い、笑顔でさよならをするまでの物語だ。


「…なぁ、君、遠藤サヤカさんだよね?」

いきなり話しかけて、彼女はビクッと肩を跳ね上がらせて、こちらを見つめてきた。当たり前だ。いきなりずっと隣の席だった奴から名前を確認されて、しかも話したこともない奴。不思議そうにこちらを見ながら頷く彼女を見て、俺は言った。

「遠藤さんは、なんで話さないの?」少しだけ会話に間があき、やはり聞くべきでは無かったと脳内で反省会をしていると、彼女が小さく口を開けた。「…人と話すのが…苦手で…」まさか答えてくれるとは思わず内心舞い上がる俺を心の中に閉じ込めて、俺は彼女に少し興味が湧いてしまった。


「話すのが…苦手なの?」そう問いかけると、コクリと彼女は頷いた。彼女のことが気になってしまった俺は、少し呟いた。「…ならさ、俺で練習してみない?」彼女は困惑した顔をこちらに向けた。そりゃあそうだ。俺でもなぜこんなこと言ったのかと考えた。完全に無意識だ。もしかすると遠藤は人と話すのが苦手でも、別に話さなくてもいいかもしれない。なんで言ったんだ俺。すると遠藤は小さな口を開かずに、強く頷いた。「…じゃあ、ちょっとだけ話していい?」頷く彼女を見て、俺は少しだけ自分のことについて話し始めた。


この瞬間は長くは続かないけれど。

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