Side Zip Off 外伝10. リオとリカの物語
Side Zip Off 外伝10. リオとリカの物語
静かな男と秘密の多い彼女の夏
## 真夏の学期
夏だった。
日差しは強く、
リカは今日も涼しい格好だった。
白い袖なしのブラウスに、、
短いキルティングデニムショートパンツ。
サヤメと比べれば攻撃的じゃなく、
過剰ではないが目立つスタイル。
彼女の存在は
影までも明るくする光のようだった。
リオは日陰にいた。
ダークサークル、乱れたシャツ、
数晩徹夜したかのように落ちた肩。
論文締切に追われる目。
疲れていたからか
普段口数の少ない彼が言った。
「涼しそうだね、リカ。」
その一言で夏を耐えた。
その日の午後、
授業が終わった後、
リオは少しコーヒーを買いに学校近くの路地へ向かった。
その時だった。
狭い路地で気配を感じた。
狭い路地、
一人の女性を囲む黒いスーツの男たち。
三、四人。
険しい顔つき。
チラチラ視線。
明らかな脅威。
見た目だけでもヤクザのようだった。
その中心にはリカがいた。
彼らに囲まれたリカは落ち着いていた。
不安だった。
情けなかった。
「俺は…
隣の女一人も守れない男なのか?」
リオは自分に怒った。
息を飲んで彼は飛び出した。
リカに最も近い男に
拳を放った。
「パフッ—!」
初めてだった。
リオらしくない人生の第一シーン。
彼の勇気は報われないかのように
殴られた黒スーツの男の目は
今にもリオを噛みつきそうだった。
彼はすぐにリカの手を掴んだ。
「逃げろ!」
「リオ…先輩?」
リカは信じられないように
彼を見上げた。
痩せた体型。
しかしその瞬間だけは
誰よりも広い背中のように見えた。
リカの前で震える小さな子犬のような姿。
しかし一生懸命前に出る彼の姿が
とても愛おしかった。
彼らは路地を抜け出した。
走り、また走った。
リオの手は、
揺れるけれどしっかりと彼女を掴んでいた。
後ろから
黒スーツたちが動いていた。
その時—
リカの視線だけが後ろを振り返る。
「あ~あん?」
声はなく、
口の形だけで言った。
「殺.す.ぞ.」
男たちはたじろいだ。
「あ…お嬢さん…」
すでに緊張でいっぱいの
リオには何も見えず聞こえず。
彼はただリカの手を握り、
前だけ見て走った。
人々が行き交う
公園の噴水近く。
息が荒いリオが体を曲げた。
「はぁ…はぁ…」
リカは平気だった。
風になびく髪、
いたずらっぽい目。
「その先輩、何なの?」
「あ…えっと…守りたくて…」
「え?」
「リカが…危なそうだったから…」
その言葉に
リカの目が猫のように丸く大きくなった。
リオが私を?
数秒の静寂。
そして—
彼女の反応。
「プハハハハハハ!」
リカは
息もできないほど笑い始めた。
「うははは…ぐふっ…
は…お腹…」
彼女は笑いながら
リオの襟首を掴み、
彼の顔を引き寄せた。
唇が、柔らかく触れた。
目を見開くリオ。
赤くなった頬。
夕焼けのせいだろうか。
いや、恥ずかしかったのだ。
そして彼女が言った。
「結婚しましょう、先輩。」
手で顔を覆いながら
彼女を見るリオ。
リカが最後に付け加える。
「あ、ちなみに初キスです。」
リカはゆっくり背を向け歩いた。
リオの胸は破裂しそうに鼓動した。
夏だった。




