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72話 天使を知る戦乙女

 吹き飛ばされていく中、なんとか体制を整えた美月たち。

 慌てて敵を確認するのですが……。

 そこにはいたはずの天使は粉々に砕け……そして、それを見た天使たちは意思を失ったように次々に地上へと落ちていくのでした。

 そして落ちた天使たちはそのまま動かなくなり……。


「か、勝ったの?」


 美月は辺りを見回し、天使達を警戒します。

 ですが、天使を表す光点は次々に消えていき――。

 やがてレーダーには何も映らなくなりました。

 静寂――その二文字が頭の中に浮かびます。

 これで終わったのでしょうか?

 そう思いながら――。


「あの城に行ってみよう?」


 綾乃の言葉に彼女は「うん」と答えます。

 天使たちの本拠地へと赴いた彼女たちはその中で驚くべきものを見ます。

 中には人のようで人ではない何かが倒れているのです。

 一体どういうことなのでしょうか?

 意味が分かりませんでした。

 ですが、その意味を彼女たちはすぐに知ることになります。

 建物は大きく、イービルでも中を探索できるほどでした。

 いえ、正しくは天使たちは機体に乗って探索をしていたと言ったほうが良いでしょう。

 そして……。

 彼女たちはそれを見たのです。


「な、なにこれ……」


 天使のコクピットから見えるのは人のようなもの。

 ですが、それは奇妙な物でした。

 まるで天使と融合しているかのように見え、そして、それはどれも同じ顔なのです。


「もしかして、天使って……これ自体が生き物だったの?」

「き、機械生命体って事!?」


 ありえない!

 綾乃はそう叫びましたが、それ以外は考えられません。

 寧ろ他に何があるでしょうか?

 どう考えても、天使という機械自体がその命だと考えたほうが良い。

 そう思えました。

 そして……。


「あれが天使たちの玉座?」


 ハンガーのような場所でひと際豪華な場所。

 おそらくはそこが玉座だったのでしょう。

 そこは何もありません。

 恐らく先ほど美月たちが倒したあれが天使たちの王だったのでしょう。

 美月たちは呆然としながらも――。


「戦いは終わったんだ……本当に終わったんだ……」

「いや、まだだよ」


 そう言葉を交わします。


「綾乃ちゃん?」

「ここを壊そう……もしかしたらまた天使を作られるかもしれない……人を避難させてから壊すんだ」

「うん、そうだね、そうしよう!」


 二人は頷きあうとその場にいる人を避難させ始めます。

 最初は怯えられましたが、美月が魔法を使って安全に外へと運び綾乃がそれを抱えゆっくりと動いたのです。

 そして、もう誰もいないことを確認するためにレーダーへと目を向けます。

 そこにはもう生物を表す表示はありませんでした。


「よし!」


 美月は一人そう言うと、城から出て外へと向かいます。

 すると……。


「……ここ、は?」


 どうやら迷い込んでしまった場所で彼女は見てしまったのです。

 培養液の中に入る人。

 青白い人でした……そう、恐らくは天使の端末の一つでしょう。

 彼らは皆苦しそうな表情を浮かべています。

 そして、その奥にはひときわ大きなケースの中、いくつもの白骨死体がありました。

 気分が悪くなった彼女は慌ててその場から立ち去ります。

 ですが理解もしました。

 きっとあれが、天使の言っていた母体なのでしょう。

 機械生命体が子供を作らせるという何とも奇妙な話ではあります。

 それでも事実は事実なのでしょう。

 何とか外へと出た彼女はコントロールオーブを強く握り、これが最後と祈りながら魔力を籠めるのでした。

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