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64話 味方を得る戦乙女

 美月は指令室を出るとその足で自身の部屋へと向かいます。

 目的は母の所……彼女をこのまま置いて行くわけにはいかなくなってしまったのです。

 ですが、どうしようかと美月は悩みました。

 このままでは安全な場所なんてないからです……。


「全く、あの子の無茶が移ったんじゃないですか?」


 呆れ声に美月は目を丸めます。

 声の方へと目を向けるとそこには信乃や恵がいました。


「駄目だよ、何かあったらどうするつもりだったの?」


 恵はそう言うと美月の方へとゆっくりと近づき――。


「大丈夫? 銃声が聞こえたけど……」

「うん……」


 おそらくあの時の会話は支部の人たちにも聞かれていたのでしょう。

 それでも敵となる人がここに来ないのは恐らく、司が何かをしたのかもしれません。

 現状天使が最大の敵なのです。

 そう考えていると……。


「基地には貴方に賛同する人が多いの、だからお母さんの事は安心して今は天使を倒すことに集中して?」


 恵はそう言うと信乃の方へと目を向けました。

 すると信乃はため息をつくと――。


「特に放送を聞いた男性は銃声が聞こえた瞬間に暴動を起こそうとするぐらいでした。抑えるのが大変でしたよ……」

「そ、そうなの?」


 まさかそんな事になっているとは思わなかった美月は思わず顔を引きつらせます。 

 ですが、それだけ味方が多いことに感謝をすると――。


「それじゃ……お母さんに会ってくる……」


 安心したのか笑みを見せそう口にしました。

 美月は信乃たちと共に歩き始め、自分の部屋へとつくと部屋の前には武装をした男性が居ました。

 彼らは美月に気がつくと笑みを見せ、手を振ってきます。

 どうやら敵ではないようです。


「……あ、あの?」

「安心しろ美月ちゃん、お母さんは俺達が守ってやる」

「魔法なんかなくても、武器はある! これまで君たちが命を張ってきたのは見てたんだ……君に賛同する者は多いんだよ」


 先ほど聞いた話では暴動が起こりそうだったという事です。

 今は落ち着いていますが、暴走すれば大惨事になることは間違いないでしょう。


「仲間同士で争うのはやめてください……」


 美月は自分がそれを言うのはどうなんだろう。

 と感じつつも口にします。

 すると男たちは目を丸め――。


「あはは、安心しなよ」

「美月さんを敵だと認識してた人達のほとんどは前回の時、司自身が追い出しました」

「残ってる人も流石に数が多い方についてるよ……美月ちゃんの地球人同士で無駄に争いたくないっていうのは納得してるみたい」


 それを聞くと美月はほっとします。 

 ですが――。


「だけど、だからといって司さんに怪我はさせないで下さい……捕まえても怪我だけは……」

「……それは綾乃さんのためですか?」

「……うん」


 綾乃にとって司は父親です。

 本当の父親ではなくてもショックを受ける事でしょう。

 そう思っていたのですが……。


「あんな人、父親じゃないよ……」

「綾乃ちゃん!?」


 美月は声の主の名前を呼びました。

 すると、彼女は吹っ切れた様子で……。


「でも、綾乃ちゃん……」

「それよりも美月、怪我はない?」

「うん……」

「……今、伊達……お父さんがイービルを整備してるから、すぐに出撃できると思う」


 まだ若干恥ずかしそうにする綾乃でしたが、どうやら伊達の事をちゃんと父と呼ぶことを決心したようです。


「って、綾乃ちゃん……司さんは……」


 育ての親……いくら彼女を伊達から取り上げたと言ってもそれは変わりません。

 ずっと親子として接してきたことから彼女は悩んでいたのですから……。


「アタシだってレンちゃんの事信じてるよ……戦うなんて嫌だ……そんな事のためにイービルに乗ることを決めたんじゃない」


 彼女はそう言うと――その瞳の奥に決意を宿しているようでした。


「天使は倒す、でも……その後は戦わない、本当にまた地球を狙う奴が居ない限り戦わない」

「うん、そうだね」


 美月は綾乃の言葉を聞き笑みを浮かべるのでした。

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