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57話 日本へと向かう戦乙女

「これでラスト!!」


 巨大な剣を振り回し、天使の背骨へとたたきつける綾乃。

 その姿はまさしく悪魔と言って良いでしょう。

 ですが、その悪魔は称えられるような歓声を浴びます。


「ふぅ……終わったみたいだね」


 美月はレーダーへと目を向けもう敵が居ないことを確認します。

 すると――。


「ご苦労様でした、いったん補充をいたしますのでこちらに」

「でも早く日本に向かわないと!!」


 綾乃の言いたいことは理解できました。

 美月自身、早く日本に向かいたいからです。

 ですが、今焦っても意味がない事も十分理解していました。


「駄目だよ綾乃ちゃん、こういう時こそ焦らずに行動しないと」


 そう、こういう時だからこそ、焦ってはダメなのです。

 ましてや補充をしなければこの先、いつ燃料切れを起こしてもおかしくはありません。

 戦闘と言うのは普通に飛ばす以上の燃料を使うからです。


「……そ、そうだね、そうだった……」


 綾乃もその答えに行き着いたのでしょう。

 がっくりと項垂れながらも頷きました。


「なるべく早く、済ませてほしい」

「はい! そのようにいたします」

 

 通信から聞こえる声はそう答え、二人はいったん補充をするために戻るのでした。



 ハンガーへと戻ると作業は急ピッチで進められていきます。

 二人は一旦イービルから降り、その様子を眺めていました。

 今度はそんなに時間がかからないとのことでその場で待つことにしたのです。

 暫く待っているとすぐに声がかかり――。

 二人は再びイービルへと乗り込みます。

 目指す場所は日本だ。


「がんばって……」


 二人を見送ってくれるのはリーゼの家族だけではありませんでした。

 フローレンスも見送りに来てくれたのです。

 彼女の応援に勇気づけられた二人は頷き――。


「ありがとう」

「がんばってくるよ!」


 そう答えるとドイツから旅立ちます。

 外へと飛び出た二機の悪魔はともに空を駆け――日本へと目指す。

 その速度は以前とは比べ物にならないほどであり……。

 しかし、コクピットの中は快適だった。


「全然揺れないよこれ!」


 綾乃が興奮気味にそう言うと美月も「本当だ」と答えます。

 確かに揺れが少なくなっているのです。

 巨大ロボットであるイービルの最大の課題はコクピットへの衝撃です。

 魔法使いであれば自身の魔法で身を守ることは出来ましたが、そうでない一般人では死活問題でした。

 いえ、まさしく死と言って良いでしょう。

 綾乃や新谷が特別なだけで普通は悪魔乗りになれないのです。

 ですが、今の機体であれば一般人であろうとも乗ることは可能でしょう。

 世界を守るための力は徐々についていっているのです。


 そう感じながら、二人はこの戦いを負けられないと確信し――。

 まだ少女の小さな背にその宿命を背負いながらも押しつぶされることなく空を駆ります。


「レーダーに反応があるよ!!」


 日本が近づいてくるとレーダーに天使を表す光点が出てきました。

 二人がとる行動はたった一つです。

 敵は天使、二人が乗るのは悪魔。


「やるよ!! 美月!!」


 以前の様な強気な少女へと戻った綾乃にほっとしつつ美月はその言葉に頷きながら答えます。


「うん! 行こう綾乃ちゃん!」


 以前のように臆病な少女ではない彼女は――銃を構えるのでした。

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