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56話 天使を越えた戦乙女

 美月と綾乃は整備をされた二機の悪魔に乗り込み、空へと飛び立ちます。


「ねぇ、美月……これ」


 そんな中、綾乃は少し弾んだ声を出しました。

 美月にはその理由は分かりませんでしたが、整備された機体に驚いたのでしょうか……。

 そう思いつつ自身の機体を調べていくと……。


「この武装……」


 刃のない剣。

 魔法の銃……それはリーゼが使っていた武器です。

 ですが、それ以上の出力が出せるようになっているようでした。

 この短期間でここまでの武装を用意できる事に驚いた美月でしたが……。


「あれ?」


 綾乃の方へと目を向けるとさらに驚きます。

 何故なら彼女の持つ武器もまた新たに新調されていたからです。

 それだけじゃありません、彼女の機体には見たこともないブースターが取り付けられていました。


「な、なにそれ……」


 美月は思わず訪ねますが、それにこたえる暇はありません。

 何故なら天使の攻撃が始まったからです。

 外へと飛び出した二機の悪魔。

 天使にとっては最優先で狙う敵です。


「来る!!」

「うん!!」


 二人はレーダーに……モニターに移された天使を睨み。


「行こう美月!!」

「そうだね、綾乃ちゃん!!」


 互いの名前を呼び合います。

 美月はコントロールオーブを強く握り、綾乃もまた操縦桿をしっかりと握ります。

 そして、空を駆け……。


「こ……のぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 綾乃の咆哮が響くとともに巨大な剣は天使へと向け振り落とされました。

 そのスピードは以前とは比べ物にならないものです。


「す、すごい……」


 それを見ていた美月は思わず認めてしまいますが、鳴り響く警報音にびくりと体を反応させます。

 何が起きたのか? 気になり確認してみると天使が傍に来ていることが分かりました。

 慌ててそれを避けた彼女は魔法の銃を手に取り――。


「あ、当たって!!」


 願いながら引き金を引かせます。

 魔法の銃弾は見事に天使を捉えましたが……。


「な、なにこれ……」


 彼女はあることに驚きました。


「ま、魔力が……減ってない?」


 そう、魔力が減った感じがしないのです。

 確かに魔法の銃を使ったにもかかわらず、マナタンクを介しても少しは消費されるであろう魔力が全く減らないのです。

 その事に驚いていたからでしょう。

 綾乃への攻撃に一瞬対処が遅れてしまいました。

 運良く攻撃はかすっただけでしたが、天使の一撃です。

 コクピットは激しく揺れ、それだけで危険なのです。


「綾乃ちゃん!!」


 美月は焦り声を張ります。

 ですが……。


「な、なにこれ……」


 綾乃は呆けた声を出すだけでした。

 一体なにが起きたのか?

 そう思っていると綾乃の機体に一切の傷がついていないのです。


「ど、どういうこと?」


 美月がそう尋ねると……。


『ナルカミに搭載されているプロテクションヴェールはさらに強化されています。早い話が直撃さえしなければ大体の攻撃はしのげるでしょう』

「なにそれ!? チートじゃん!!」


 時々訳の分からないことを言う綾乃に対し苦笑いをする美月。

 ですが、なにを言いたいのかはだいたい理解できるようにもなってきました。


「つまり、綾乃ちゃんは大丈夫って事ですね」

『いえ、搭載されているマナタンクのマナエネルギーの分だけですよ、消費は激しいので多用は厳禁です』

「マナの補充方法は?」


 美月は天使へと攻撃をしながら問います。

 これからの戦いにおいて重要だからです。


『魔法使いのマナを貯めて置ける構造なのは変わりありません』


 それなら自分でも事足りる……そう感じ、美月はほっとするとともに残りの天使たちを睨みます。


「綾乃ちゃん……行こう、ここで足止めされているわけには……」

「そうだね、美月……さっさとこんな奴らは倒しちゃおう!」


 二人の悪魔乗りはその機体を駆り、天使狩りを始めるのでした。

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