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54話 出撃を待つ戦乙女

 襲撃の知らせが来てから暫くし……。

 美月たちは二つの不安を感じていました。

 それは……。


「ねぇ、美月……」


 不安そうな表情を浮かべる綾乃の言いたいことは何となくですが理解していました。


「うん、私もそれが気になるの……」


 気になる事……それは……。


「ドイツは大丈夫なのかな?」


 そう、世界が襲われているこの状況でドイツは大丈夫なのか?

 それが気になったのです。


「……やっぱり、ここも襲われそう、だよね……」


 美月の言葉に綾乃は頷きます。

 おそらく天使は今回の襲撃で終わらせるつもりなのでしょう。

 スマホから流れてくるニュースを聞くために綾乃は操作をします。

 すると――。


「――は壊滅状態、もう、世界は終わりなのかもしれません」


 絶望した様子のニュースキャスターの声が聞こえました。


「こんな状況だというのにジャンヌダルク、そしてフールは所在が分かっておりません」

「一体どこに……いえ、こうなることを予想し逃げたのでしょうか?」


 その言葉は美月たちにとってつらい物でした。

 ですが、そう言われても仕方がないのです。

 事実、彼女たちは向かいたくても向かえないのですから……。


「……ごめん、もう少し、もう少しだから」


 美月はそう言いながらニュースに耳を澄ませていました。

 そんな時です。


 響き渡るのは警報音。

 それは恐らく……。


「天使!?」


 綾乃は身構え、思わず立ち上がります。

 ですが、二人の機体は……。


「だめ、整備中……!!」


 そう、今は動けないのです。

 どうすればいいのか? 迷っている二人をあざ笑うかのように天使の攻撃は始まりました。

 爆音が鳴り響き、思わず耳をふさぐ二人。 

 ですが、大地は揺れど衝撃はそれ以上ありません。


「な、なに?」

「この施設はプロテクションを展開しています」


 二人の疑問に答えるかのように入ってきたのは通訳の女性です。

 彼女はにっこりと微笑むと……。


「我らが祖国ドイツが誇るエーベルトの技術力すべてをつぎ込んだ施設です……イービル無しでもそう簡単に沈みません」

「ねぇフラグにしか聞こえないんだけど!?」


 綾乃が突っ込みますが、通訳の女性は微笑みながら……。


「はい、万が一という事があります。ここは危険かもしれませんのでこちらに」


 どうやら彼女は美月たちを避難させようとしているのでしょう。


「ジャンヌは? 出せないんですか!?」

「まだ、もうちょっとかかりそうです」

「なら普通のイービル!!」


 綾乃もまた居ても立っても居られないと言った風に声を上げますが……。

 彼女は首を横に振り。


「安心してください……確かに攻撃を受け続ければ危険です。ですが……お二人の機体調整さえ終われば……」

「「終われば?」」


 二人は声をそろえて女性に詰め寄ります。

 すると彼女は目を細め口元に手を当て……。


「日本の技術、ドイツの技術が合わさった最高の機体に仕上がります。その試運転にはちょうどいい相手……ですね」


 よほどの自信があるのでしょう。

 彼女は二人をいざなうように手を伸ばし……。


「そのためには最高の悪魔乗りが必要です。ですのでお二人にはそうそうにここから非難をしていただかなければいけません」


 その言葉で二人が納得しきれるわけではありませんでした。

 ですが……。


「わかりました」


 現状ジャンヌとフールを動かせるのは二人だけです。

 ほかの誰にも動かせないであろうその機体のパイロットを失うわけにはいかない。

 そう考えるのは当然なのです。


「行こう……」


 二人は女性の案内に従い部屋から出ると……。


「こちらです施設の構造上ハンガーに近いところは安全です」

「そう、それならよかった」

「うん、終わったらすぐに出れるからね」


 二人はほっとした様子でつぶやくと女性は振り向き……。


「ではそこについたらお食事をしてください、戦いの前に英気を養うのです」


 再び笑みを浮かべるのでした。

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