51話 出発する戦乙女
美月たちは司からの許可を得てほっとするとレンが待っている。
リーゼの部屋へと向かいます。
部屋につくと心配そうに近づいてくるのはリーゼです。
「どう、でした?」
「許可は貰ったよ」
そう言うとリーゼはほっとすると……。
「それで出発は?」
「……すぐに行きたいけど、どうかな?」
美月はそう言うと綾乃達は頷きました。
「そうだね、そうしよう」
綾乃の言葉にほっとした美月たちはレンを連れ、ハンガーへと向かいます。
伊達にすべてを話し、イービルへと乗り込みます。
そして、ドイツへと向かうのです。
ハンガーへとたどり着いた美月たちは伊達へと目を向けます。
「……どうした?」
「伊達さん……あの……」
美月は伊達へと今までの事を話します。
すると伊達は唸りながらレンへと目を向けました。
彼女を心配しているようです。
いえ、彼女の事だけではありません。
綾乃は勿論、美月の事も心配してくれているのが分かりました。
ですが……。
「分かった……だが、無理だけはするんじゃねぇぞ……」
「うん……」
美月たちは頷き、彼へと伝えます。
必ず戻る事……。
そして、天使を倒すきっかけになることを……。
「だから、行ってきます」
美月はそう言うとイービル……ジャンヌダルクへと乗り込みます。
シートへと腰を掛けると戦うのが怖かった時の事を思い出します。
あれから、あまり時間がたっていないというのに彼女の意識は……意志は変わっていました。
そんな事を考えていると複座にはレンが座りました。
彼女はイービルに乗っても大丈夫なのでしょうか? 疑問ではありましたが……。
「多分、こっちの方が安全……美月は魔法使いだから」
「そ、そうなの?」
彼女の言葉を信じることにしました。
『システムオールグリーン……ジャンヌダルク、任意のタイミングでどうぞ!!』
オペレーターの声を聞き美月は真っ直ぐに目を向けます。
「ジャンヌダルク、行きます!!」
その言葉と共にぐんっと自身にはGがかかります。
以前は叫び声をあげていたそれはなれたとは言えないですが、我慢する事が出来ました。
支部の外へと出ると綾乃を待ちます。
待つと言ってもすぐに彼女は追いかけてきます。
レーダーを確認した美月は彼女へと個人通信を開き……。
「行こう綾乃ちゃん」
「うん!」
ともにドイツへと向け進み始めるのでした。
暫く進み始めたところ。
「変……」
フローレンスは突然そんな事を言い始めました。
「何が変なの?」
美月は当然どういった意味だろうか? と彼女に尋ねます。
するとまだ通信が繋がっていたためか綾乃も反応し。
「何も変なことないよ?」
と言ってきます。
美月は頷き、レーダーを確認します。
間違いなくドイツへと向かっているのは分かり、迷子になったわけでもありません。
なら何が変なのか?
それが気になったのです。
「ゲートを置いたってことは襲撃する準備をしてる……監視しててもおかしくない」
「……つまり?」
美月は嫌な予感がし、フローレンスに言葉を促します。
「出撃したのに襲撃されない」
「……確かにそう考えると変かと思うけどさ、相手の準備が整ってないって可能性もあるっしょ?」
綾乃はそう口にし、不安を紛らわせようとしているのが分かりました。
「戻る?」
美月は迷い、足を止めます。
「いや、ダメだよ! ここで戻っても何も得られない」
ですが、すぐに綾乃がそれを止めます。
「そうだよね、私たちが……レンちゃんを届けないと……」
この先待っているだろう本当の襲撃、それに備えることはできない。
美月はそう自分に言い聞かせ……。
「急ごう!!」
「そうだね、その方がいいかも」
二人はコクピットの中で頷くと、ドイツへと向け急ぐのでした。




