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47話 司令官と戦乙女

 美月と綾乃、そしてリーゼは司のいる指令室へと向かいます。

 緊張をしているのでしょう。

 綾乃は美月の背中に回り服をぎゅっとつかんでいました。


「あ、綾乃ちゃん……ちょっと歩きにくいよ」


 美月は困ったような笑みを浮かべています。

 綾乃は「うん……」と口にすると今度は袖をつまみ、ついてきます。


「美月ちゃん、綾乃ちゃんのお姉さんみたいです」


 くすくすと笑うリーゼに対し美月は苦笑いを浮かべる。


 本当に連れて行って大丈夫なのかな?


 そんな不安が脳裏に浮かびました。

 ですが、綾乃が司と話すと言った以上、一人でもする可能性があるのです。

 そうなってしまえば彼女はショックを受けるようなことになるかもしれません。

 それだけは避けたい。

 美月はそう思っていました。


 そして、そんな事を考えつつ歩いていると指令室へとたどり着き、恐る恐るとインターフォンへと手を伸ばします。


「誰だい?」


 インターフォンを鳴らすと聞こえてくるのは司の声です。

 その声を聞きびくりと体を震わせる美月と綾乃。

 対しリーゼは……。


「リーゼロッテです」


 と口にし……。


「入ってくれ」


 と短い返事が聞こえました。

 3人は頷きあい、部屋へと入ると司は一瞬驚いた表情を浮かべます。


「綾乃……それに夜空君まで……どうしたんだい?」


 彼は二人の顔を見ると少し険しい表情へと変わります。

 ですが、ここまで来たら話をしなければなりません。


「実は……ゲートの事で話があるんです」

「それはリーゼロッテ君のご両親に任せている」

「そうですが! その彼からのお願いでもあるんです」


 そこまで美月が言うと彼はため息をつき、半眼で美月を見つめてきた。

 一応話は聞くという事でしょう。

 その事にほっとしつつも美月は綾乃へと目を向けます。

 彼女は青い顔をし、司とは目が合わないよう明後日の方へと顔を向けています。

 これでは彼女がまともに話すことはできないでしょう。


「レンちゃんがゲートの事を知っていたんです。それでリーゼちゃんのお父さんが彼女と詳しい話をしたいからって……」

「………そうか、だが彼女は本当に信用できるのか? 確かに彼女のもたらした技術はすごい、しかし彼女は得体のしれない」


 彼の言葉に美月は憤りを感じました。

 そんな事で彼女をあんな目に遭わせたというのでしょうか?

 いや、それ以外に理由がないことに美月は気が付くと……。


「確かに彼女はまだどんな人か分かりませんが、敵じゃないってことは分かります!」


 美月は自分でも驚くほど大きな声で訴えます。

 すると司はため息をつき……。


「それはあくまで希望的な言葉にすぎない、人は誰も絶望次的な状況から逃れるため、希望を求める物だ」

「だとしても! これまで天使に不利な情報をくれたのはレンちゃんです!」


 訴えを続けると司はその顔を険しい物へと変え……。


「これまで? 彼女がもたらしたのはほんの少しの事だ。我々は生き残るため、不安要素は取り除かねばならない……酷だとは思うが分かってくれ」


 そんなの!

 美月はさらに続けようとしたのですが……。


「だったら……」

「ん?」


 ゆっくりと口を開く綾乃に対し、一同の眼は集まります。

 震える声で綾乃はゆっくりと尋ねました。


「今のはアタシは不安要素だよね、取り除くの?」

「……そうだな、()はすでに戦える状況ではない」


 最早隠すことすらしなくなった彼に対しショックを受ける綾乃。

 それに対し、美月はさらに怒りを感じてしまうのでした。

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