番外編Ⅰ『慶太と渚の街巡り』 5月21日/SS
この話は未来の彼方SSです。
5月21日に光司たちが雪を助けに向かっていた頃、先に帰った慶太と渚は何をしていたのかと言う話を1話にまとめた短編モノです。
時間にして、15時30分~21時00分の間
のSSとなっています。
話数にして、24話~32話の間
【5月21日(木)・15時35分『横浜・開業学園・校門前』】
【慶太視点】
午後の授業も終わった放課後、生徒は部活に行ったり・寄り道したり・帰宅したりとそれぞれ好きな場所に散っていった。
オレは光司に渚ちゃんを街案内するから帰れない旨を伝えてから、校門前に向かっていた。
渚ちゃんとは校門前で待ち合わせしてんだが、まだ来てないみたいだ。
仕方無く校門の壁に寄り掛かって待つことにした。
~5分経過~
「まだ来ないのか。帰る準備に手間取ってるのか?」
~15分経過~
「あれ、慶太? お前天王洲さんの街案内するんじゃなかったの?」
しばらく待っていたら光司と九条と千晴ちゃんが三人仲良く下校してきた。
「渚ちゃんがちょっと遅れててな」
まさか先に帰る発言した相手に先に帰られるとは思わなかった。
「そうか。まあ、ガンバれ」
「ガンバって待つとするさ……」
「慶太。渚のことよろしくね」
「ああ、任せろ」
千晴ちゃんがコクンッとお辞儀をすると、三人は校門の外へ向かっていった
最後に「なあ九条、何で慶太には、いつも呼び捨てなんだ?」「う~ん、弟…みたいな存在だからかな?」と言う会話も聞こえたような気がしたが、聞かなかった事にしようと思う。
オレの姉はもっとゆるい奴だからな!
「……つうか、何で九条が一緒に帰ってんだ?」
そう呟いて再び渚ちゃんを待つことにした。
~10分経過~
待つこと30分、校舎から急ぎ足でくる渚ちゃんの姿が見えた。
良かった……先に帰られたかと思った。
「はぁはぁ……ご、ごめんなさい……谷口先生に呼び止められちゃいまして、その伝言を……」
「伝言?」
「はい……。明日の総会はやんごとなき事情により中止、明日は臨時授業を行い、明後日の土曜日に総会をやるのでお前達サボらないように……とのことです」
「はぁ!?明日の生徒総会中止ィ!?つうか、やんごとなき事情ってなんだっ?しかも土曜とか……っ!待てよ……てことは光司達━━━」
「知らないと思います」
「マジかよ……。……はぁ、仕方ねぇ。めんどくさいけど教えに行ってやるか」
「光司さんの家にですか?てことは千晴ちゃんに会えますね♪」
「渚ちゃん、千晴ちゃんのこと好きだよな」
「はい♪ あの仔猫のような雰囲気が可愛らしくて、なでなでしてあげたくなります!」
「おぉう!目が燃えている!? ほ、程々にな?」
オレは渚ちゃんに「街案内はどうする?」と聞くと、「あ!」と思い出したかのように悩みだし、数秒考えた末に出した答えは街巡りをしながら光司ん家に向かうに落ち着いた。
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【5月21日(木)・16時10分『横浜駅東口(外)付近・アニメイツ』】
「わぁ!わぁー♪ここが“かの”有名なアニメイツさんですかぁー♪」
テンション高いな、渚ちゃん……。そんなに来たかったのか? ……アニメイツ。
アニメイツ、それは日本国内最大手のアニメ・コミック・ゲーム関連商品を販売するオタク達に取っては夢と希望が詰まった店。
1983年に池袋(本店)をオープンしてより、コアなファン達に人気を受け現在では一般客からも愛されるようになり、全国46都道府県に店舗を展開している。
見所はなんと言っても初回特典だ。
音楽映像ゲーム等には、必ず初回特典や予約特典と言ったアニメイツ限定特典が付属されることだ。
一般の漫画も人気のあるものはオマケイラスト等も付いてくる。
そんなアニメイツ横浜店に、オレ達は来ていた。光司の家━━━つまり舞岡に行くには地下鉄ブルーラインかJR東海道線を使う必要がある。
そしてアニメイツ横浜店は、JR横浜駅東口から地上に出て直進して少し右に曲がった先にあるヨコハマプラザホテルの1~3階を当店として置いている訳で、開業学園から横浜駅東口へ向かう身としては通り道にあるのである。
それを軽い気持ちで教えてやると、渚ちゃんは目を光らせて「行きたいです!」と行ってくるものだから現在アニメイツの入口前にいる訳だ。
オレはゲームや漫画等で良く利用させてもらっているが、渚ちゃんのようなお嬢様には無縁の筈……それがなぜ“アニメイツ”を知っていて、ましてや“寄りたい”等と言ったんだ?
好奇心でもくすぐられたのか?
甚だ疑問が浮かぶ。少し聞いてみるか。
「なぁ、渚ちゃ……」
オレは渚ちゃんの振り替える。だけど、そこに渚ちゃんの姿はなかった。
まるで友人に電話したら「只今電話に出ることが出来ません。後程お掛け直し下さいブツッ!ツーツー」と言われた後のような焦燥感に捕らわれる。
「ってかどこ行った!?」
まさかと思ってアニメイツの中へ入る。辺りを探してみるが、どうやら1階にはいないようだ。
なら2階を探してみよう。今ごろになって連絡先交換しとけば良かったと後悔するが、とにかく見付けないとな。
そして探して見たところ、彼女はいた。いたのだが……その場所が困る。
そこはアニメイツの中でも男性にとっては近寄りにくいゾーン。
主に女性向けの“やおい”や“ボーイズラブ(BL)”と言った、男性同士がアレをする同人誌等が並べられているコーナーで、そこに渚ちゃんはいた。
しかも、何やら同人誌の表紙をガン見している。
(どうする……。呼びに行くには、あの禁断のゾーンへ足を踏み込まなければいけない……。だけど、それはとてつもなく恥ずかしい!何よりも誤解されないか不安だ!)
オレの中で行くべきか行かないべきかを論争していると、渚ちゃんは今までガン見していた同人誌を元の棚に戻し、続いて隣の同人誌を取り出した。
そして瞳を同人誌に落とすと……ボンッと顔を真っ赤にして湯気を出し始める。しかも口元があわわと泳いでいる。
い、一体何を見たんだ……?
その謎の同人誌を棚に戻し、何やら深呼吸をし出しコーナーから出てこようとする。
良かった……向こうから出てきてくれる。
そこで渚ちゃんは足を止める。
……?どうしたんだ?
良く見ると渚ちゃんの瞳は、斜め右下にある見開きの同人誌に注目していた。
直ぐに瞳をぐるぐる回し出し、顔の紅潮は臨界点に達し、湯気も蒸気機関車のようにブシュゥゥと噴射して━━━倒れた。
「って!あぶねぇ!」
オレは即座にダッシュし、人と人の隙間を潜り抜けて倒れてくる渚ちゃんを支えた。
渚ちゃんは「きゅう……」とアザラシのような鳴き声を上げて気を失っていた。
そこまでして見なくても良いだろうに。
「つうか気を失うとか、純情と言うか箱入りお嬢様なんだな~」
どんな同人誌を見たら、気絶出来るんだよ……と呆れて見開き同人誌に眼をやると━━━
「……っ!」
そこには裸の男性、一人は黒髪ロン毛の鋭い目付きをした男に、肌色のノーマルヘアーをした物腰弱そうな男が押し倒されていて……ロン毛の方の右手が相手の顎に、左手が下腹部に添えられていた。
(な……っ!これは18禁ものじゃねぇか!何でよりによって過激なのが見開きになってんだよ!)
横浜アニメイツは何を考えているんだ!?
「あ、あの、お客様……大丈夫ですか?」
すると女性店員が心配そうに声をかけてきてくれた。
だが、これ以上の騒ぎはごめんだ!さっさとここから出て、光司の家に向かう!
「大丈夫です!ちょっと目眩がしたみたいなので直ぐに出ます!」
そう言ってオレは渚ちゃんを背負って、アニメイツから一目散に飛び出した。
それから渚ちゃんは外に出て休憩したら回復し、もう街巡りをする気になれず、地下鉄ブルーラインで横浜駅から舞岡駅まで一本で向かった。
光司の家に着いたのは19時頃だったが、千晴ちゃんが出てきて「兄は彩香さんとどっかへ行っちゃいましたので、帰るまで上がって待ってて下さい」と親切に言われ、二人の帰宅を待つことにした。
それから二時間後ぐらいになって帰ってきた。その段階でオレと渚ちゃんは、千晴ちゃんに夜も遅いからと進められて泊まることになっていた。
本編へ続く!!
どもども、焔伽 蒼です!
今週の日曜はSSを創ってみました!番外編シリーズと本編はちゃんと繋がっているので、合わせて読むと新鮮感(?)が増すと思います!
次週は何を作ろうか、構想中です。
それでは本編と合わせて宜しくお願いします。




