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ドミノ・クラッシュ・ボウリング  作者:
【序章】 ボウリングには歴史がある

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7/7

次なる歴史は、日本から始まる(その二)

 しかし、なぞの『くろ仮面かめん』はまらない。


 女子じょし大生だいせいよこけると、投球とうきゅう体勢たいせいはいる。


 やはり、『DCB』だ。『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』。「ボウリングのたまで、ドミノを破壊はかいする」という、はちゃめちゃな競技きょうぎだ。その無茶むちゃ苦茶くちゃぶりが、世界せかいじゅう若者わかもの中心ちゅうしんに、すくなからずウケている。


「やめてぇぇぇぇぇーっ!」


 女子じょし大生だいせい悲痛ひつうさけび。


 ほか大学生だいがくせいたちもドミノをまもろうと、『くろ仮面かめん』の進路しんろをふさごうとする。


 これがたまたま、絶妙ぜつみょう位置いち関係かんけいになった。


 大学生だいがくせいたちは意図いとしたわけではない。が、だれかのからだあしで、『くろ仮面かめん』がドミノにかうコースのおおくが、ちょうどふさがっているのだ。


 普通ふつうなら、遠回とおまわりするしかない。


 だが、相手あいて近道ちかみちえらんだ。


 空中くうちゅうへと飛翔ジャンプする『くろ仮面かめん』。投球とうきゅう体勢たいせい一旦いったん解除かいじょだ。アクロバティックな姿勢しせいで、大学生だいがくせいたちの頭上ずじょうを、軽々(かるがる)えていく。


「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉー!」


 空中くうちゅうで『くろ仮面かめん』が、マントを前方ぜんぽうへとてた。


 このマントには、結構けっこうあつみがある。しかも、使つかわれている生地きじ特別とくべつせいだ。


 さきゆかちた銀色ぎんいろのマント、そのうえに『くろ仮面かめん』がひざげて着地ちゃくちする。


 あつみのあるマントを「クッション」として使つかったのだ。着地ちゃくち衝撃しょうげきたおれたドミノは・・・・・・皆無かいむ! 非常ひじょう高性能こうせいのう生地きじだ。


 そして、ふたた投球とうきゅう体勢たいせいはいる。


 もはやさえぎるものはない。『くろ仮面かめん』の一段いちだんつよ発光はっこうする。


「やめてー!」


「やめろー!」


 大学生だいがくせいたちのさけごえびながら、ついにボウリングのたまが『くろ仮面かめん』のはなれた。


 それは破壊はかい一投いっとうだった。


 もうスピードですすくろたま


 ひろならべられていたドミノ、そのふち強烈きょうれつらいつく。あとはひたすら、まえまえへと破壊はかい直進ちょくしんつづけた。


 くろたまばしていく。数多あまたのドミノをばしていく。


 それをならべた大学生だいがくせいたち、そのまえでだ。


 ばされたドミノが、さらにほかのドミノをんでいく。


 体育館たいいくかんのあちこちで、ドミノの崩壊ほうかい加速かそくしていく。


 大学生だいがくせいたちの悲鳴ひめい怒号どごうった。


 しかし、ドミノはたおれる。たおつづける。ならべるのにようした時間じかんの、数万分すうまんぶんいちたない時間じかんで、ドミノ・クラッシュだ!


 この大破壊カタストロフィーなか、『くろ仮面かめん』は投球とうきゅうえてすぐに、からだきをえていた。


 高々(たかだか)片腕かたうでげて、勝利しょうりほこっている。体育館たいいくかんなかをゆっくりと「ウイニングラン」していた。


 この挑発ちょうはつてき態度たいどに、大学生だいがくせいたちのいかりが沸点ふってんえる。当然とうぜんだ。自分じぶんたちの「努力どりょくかさね」が、こんなわずかな時間じかんで、しかも、こんな無茶むちゃ苦茶くちゃ手段しゅだんで、「水泡すいほうした」のだから。


 ならべたドミノの大半たいはんが、体育館たいいくかんゆかたおれてしまっている。


 しかも、ひろ散乱さんらんしていた。そのせいで、最終さいしゅうてき出現しゅつげんするはずだった「浮世絵うきよえふうのイラスト」は、中途ちゅうと半端はんぱ状態じょうたいをさらしている。


 ここから再建さいけんするのは絶望ぜつぼうてきだ。時間じかん有限ゆうげんだし、気力きりょく有限ゆうげん


 激怒げきどした大学生だいがくせいたちが口々(くちぐち)える。


「そいつをつかまえろ!」


 ここで『くろ仮面かめん』がウイニングランをやめた。


 すぐさまきをえると、体育館たいいくかんそとへと逃走とうそうはかる。


 大学生だいがくせいたちは必死ひっしになっていかけるが、『くろ仮面かめん』のほうはやい。あっちはインラインスケートをはいている。


 体育館たいいくかんそとへと、『くろ仮面かめん』がした。


 そこでっている大型おおがたトラック、それにって逃走とうそうするつもりだったようだが・・・・・・。


 ない! 大型おおがたトラックがえている!


 じつうと、このすうびょうまえにトラックは発進はっしんしていた。すでにもんのあたりにいる!


 これは『くろ仮面かめん』にとっても、予想よそうがいだったようだ。


 その表情ひょうじょう仮面かめんえないし、こえはっしたわけでもない。が、大学生だいがくせいたちのには、『くろ仮面かめん』が動揺どうようしているようにうつった。まさかのりである。


 しかし、その動揺どうよう一瞬いっしゅんだった。


 トラックはそこまでスピードをしていない。それにいま後部こうぶトレーラーの片側サイドパネルを、つばさのようにひらいたままだ。あのトラックの運転手うんてんしゅは『くろ仮面かめん』にたいして、「いついてきてれ!」と、ああいう方法ほうほうげている。


 一瞬いっしゅん動揺どうようからなおる『くろ仮面かめん』。


 体育館たいいくかんそとにいた大学生だいがくせいたちを、華麗かれいすべりで次々(つぎつぎ)とかわしていく。


 そうしながら『くろ仮面かめん』は、自分じぶん周囲しゅういにいるカメラマンたちにかって、った。まるでファンサービスでもしているかのようだ。


 カメラマンたちは当然とうぜん、その姿すがた映像えいぞう写真しゃしんおさめる。


 このあと『くろ仮面かめん』は颯爽さっそうと、もんほうはしっていった。


 ドミノをだいしにされた大学生だいがくせいたち、かれらのなかには、くるまいかけようとするものたちもいた。


 しかし、それは徒労とろうわる。


 大学生だいがくせいたちのくるまはしした直後ちょくごに、のいいものづいた。くろ大型おおがたトラックの後部こうぶトレーラーがまりはじめている!


 どうやら、『くろ仮面かめん』を収容しゅうようしたらしい。相手トラック速度そくどはじめた。


 このとき惨劇さんげき現場げんばとなった体育館たいいくかんなかで、記録きろく判定員はんていいん言葉ことばうしなっていた。大量たいりょうのドミノが無残むざん状態じょうたいをさらしている。


 だれがやったのかは目撃もくげきした。なぞの『くろ仮面かめん』だ。くろいボウリングのたまげる姿すがた、あの場面ばめんきついている。


 現場げんばのこされたボウリングのたまへと、無言むごんちかづいていく記録きろく判定員はんていいん


 くろたま、その一部いちぶあかくなっている。『ナイス・ストライク!』という文字もじ印刷プリントされていた。この状況じょうきょうでは、悪趣味あくしゅみにしかおもえない。


 記録きろく判定員はんていいんこころなかでつぶやく。


(『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』か)


 通称つうしょう『DCB』とばれている、ボウリングの異端児いたんじだ。


 普通ふつうのボウリングとちがい、ピンではなくて、ドミノをたおす。その派手はでさが特徴とくちょうだ。


 ただし、たおすドミノは通常つうじょう競技きょうぎ主催者しゅさいしゃがわ用意よういしたものだ。『DCB』の会場かいじょうには、最初さいしょから「ボウリングのたまたおされる」ことを想定そうていして、ドミノがならべられている。


 普通ふつうはそう。しかし、今回こんかいちがった。


 ここは『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』の会場かいじょうではない。ここにあったのは、日本にほんしん記録きろくねらっていた大学生だいがくせいたち、かれらがならべたドミノだ。


 なのに、なぞの『くろ仮面かめん』はいきなりやってた。そして、大学生だいがくせいたちがならべたドミノを、完膚かんぷなきまでに破壊はかいしていったのだ。


 記録きろく判定員はんていいんおもうに、あの投球とうきゅうフォームはプロのうごきだろう。素人しろうとのものではない。


 つまり、なぞの『くろ仮面かめん』の正体しょうたいは――


(『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』のプロ選手せんしゅか?)


 その可能性かのうせいたかいとおもう。


 ではなぜ、このような蛮行ばんこうおよんだのか。


 記録きろく判定員はんていいんかんがえる。


(ひょっとして、あれが原因げんいんか?)


 つぎ世界せかい大会たいかいから、『ドミノ・クラッシュ・ボウリング』に「しんルール」が追加ついかされることになったのだ。


 それによって、競技きょうぎ性格せいかくおおきくわることになる。


 ボウリングの歴史れきしは、あらたなみちへとすすはじめようとしていた。


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