表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドミノ・クラッシュ・ボウリング  作者:
【序章】 ボウリングには歴史がある

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/7

禁酒法の時代(その一)

 一九一九年、北米アメリカ


 開拓地かいたくちでのゴールドラッシュは過去かこのものとなり、都市部としぶではギャングたちが暗躍あんやくしていた。


 このとし、『禁酒法きんしゅほう』が制定せいていされる。


 その翌年よくねん(一九二〇年)に、法律ほうりつ施行しこうされた。


 これをギャングたちは歓迎かんげいした。だいチャンス到来とうらいだ。密造酒みつぞうしゅ販売はんばいすれば、確実かくじつもうかる。


 ぜんいそげと、秘密ひみつみせをいくつも開業オープンした。


 こっそりと宣伝せんでんする。


 その結果けっか秘密ひみつみせもうかった。


 今宵こよい、そんなみせひとつに、わかいギャングたちがあつまっている。


 今日きょう定休日ていきゅうびだ。きゃくない。


 このまち同様どうようみせはいくつもあるが、わかいギャングたちはここを一番いちばんっていた。


 なぜなら、ボスのこだわりで、このみせ内装ないそうは「西部せいぶ開拓かいたく時代じだい酒場さかば」をイメージしている。あらくれものどもがかよかんじだ。


 ――だが、店内てんない清潔せいけつにしろ。きゃくにゴミをせるな。


 ボスの命令めいれい絶対ぜったいだ。毎日まいにち清掃おそうじ大変たいへんだが、それゆえに「みせへの愛着あいちゃく」もわいている。


 実際じっさいきゃくからの評判ひょうばんかった。このまち一番いちばん人気にんきてんだ。


「さすがおれたちのボスだぜ」


 西部せいぶ開拓かいたく時代じだい酒場さかばのような店内てんないで、わかいギャングたちは乾杯かんぱいする。


 いかにもギャングという格好かっこうかれらだが、テーブルのうえにあるびんもグラスも、その中身なかみはリンゴジュースだ。ジュースによる乾杯かんぱい


 というのも、密造酒みつぞうしゅ大事だいじ商品しょうひんなので、


 ――勝手かってむな。んだらころす。


 ボスからきつくわれているのだ。


 そんなかれらはいま、あるギャンブルに夢中むちゅうになっている。


 ゆかうえならべられているのは、きゅうほんびんだ。たまころがして、それらのびんたおす。『九柱戯ナインピン』という競技きょうぎである。


 たまげるおとこは、いちゲームに二人ふたりずつ。


 で、ほかおとこたちは、「どちらがたくさんたおすのか」にける。


 または、「二人ふたりたおした合計ごうけい何本なんぼんになるのか」。そっちにけてもいい。


 そんな賭博ギャンブルで、今宵こよいとくがっていた。


 ところが、たのしい時間じかんわりをむかえる。


 いまは『禁酒法きんしゅほう』の時代じだいだが、この時代じだい禁止きんしされているのは、「さけ販売はんばい」だけではない。ほかにもある。たとえば・・・・・・。


 いきなりみせそとから、はつ銃声じゅうせいがした。


 これは合図あいずだ。そとにいる見張みはりからの合図あいず


 この銃声じゅうせい意味いみしているのは、


「やべえ! 全員ぜんいんずらかれ! 保安官ほあんかんどもの手入ていれだ!」


 わかいギャングの一人ひとりさけんだ。


 このみせ地下ちかにある。裏口うらぐちのドアをけると、そこはトンネルになっていた。保安官ほあんかんどもによる「手入ていれ」や、ほかのギャングだんによる「襲撃カチコミ」のさい、ここをとおってそとげるのだ。


 しかし、最初さいしょにトンネルにした一人ひとりづいた。トンネルのおくからみせほうに、じゅうにんちか足音あしおとかってている。


「やべえ! こっちからもた!」


 ギャングをやっていれば、こういう危機きき察知さっち能力のうりょくいやでもにつく。あの足音あしおと絶対ぜったいに、保安官ほあんかんどもだ。今日きょう定休日ていきゅうびだから、常連客じょうれんきゃく足音あしおとではない。


 いそいでみせなかもどり、裏口うらぐちめる。そのまえにテーブルをざつたおして、即席そくせきのバリケードにした。


 すでにぐちほうにも、同様どうようのバリケードがきずかれている。


 トンネルからもどってきたおとこは、カウンターをた。


 その反対はんたいがわは、とっくに満員まんいんのようだ。この店内てんないではあの場所ばしょが、もっと防御ぼうぎょめんすぐれている。カウンターの内部ないぶには鉄板てっぱん仕込しこんであるので、なみ銃弾じゅうだんなら貫通かんつうしない。


「こっちだ! こっち!」


 たおれたテーブルのひとつから、おとここえがした。


 あんなテーブルでもないよりましかとおもって、そっちにはしる。


「おまえもつだえ!」


 テーブルの反対はんたいがわでは、二人ふたりおとこ床板ゆかいたちからずくできはがしていた。


 そのすぐした地面じめん、ではなく、おおきなあながあいている。


まえに、幹部かんぶからいていたんだ」


 保安官ほあんかんどもによる「手入ていれ」や、ほかのギャングだんによる「襲撃カチコミ」。そんな非常ひじょうのための、「みち」だという。


 ただし、まだ未完成みかんせいで、そとまでは開通かいつうしていない。


 しかし、「塹壕ざんごう」としては十分じゅうぶん使つかえる。ちょうど三人さんにんはいることのできるおおきさだ。


 しかも、あななかには機関銃マシンガンがあった。大量たくさん弾薬だんやくもある。あとは、数本すうほんのシャベルだ。


 直後ちょくごに、ぐちのすぐそと銃声じゅうせいがした。


 ってきたのは、保安官ほあんかんどもにちがいない。ぐちのドアが、おびただしいかず銃弾じゅうだんびている。


本当ほんとう保安官ほあんかんか? えらくあらっぽいぞ」


ほかのギャングだんだったりしてな。そと見張みはりがちがえたのかもしれん」


 それに、たとえ本物ほんもの保安官ほあんかんだったとしてもだ。やつらに「密告タレコミ」したのは、どうせほかのギャングだんまっている。


まちのゴミどもめ、この人気にんきてんをつぶしたいんだろ」


 で、保安官ほあんかんうごかした。十分じゅうぶんにありはなしだ。


 いまは『禁酒法きんしゅほう』の時代じだいだが、この時代じだい禁止きんしされているのは、「さけ販売はんばい」だけではない。ほかにもある。


 賭博ギャンブルだ。


 ただし、すべてのけごとではなく、『九柱戯ナインピン』を対象たいしょうとした賭博ギャンブル


 今夜こんやの「手入ていれ」、その目的もくてきはそれだろう。ここで違法いほう賭博ギャンブルをやっていると、どこから情報じょうほうれたんだか。


 カウンターのおくにいる連中れんちゅう一斉いっせいに、銃撃じゅうげき開始かいしした。そのなかには機関銃マシンガンざっている。


 この最初さいしょ反撃はんげきによって、ぐちこうがわから、いくつもの悲鳴ひめいこえてきた。


 店内てんないではわらごえがる。


さきってきたのはやつらのほうだ。これは正当せいとう防衛ぼうえいね」


 さらに今度こんどは、裏口うらぐちてる位置いちにいるギャングたちも、攻撃こうげき開始かいししたらしい。


 裏口うらぐちこうがわからも、いくつもの悲鳴ひめいこえてくる。


 が、保安官ほあんかんどもも反撃はんげきしてきた。


 いまや、みぎひだり銃撃じゅうげきせんだ。


 ぐちのドアも、裏口うらぐちのドアも、すぐに限界げんかいたっした。「ドア」という名前なまえ剥奪はくだつされて、いまは「クズ」になっている。おおかみよ、かれらはとても勇敢ゆうかんだった。つぎ王宮おうきゅうのドアにでも、まれわれますように。あ、鋼鉄こうてつのドアのほうがいいのか?


 店内てんない無茶むちゃ苦茶くちゃだ。びんれるおとひびく。ゆかうえにあったきゅうほんびんも、みじんになっていた。「西部せいぶ開拓かいたく時代じだい酒場さかばふう」とはいえ、銃撃戦こんなところまで再現さいげんしなくてもいいのに。もしも、このにクレイジーな映画えいが監督かんとくがいたら、よろこんで映像えいぞうおさめたかも。あふれんばかりの臨場感りんじょうかん


 で、このよる銃撃じゅうげきせんは、てき味方みかた双方そうほうおおくの被害ひがいすことになり、新聞しんぶん記事きじにもなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ