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自己否定する年上美少女の正体を知らずに全力で肯定していたら、いつの間にか外堀を埋められていた  作者: じゅうぜん


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第7話 編集さんとのお話

 先日まで、浅海くんは私の執筆活動を手伝ってくれた。

 そうして、そのおかげでついに企画を編集さんに提出することができたわけだけど。


 後日、自宅で編集さんと打ち合わせ中。

 画面の向こうで編集さんが何とも言えない声を零す。


『――なんか、ふつーっすねぇ』

「そうですか……」


 私が提出した修正案に対して、微妙な反応。

 企画自体はいいと言ってもらえたけど、細かい部分のプロットで納得できないようだ。


『いや、別にこのままでもいいんすよ? でも中盤はもっと別のアイデア出した方がいいと思うっすねぇ~』

「……はい。私もそう思います」


 編集さんが指摘しているのは、私も練り切れていないなと思いながら提出した部分である。甘い部分を見逃されずに指摘されているのだ。

 そんな風にして打ち合わせをしている内に、ふと編集さんが言ってきた。


『そーいえば瀬名先生、後輩さんのお誘いはどうなったんすか~?』

「えっ? な、なんでですか?」


 急に話が切り替わって驚いてしまう。


『この前話したっすよね? その人のこと逃がしちゃだめっすよ~、って』

「言いましたけど……」


 あの時の編集さんはなんだかいつもよりも深い感情が籠っていたので覚えている。

 まるで自分の経験を思い起こしているかのような……。


『大切な相手はすぐにいなくなるっすよ。ウチも危うく取り逃がす所だったことがあるっす。やっぱりちゃんと監き……手の届く所に置いておかないと』


 怪しい言葉が聞こえた気がしたけどきっと気のせいだ。ペットの話かな。


「一応……助けてくれるとは言ってくれました」

『そっすか! いやぁ絶対逃すべきじゃないっすよ。瀬名先生そのおかげでだいぶ復活してますし。ウチだって助けられたら助けたいっすけど、身近な人の方がいいっすからね。絶対』

「そうなんですけど……悩みもあって」

『悩み?』


 頼りになる後輩は手伝ってくれないかと言ったら『なんでもしますよ』と頷いてくれたけど、手放しで喜べない理由がある。


「私、何をお返ししたらいいですかね……」

『え? あーそうっすねぇ……瀬名先生は気にする人っすよねぇ……その辺はまぁ……相手によるっすけどねぇ……』


 編集さんの歯切れが悪くなる。ちょっと面倒くさく思ってそうな気配だ。


「……編集さんならどうします?」

『ウチっすか? ウチはそうっすね……ご飯奢るとかっすかね……? でも奢るどころじゃ返せないくらいならぁ……』

「返せないくらいなら?」

『……家、押しかけっか?』

「ええ?」


 急に声を低めて物騒にも聞こえる発言が来てびっくりしてしまう。


『いやぁ家は冗談っすけど。何かできないかなぁって考えるっすよ。相手が悩んでることとかあるなら聞き出して手伝いますしぃ』

「もしかして……編集さんって肉食系なんですか?」

『お肉は好きっすねぇ』


 どことなくはぐらかされたように感じるけど、言ってることは間違っていないと思う。


『ちなみにお相手はどんな感じの人なんすか? 後輩でしたっけ?』

「そうですね……好青年って感じで……」

『あっ、へぇ……男なんだぁ……』

「この前は妹さんの心配をしてたかな……食生活が心配だとか……」

『ほぇ~。瀬名先生は料理作れないんすか?』

「え? 作れますけど……?」

『じゃあご飯作ってあげるとか、どうすか?』

「ええ!」


 思わず叫んでしまう。

 ご飯を作るなんて考えたこともなかった。


『まぁ胃袋は基本っすよね~。男なんて美味しいご飯作って寝かしつけして笑顔でパチンコ代渡しておけばなんとかなるっすから~』


 すごい楽しそうにすごいことを言っている。

 編集さんがそれでいいならいいですけど……。

 でもご飯か……アリかも。


『ま、手伝ってもらえるなら後で考えてもいいんじゃないっすか? 内容まで口出ししてもらうならちょっとこっちにも言ってほしいっすけど』

「そうですね……」


 そんな話をして打ち合わせが終わる。

 一人で考えてみた。


「……浅海くん、ご飯作ったら喜んでくれるかなぁ……」


 喜んでくれそうな気がする。

 私は料理もけっこう好きだ。作品に料理を出そうかなと考えていろいろ試しに作ってみたら、意外と面白くてそのままハマってしまった。自分でもよく作っている。

 それを浅海くんに出してあげたら。


 ――紗夜さん、これめっちゃ美味しいです!


 そう言ってくれる浅海くんの姿が目に浮かんだ。

 なんか……すごくいいかも。


(というかずっと作ってあげたら、ずっと言ってくれるのでは……?)


 エプロンを付けて立つ私の対面に座った浅海くんが『これからは毎日お味噌汁を作ってほしいくらいです』と笑って……。


「へへ……」


 まずい。変な声が出てしまった。


(でもアリかもしれない)


 実は私には悩み事がもう一つあって、それは姉さんに家の場所がバレているだろうということだった。バイト先を見つけ出したのだから、家だってすぐに見つかるだろう。

 姉さんが来る前に、逃げ出すことも考えないといけないのだ。


(そういえば……妹さんの話もしてたっけ)


 浅海くんは妹の食生活が心配だという話もしていた。

 それならば、私が料理を作ればそれも浅海くんに感謝してもらえるのではないか?

 

 なんだか色々な要素に背中を押されているような気がしてきた。


「……ま、まずは調べるだけ……調べるだけだから……」


 パソコンのタブを開いて、色々と調べ始めた。

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