LIGHTNING-2 怪獣バトルの外側で
視点は変わり、地上。理宮達は一向にデスポーンしない巨神鬼の死体に隠れて、空中で行われている高速の攻防戦の様子を見ていた。
「やべぇな。あいつらの攻撃がほんの少しこっちに向いたら一瞬で全滅だぜ」
「ですね。かといって黙って見ているってのも問題じゃないですか?あれどっちが勝っても地獄ですよ。どうにかして両方が最大限の被害を受けるようにしないと……」
「いや、両方っていうのは絶対に無理だ。仙煌に小細工は通用しない」
「はぁ?」
「……例の、変な腕の奴からの情報によると、仙煌にはどうやら補正みたいなのがかかっているらしい。何か知らないけど、あいつはこの世界における主人公として設定されている」
「主人公補正ってやつか?漫画じゃあるまいし」
「僕もそう思ってたよ。でも負けかけた時に限って、毎回覚醒するんだ仙煌は。そして、負けすらも捻じ曲げる。他者の勝利を否定し、最終的には勝利する」
「そんなのただの「俺TUEEE」じゃないですか。負けまくる主人公なんてごまんといますよ?」
「知らないよ、僕に言わないでくれ」
理宮はため息を吐き、ともかくと続けた。
「ここは仙煌が勝つ前提で話を進めよう。あの雷属性っぽい奴が負ける前に、僕が以前言った「変な腕の奴」にどうにかしてアクセスを試みる。仙煌相手にそこそこ戦えていたこと、攻撃するような素振りは見せなかったことから、ある程度の信頼はできる。正直僕達だけじゃどうしようもないよ、アレは」
言いながら既に理宮は端末を取り出していた。並行して脳内では、ヒドロと会話した際の記憶を引き出している。
(ファーストコンタクトはあっちからだ。僕のイヤホンを通じて勝手に声を流し込んできた。こっちからアクセスしたことはないけど、流石に端末に履歴は残ってるだろ)
―――
「オクシー、あっちは今どんな感じだ?」
ヒドロがベッドに寝転んだまま訊いた。
「……非常に言い辛いのですが、最悪です。連中、エニクを投入しました」
「エニクつったら、あの奴隷か……確かウェポン持ちだったよな」
「はい。「カミナリ」なる物を操るようです。調べた所、どうやら天候の変化がない地底では発生しない現象のようです」
「カミナリ?何だそりゃ」
「激しい音と光を伴う電撃ですね。それを元にした物で、光速の移動と電気付与が主な能力となっています」
「あの剣は?」
「電気を纏っているので固有装具ではないでしょうか。特注の装備かと思いましたが、強いとは言え所詮は奴隷なので」
「固有装具!?じゃセンコウが戦わねぇとどうにもなんねぇじゃねぇか。しかも電気だろ?センコウは水だから相性不利だぜ」
「そこなんですよね。健康体のヒドロならエニク程度は抑えられると思いますが、もう片方が彼ですからね……三つ巴になってもおかしくない」
ため息を吐き、無い指を額に当てて暫く考えた後、ヒドロは「……いいや。やっぱ俺が出撃してやる」と言った。
「正気ですか?まだ回復していないんですよ?」
オクシーは思わずモニターから目を離した。
「だから手伝いとしてカルボーンも来させろ。俺1人じゃ真っ二つにされて終わりだ」




